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日高屋の売上高が過去最高の117億円! 今ラーメン業態に注目が集まるワケとは?

コロナによって一時は停滞の兆しを見せていたラーメン業態が再びその熱気を増しています。コロナによる規制緩和やインバウンドの増加によって遠のいた客足が徐々に戻ってきている一方で、物価高やエネルギー価格の高騰による費用の増加が利益を圧迫していることも現状です。その中で特に注目が集まるのがチェーン展開を積極的に行う大手ラーメン企業の戦略や最新の動向です。
本記事では「日高屋」、「幸楽苑」、「王将」に焦点を当てて最新動向について取り上げます。

「日高屋」
まず、日高屋を展開するハイデイ日高が10月6日に第二四半期の決算短信を開示しました。(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7611/tdnet/2343338/00.pdf)
売上高は前年の同月比35.2%増加の237億9600万円となり、第2四半期累計期間としても過去最高額、それぞれの月に関しても同月比最高額を叩き出しました。

考えられる理由は

  1. コロナ後の集客回復の影響と各種施策の成果が原材料費の高騰による費用増加を上回った。
  2. 2022年3月から開始されたタッチパネルや配膳ロボットの導入(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000695.000003515.html)による利便性の向上やオペレーションの効率化。
  3. 2023年7月7日〜8月31日(大好評だったため9月末まで期間延長)に実施されたビール20円引きのキャンペーン「生ビール祭」による顧客の増加。
  4. 3月に行われた50周年記念感謝祭によって獲得した新規顧客がリピートしている。
  5. 2023年3月から行われた値上げによる(https://hidakaya.hiday.co.jp/file/b791c6aa-1906-4c7e-94f5-9bd5ed932361.pdf) 収益増加。

が挙げられます。

「幸楽苑」
多くの大手企業が値上げを発表する中、幸楽苑は2023年10月11日価格改定による値下げを発表し注目を集めました。値下げされた商品や同時に発表された新グランドメニューの詳細は以下の通りです。(https://www.kourakuen.co.jp/storage/brand_info/attachment/616/20231012_%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9_%E6%96%B0%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%81%A8%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E6%94%B9%E5%AE%9A%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B.pdf)
この値下げの価格施策は「安さ」を判断基準に飲食店を選んでいる価格重視の顧客層をターゲットにしていると言えます。今の日本の物価上昇は経済が活性化した結果ではなく、デフレの影響を引きずったまま、原価や人件費、エネルギーの高騰によって値上がりをせざるを得なかったという実情があります。よって物価の上昇に対して賃金の上昇が追い付いておらずアンバランスな状態です。つまり、まだ低価格を求める顧客ボリュームは大きく、そのターゲット層に焦点を当てているのが価格維持・値下げ企業の戦略です。

「王将」
逆風が吹く中でも値下げに踏み込む幸楽苑とは反して、王将は11月17日から値上げすることを発表しました。(https://www.ohsho.co.jp/info/2023/20231017.html)
ホームページには「今回の価格改定にあたっては、引き続き、お客様に安心・安全で美味しい料理を味わっていただけるようレシピや調理法の更なる改善・工夫に努めてまいります。」と記載されています。飲食店側も経営が苦しくなっては良好なサービスが維持できなくなってしまいますから、その打開策として値上げと価値向上の両立に着手されているのが、サイトにおける告知から見てとれます。

本記事では大手ラーメンチェーン「日高屋」、「幸楽苑」、「王将」の三つについて取り上げました。大手チェーン店の戦略としては、DX化の推進や、期間限定メニューやキャンペーンの実施などが挙げられます。個人店にとってタッチパネルなどの最新技術を搭載したシステムの導入はハードルが高いですが、期間限定メニューやキャンペーンの実施は個人経営の店舗でも応用できそうです。

また、価格戦略については値下げによって「安さ」を求めている顧客をターゲットにし、薄利多売のビジネスモデルに変えるのか、あるいは値上げによって安定的に収益を得るのかは苦渋の選択です。ブランドイメージや顧客のニーズなどそれぞれの店舗の特徴によって選択が変わるでしょう。例えば、高級感を売りにしている飲食店が値下げをしてしまうとブランドイメージの低下につながり、安さを売りにしている飲食店が値上げを実施すると価格重視の顧客が離反してしまうことが考えられます。それぞれの店舗の特徴を踏まえ、メリットとデメリットを考えた上で最適な選択をすることが大切です。

しかし、最も大切なのは「顧客を第一に考えること。」だと思います。
お客様が価格と品質に納得して自店を利用し続けていただけるか、ただ価格だけが上がり、お客様から「割高になったな」と思われないような価値への着手が同時に求められるのだと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

INBOUND PLUS 編集部

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