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飲食店の新たなビジネス展開として注目される「ミールキットサービス」とは?

最近よく耳にする「ミールキット」。コロナ禍をきっかけに利用者も年々増えているようです。「ミールキット」とは調理の手間を減らし、献立や栄養バランスを考える手助けをする食材とレシピがセットになった商品です。

ミールキットを使う人の割合はMMDLabo株式会社が運営するMMD研究所で行われた「ミールキットに関する利用実態調査」によれば、「現在利用している」が9.9%、「過去利用していた」が8.7%となり、合わせて利用経験があると回答したのは18.6%となりました。コロナ禍で外食が難しくなり、在宅勤務やテレワークにより自炊機会が増加したことが要因と考えられます。

また、ミールキットの知名度も上昇し、8割の人がミールキットを知っていることが明らかになっています。今後、ミールキットは日常の食事選択の一つとして普及する可能性が高いといえるのではないでしょうか。
ミールキットは近年で大きく注目を集めており、多くの企業がミールキットを商品として取り扱い始めています。

ミールキットにおける日本の代表的な企業として挙がるのがオイシックス・ラ・大地株式会社(東京都品川区)です。
下記のサービスを見ていただければ分かる通り、健康と美味しさを定額制で提供しています。生活習慣病対策をはじめとしたヘルスケアという日本の課題と、日常の食を楽しみたいという消費者のニーズに合致したサービスにより多くの支持を集めています。https://www.oisix.com/OtameshiTouroku.lp.g6–top–top-shinki_domo_a__html.htm?SESSIONISNEW=TRUEID&mi2=7749#back

業績は2019年640億円から2023年1,151億円に拡大し、19年対比180%、年平均成長率(CAGR)は15.8%という驚異的数値を達成しています。

※同社決算資料より 単位:億円

 

オイシックス・ラ・大地の他には小売業向けにDX化支援などをしている株式会社イングリウッド(東京都渋谷区)が挙げられます。2021年6月から冷凍惣菜の宅配サービス「三ツ星ファーム」を開始し、2023年5月時点での販売食数は500万食に達しています。DX支援をしているBtoBの企業がBtoCの事業としてミールキット市場に参入した好事例です。飲食店や食材メーカーのみならず異業種の企業も注目が集まっているビジネスであることがうかがえます。

そして、飲食業においては今月20日、株式会社串カツ田中(東京都品川区)が作りおき惣菜を提供する冷蔵宅配サービス「つくりおき.jp」を提供する株式会社Antwayと業務提携し、ハウスミール事業の開始を発表しました。

「つくりおき.jp」はサブスクリプション形式で栄養士監修のメニューを冷蔵で提供し、家事の時短と健康を両立する価値が支持を集めています。提供食数は2023年8月時点で850万食を突破しています。このサービス基盤と串カツ田中は連携を図り、新たな収益源創出に着手した形です。新事業に伴い製造工場の新設やお客様への製品配送を行うことで、原材料費や光熱費の高騰、人手不足への対応を可能にしていく模様です。https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20231020569477/

居酒屋などを運営するワタミグループもミールキットサービスを提供しています。
「ワタミ あっ!とごはん」(ワタミ株式会社)https://www.attogohan.jp/contents/atgohan_about
料理のレシピはすべてウェブサイト上で公開されており、必要な調理器具なども事前に確認できます。また、登録もすべてウェブ経由で行え、郵送などの手間をかけずにサービスを利用することができます。

飲食店が自慢の味を活かしたミールキットは消費者にとって魅力的な選択肢となります。今後、テイクアウトやデリバリーに続く新たなビジネスモデルとして注目され、拡大が期待されています。

ミールキットの世界市場は2022年に120億米ドル(約1.8兆円)に達し、2030年には310億米ドル(約4.6兆円)まで成長する(年平均成長率12.5%)と予測されています。過密するライフスタイルと可処分所得の増加が市場を牽引しているようです。
日本もライフスタイルは過密・多様化しており、牽引する要素は備わっていると捉えられます。可処分所得が今後増加していくと更にその成長は加速することが予想されます。

小売業、飲食業をはじめ、異業種プレーヤーも注目するミールキット市場の展開に今後も注視が必要です。

INBOUND PLUS 編集部

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