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【インバウンド×コト・体験消費】
訪日外国人向け御座敷体験サービス

 今回は、京都での訪日外国人向け舞妓お座敷体験サービス”Enchanted time with Maiko”やウェブマーケティング事業を行う株式会社S-fleageさんを取材しました。京都のお座敷体験事業で創造したいことや、2020年春からの新規事業についてもお伺い出来ました。

お座敷舞妓体験サービスとは

お座敷舞妓体験サービスについて教えてください

 訪日外国人向けに、八坂通りの燕楽で舞妓のお座敷体験イベントを定期的に開催しています。企画立案から運営までを一つのサービスとして行っており、舞妓の演舞やお座敷遊びの体験などができるプログラムですが、最も重きを置いているのが舞妓さんとの歓談です。一方的な見学よりも、舞妓さんと交流することで双方向的な文化体験ができます。歓談に1時間ほど時間を取っており、お客様と舞妓さんだけではなく、お客様とスタッフ、お客様とお客様のコミュニケーションが起きています。最初は舞妓の体験を目的に集まっているお客様同士が現地で同じことに興味がある人々同士で出会い、コミュニケーションを取る様子が伺えます。このイベントではそうした三つのコミュニケーションが生まれる空間をデザインしています。

舞妓さんの英語対応はどうしていますか

 舞妓さん自身は英語を話されないので、英語を話すMCと接客スタッフ2名、それを監督する監督者1名と料理を運ぶお店のスタッフが1名のチームを組んでいます。そのチームが英語を話せますので、企画の進行を担っています。

お客様に来ていただく方法

外国人の集客をする上で重点を置いていることはありますか

 接点が二つあります。訪日する前の旅前と、訪日してからの旅中です。旅前の接点は、web上でのプロモーションを積極的に行っています。旅行計画を立てる際にどのメディアを参考にするかをインタビューなどで調査したところ、Google検索やTripAdvisorを参考にする方が多いと分かったので、その二つでSEOの順位で上位を取れるように対策をしました。旅中の接点作りにおいては、ホテルにご案内するような形で飛び込み営業をして、お客様にイベントをご紹介いただくようなオフラインの動きで認知を拡大し、接点を創り出しています。

ホテルに営業する際は、パンフレットを置かせてもらうといった形を取っているのですか

 はい、パンフレットを置かせていただきつつ、ファン化プロジェクトを展開しました。たとえばお客様がホテルのコンシェルジュに観光先を相談された際、コンシェルジュの方から私達のイベントをご紹介していただきたいと思ったので、コンシェルジュの方をイベントに無料でご招待し実際に体験していただくことでファンになってもらおう、というプロジェクトです。それで実際の集客に繋げるということをやっています。

いままでのお客様の国別の比率はどのようになっていますか

 基本的には欧米とオーストラリアのお客様が多く、なかでもアメリカのお客様が最も多いです。次にオーストラリア、それからヨーロッパの国々といった順になると思います。アジア圏ではプロモーションを行っていないので多くありませんが、香港やシンガポールといった国のお客様はたまにいらっしゃいます。

欧米国のプロモーションにおけるコツがあれば教えてください

 先程言ったように、GoogleとTripAdvisorの対策が基本ですが、アジア圏のお客様との比較して、ブログを通じてサイトを見られる方は少ないなという印象です。具体的な対策としては、GoogleもTripAdvisorもやはり表示される順位が大事ですので、Googleはキーワードプランニングを重視した分析を用いて接点をつくり順位を上げることをやっています。TripAdvisorではレビューの質と数が重要だと分かったので、多くのレビューを集めることを集中的に行ってきました。

SEO対策も事業としてやっておられますが、その特長は何でしょうか

 外部施策と内部施策がありますが、外部施策はトレンドとしては下げ目ですので、内部施策を重視しています。内部施策にも様々なシグナルがありますが、基本はユーザーが読みたいもの、欲しい情報を載せてwebページに滞在してもらえれば順位は上がると考えているので、しっかりとユーザーを論理的に分析してコンテンツに落とし込むようにしています。分析の際、検索結果や関連ワードから根拠を立ててしっかりと順位が上がる施策をするというのが特長かと思います。

新規事業で「ツーリズムのスターバックス」へ

今後の課題や、やってみたいことを聞かせてください

 会社としては観光領域を拡げたい。今の舞妓体験イベントを行なっていくなかで、キーワードは「ひと」だと思っています。舞妓体験ではもちろん舞妓を観に来ているのですが、お客様はそこから生まれるコミュニケーションを潜在的に求めているのかなと感じています。そこの楽しさが、旅行の一つの楽しみなのかと思います。ですから人が集い関係性を育めるサービスを来年の春ごろから始めたいです。これは京都だけではなくて、たとえば東京とか世界とか、各観光エリアごとにサービスを展開できるようにしたいです。

それは新規事業として立ち上げられるのですか

 はい。新規事業は他社とコラボする形というよりも、自社で行っていきたいです。目標として常々言っているのは、「ツーリズムのスターバックス」を創りたいということです。コンテンツには場所・ひと・モノがあると思います。それらを自社で揃えられることが大事だと考えていますし、スターバックスはそれができている企業だと思います。ツーリズムにおいて全国的に、そうしたコンテンツ作りをやっていきたいです。

京都以外でやってみたい場所は

 まずは京都でやってみて、そこで課題点や良い点などが見えてくると思いますので、それから大阪であるとかの近場に拡げ、その後に東京や世界での展開を考えています。成長産業には今までの価値観と違った歪みが出てきますが、我々はその歪みを提供していきたいと思っています。

編集後記
 京都の象徴的な観光資源である舞妓やお座敷の訪日外国人向け体験事業を手がける会社であり、SEOの対策事業も行っているということで少しギャップを感じていましたが、そこに強いシナジーがあることがよく分かりました。また、「ツーリズムのスターバックス」を目指すという新規事業についても今後注目したいです。
(INBOUNDPLUS編集部 新國光太郎)
取材・写真・編集:新國光太郎

永井雄一氏 株式会社S-fleage代表取締役CEO

京都大学大学院経営管理教育部(MBA)在学
⼤学⽣時代にインターネット産業に興味を持ち、新卒では株式会社USENのGyao(現Yahoo保有)サービスに携わりたいと思い、株式会社USENへ⼊社。
その後、株式会社サイバーエージェントに転職をし、国内⼤⼿企業様を中⼼にWebマーケティングの戦略⽴案・実⾏の⽀援を⾏う。2016年に株式会社S-fleageを設⽴し、現在エスフレイジはツーリズム領域のサービス展開に注⼒している。

INBOUND PLUS 編集部

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