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【JTBグループ×インバウンド】
ポスト大型イベントを見据えた今後の取り組みとは

 昨今市場の変化がますます加速する中、観光・インバウンド業界は特に市場の変化のスピードと多様性への対応が求められます。旅行形態は団体から個人に、また営業ツールはオフラインからオンラインへと変化しています。これらの変化を受け、観光業界トップの株式会社JTBも現在転換期を迎えています。現在そしてこれからのインバウンド動向への対応についてJTBGMTの佐野さんにお聞きしました。

大型イベント特需期からの通常期の運営体制整備が肝

今後日本は様々な大型イベントを控えていますが、どのような取り組みを行われていますか

 ひとつは、大型イベントに合わせ益々増加するであろう観光需要に対ししっかりコミットすること、さらにそれらのイベントを通して日本の露出が多くなり訪日外国人の数が増える事が予想されます。大型イベントが開催されるとそちらの対応に寄ってしまいがちですが、その後も十分なサービスが提供できるよう通常期運営の基盤作りは非常に重要になってきます。個人・法人といったお客さまを軸とした事業単位の組織再編や、新たな事業への挑戦等を並行して行っています。例えば最近利用が増加傾向にあるMICEです。長い場合は数年かけて準備を行います。お客さまは法人・組織団体となりますので、専門的な知識や対応が必要となる分野です。

レガシーモデルからの脱却

BtoCの分野に関してはどのような取り組みを行われていますか

 BtoCの分野に関してひとつは「コト消費」のスタイルが急上昇しています。「体験」というところに着目し、日本の文化や歴史、自然を活かした新しい観光商品の提案を積極的に行ったいきたいと考えています。また、都市部だけでなく地方にも視野をさらに広げ、オールジャパンで観光産業を盛り上げていけるようにしていきたいです。

 お客さまは様々な情報を自由に手に入れられる状況にあり、団体旅行から個人旅行が主流となってきました。そうした市場の変化に合わせ、これまで構築し運用してきた既存の仕組みというのを変えていかなければならないと感じています。より多様なリクエストに応える為、都市部中心になっていたツアー造成の見直しや、個人旅行では体験できない様な特別感のある旅の提供。こういった事をお客さまのリクエストに応えるだけでなく、「今までにない」価値を提供していくことが重要と思います。今後この個人旅行は伸びてくるところなので、この分野をどれだけ大きくしていけるかというのは今後の重要な課題のひとつになっています。

 BtoCはBtoBよりも多様で変化の早い市場ですので、どのようなコンテンツが求められているのか、海外での成功事例も含め今後の動きについて検討しているところです。そしてお客さまのニーズの先にあるものを作りあげたいと思っています。

これまでお話いただいた市場の変化に合わせ、採用についても何か変化はありますか

 特に大きく変わるところはありません。しかし、今後海外現地での営業も強化していきたいところですので、現地の言葉で営業できるというのは大きなポイントになると思います。そして市場の動き・情報に敏感であることはどの部署でも求められる力であると考えます。お客さまにとっていいものが提供できるよう営業部門、そして、それを支援する部署が事業・マーケットの垣根を越えてうまく連携し取り組んでいきたいです。そのために全体をうまく巻き込み、効果を出す力を持った人財というのも必要な要素の一つです。

ポスト大型イベントに向けて

今後の展望をお聞かせください

 
 ポスト大型イベントがカギになってきます。大型イベントを通し日本を知って頂き、その後も多くのお客さまをお迎えする事が出来る様に、よりお客さまのニーズを捉えられるマーケティングをもとに、新たなコンテンツ開発、そして収益構造の見直し等、通常期運営の体制を整えつつ新たな分野への挑戦に力を入れていきたいです。来年の春頃までには形にできるよう取り組んでまいりたいと思っています。

【編集後記】
 今後の大型イベントに向けての取り組みとこれからの取り組みについてお話いただきました。これからの大型イベントは観光業界に大きな影響を与えると予想されますが、その流れをうまく活用するためにも通常の組織体制は非常に大切になってきますね。また、観光業界トップのJTBグループがこれまでの仕組みを見直し、新しい仕組みづくりを行われているというお話は、市場の変化のスピード、多様性をよりいっそう感じるところでした。これから新体制を築き上げていかれる株式会社JTBGMTの動向に注目です。

INBOUND PLUS 編集部

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