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年商10億円超えの世界一かっこいいラーメン屋 、就労環境が業界最高!-銀の葡萄-

 ― 株式会社銀の葡萄 ―

株式会社銀の葡萄は、大阪を拠点に「麺’s room 神虎」や「鶏 soba 座銀」などのラーメン店を主体とした飲食店を国内外で26店舗運営し、オリジナリティのあるラーメンでSNS上でも話題となっています。コロナ禍でも年商が10億円を上回る超人気ラーメン店です。

 今回の取材で同社の取り組みには4つのポイントがありました。
この4つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。


1   企業理念の実現のために数値目標を明確に設定
「世界一かっこいいラーメン屋」になることを掲げ“かっこよさ”をGoogleや食べログのポイント目標、従業員の体脂肪率、就労環境等で数値化し、明確に定義

2 「透明性・公平性・公正性」のある経営
売上や経費、役員の給与まで全てを公開し、売上を達成したらいくら給与が上がるかまで従業員と共有し会社の目標と個人のメリットをリンク

3 労働時間の短縮や有給休暇制度の充実、高い給与水準を確保することに注力
厳しい飲食業界だからこそ、業務の効率化としっかりと休暇を取得した上で会社の利益と従業員の給与向上を重視した経営を実行

4    理念と戦略、従業員の誇りをつなげた未来を描く
メンバーの待遇を向上させたい、もっと自社に誇りを持ってもらいたい、その想いを起点に海外出店をはじめとした事業戦略を今後も展開し理念を実現するという強い決意


事業への想いや飲食店が抱える課題について、同社代表取締役 壽量健太様にお話をうかがいました。

創業のきっかけ

-飲食業界に携わるきっかけは何でしたか?

(壽量代表)若い頃から独立志向が強く、自分で何かを起業したいという想いを抱いていました。そんな中、高校時代に近所にできたラーメン屋でアルバイトを始め、ラーメン屋で働くことのカッコよさを実感しました。その後、「神虎」という別のラーメン店でアルバイトを続け、その会社が経営に苦戦した際に自分に店を譲ってもらえないかと提案しました。それが24歳のときです。今では「麺’s room神虎」も店舗を増やし、別ブランド「鶏soba 座銀」とともに多くの方に周知いただける店舗展開ができています。結果的には、私は最初からラーメン屋になりたかったわけではなく、ラーメン屋しかできなかったのです。

世界一かっこいいラーメン屋

【会社理念】
『世界一かっこいいラーメン屋 食と心で、誰もが笑顔で幸せを感じられる社会の実現』
-「かっこいい」とは、どのようなことを指すのでしょうか?

(壽量代表)「かっこいい」という言葉は、おそらく人によってイメージが異なるかと思います。私たちはそれを具体的な数字や指標に落とし込み、現場レベルで実現していくことを目指しています。例えば、「市場からの評価がかっこいい」ならGoogleで4.2以上の評価や食べログで3.6以上の評価であること、利益率が15%以上であることです。「店舗内の雰囲気や従業員がかっこいい」ではスタッフの体脂肪率が15%以下であることや、メンバーの個々が仕事に誇りを持っていることです。「待遇がかっこいい」では就労環境が業界最高であることなどが挙げられます。

店舗売上も当然重要な要素です。そのためにも、私たちは絶えず改善を続け、より多くのお客様に愛されるラーメン屋を目指しています。2023年3月には、過去最高の売上高と利益を達成できたことに、私たちメンバー一同、お客様に感謝しています。

一杯のラーメンでお客さんを魅了

-直近で年商13億円を達成されています。競合他社が多い中、事業成功のために行ってこられたことは何ですか?

(壽量代表)当社は個人店とも大手チェーンでもない中間のポジションに位置しています。最大限に効率化された大手チェーンと、手作り感やオリジナリティを大事にする個人店との中間に位置するということです。ある程度効率化されたシステムを持ちつつ、一定の手作り感やオリジナリティを維持している。従業員が夢を持って働ける環境を整えており、人を信じて任せることで個人の主体性を重視した経営をしています。ワンマンでは自分以上の発想や実績は出ません。

当社では、「透明性・公平性・公正性」を重要視しています。透明性とは、隠し事をしないことです。売上や経費、役員の給与も含め、全ての数字を社員に公開しています。

公平性は偏りをなくし、客観的な視点で従業員を評価することを意味します。公正性は、正しいことを正しく行うことです。

会社と個人の目標をリンクさせることも大切です。例えば、年商10億円を目指すことが目標でも、それだけでは社員たちのやる気は十分には引き出せません。そのため、具体的な数字を提示し、10億円達成したら社員の給料がいくら上がるかということを示すことで、目標達成後の自分たちをイメージすることが必要だと思います。実際には年商10億円目標を社内で掲げてから約3年で達成することができました。

コロナ禍で労働環境の改善

-コロナ禍において、お店はどのような運営をしましたか?

(壽量代表)政府からの営業時間の短縮要請を受け、アルバイトには休業補償を支給し、社員は通常通り営業を続けました。コロナ禍で労働環境の改善や変革を考えるようになりました。特に、利益を追求することの重要性を再認識し、これまでの「利益が出なくても良い」という方針を見直しました。店舗メンバーの安全と生活を守るためにも、資金が経営にとって極めて重要であることを痛感しました。そのため、数字や財務に関する話し合いがより頻繁に行われるようになりました。

-従業員の希望についてはどうでしょうか、雇用の安定に向けた取り組みはされていますか?

(壽量代表)現在は労働環境において、コミュニケーションややりがいといった要素よりも、待遇に重点を置くことが必要不可欠です。具体的には、労働時間の短縮や有給休暇制度、そして給料についてより高い水準を確保することに注力しています。

-どのような人材が求められますか?

(壽量代表)かなり抽象的にはなりますが「気の利く人」です。「気配りができる人」という言い方もできます。お客様のニーズを察し、先回りしてサービスを提供することが求められます。店長以上を目指す場合は勤勉であることも必須です。自己研鑽をし、付加価値を生み出すための勉強は欠かせません。「正直で自制心を持ち、協調性があること」は前提条件となります。

-従業員の教育面や評価制度で力を入れられていることはありますか?

(壽量代表)店舗では挨拶を非常に重要視しており、立ち上がって挨拶することやお辞儀の仕方、笑顔を意識した表情、歯の見え方など、細かい部分まで考慮しています。言葉使いも大切な要素であり、社員が守るべき行動指針を伝えています。

当社では評価制度を備えており、現場でのOJTが基本となりますが、クイズ形式によるスマホ学習教材も採用しています。メンバーに対して、単に声をかけるだけでなく、評価に直結する学習環境を提供することで、皆のモチベーションも向上しています。

グローバルな視点で店舗展開

-「つなぐ」という観点で今後事業をどのように未来につないで行きたいと思われますか?

(壽量代表)国内直営店の新規出店や海外市場への進出を続けることで、世界一かっこいいラーメン屋を目指します。去年はイギリスへ視察に行き、更にグローバルな視点で店舗展開も考えています。その理由は、メンバーの待遇をさらに向上させたい、当社で働くことに誇りを持ってもらいたいという想いからです。
当社はラーメンの味に加えて商品デザインやネーミング、店内の雰囲気などトータルで多くのお客様に喜ばれることを追求しています。一部のラーメンフリークに限定せず、一般のお客様をターゲットにしているアプローチが私たちの人気の秘訣となっていると感じています。

メンバー達には長期的に楽しく働いていただける環境を提供することを目指しています。根性論で縛り付けることはせず、共通の利益に合致することを重視し、常に当社で働く意義を示すことが大切だと考えています。

店舗情報:鶏Soba 座銀 本店(代表店舗)大阪府大阪市西区江戸堀1丁目19−2

 

【取材後記】
壽量代表の企業は『世界一かっこいいラーメン屋』を目指し、商品だけでなくメンバーの待遇や労働環境、店舗設備に至るまで細部にわたるこだわりを持って取り組み、好業績を更新し続けています。今回のインタビューでは、お客様に喜んでいただくための想いに加え、自社に誇りを持ち、グローバル展開を進めるための明確なビジョンが語られました。今後も「かっこいい」企業としての更なる活躍が期待されます。

写真提供: 株式会社銀の葡萄  /  取材、執筆:秋山直子

INBOUND PLUS 編集部

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