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日本の文化を訪日外国人に伝えたいという強い想い
観光先進都市・京都で17年見てきたインバウンド市場

観光先進都市・京都で創業して17年。最も早い時期から訪日外国人向けに京都の魅力を伝えるガイド付きサイクリングツアーを提供してきた有限会社京都サイクリングツアープロジェクト。これまで50万人以上の方々の自転車観光をサポートしてきた同社の多賀代表取締役に話を伺いました。

訪日外国人に日本の文化や魅力を知ってもらいたいという想いを捨てきれず、ガイド付きサイクリングツアーを始めました。

17年前にサイクリング観光事業を立ち上げたきっかけは?

 幼少の頃から仏教美術に興味があり、仏教美術の研究をしたかったのですが、国立の研究所は狭き門でした。ただ、日本の文化を世界中の人に知ってもらいたいという想いは捨てきれず、大手企業に就職。その後、観光分野で何か新しいサービスを考え始めた時に、生まれ育った「京都」に訪れた外国人に「京都」の文化を知ってもらい、母国に帰って頂くということができないかと考えました。

一方で、京都の観光の弱点は、観光客の数に対して交通手段が脆弱な点です。その弱点の解決策として、フットワークがよく渋滞とは無縁の自転車を有効に活用できないかと考え、「自転車」と「外国人に日本文化を知ってもらうこと」を組み合わせた、ガイド付きサイクリングツアー事業を始めようとレンタサイクル及び、サイクリング観光事業(自転車観光、サイクルツーリズム)を立ち上げました。今から17年前の2000年のことです。

自転車で遊ぶという文化が育まれている欧米圏の方が多い

貴社サイクリングツアーを利用される訪日外国人の方の特徴は?

 サイクリングツアーは、主に旅行エージェントを通して知って頂き、お申込み頂いております。お客様の主な属性は、欧米の富裕層の方が多いです。欧米の方は自転車をアクティビティとして捉え、自転車で遊ぶという文化が育まれておりますので、自転車に乗って日本文化を知ることができるガイド付きサイクリングツアーを楽しんで頂いております。

他に、サイクリングツアーを利用する方の大きな傾向としては、キャンセルがほとんどないことです。弊社サービスの外国人の方のキャンセル率は1%程度に留まっております。大きな理由の一つとして、外国人の多くは、雨が降っても自転車に乗る習慣があることです。また諸外国は、日本人と比べて自転車交通教育が進んでおり、弊社のサービスを利用される外国人の方もマナーが身についていますので我々事業者としても安心してサービスをご利用いただいております。ただ、駐輪に対する考え方が日本とは異なり、自転車が止まっているところは停めても迷惑がかからないという認識でいらっしゃいます。マンションの駐輪場やコンビニの駐輪場などを公共の駐輪場と勘違いし停めてしまうこともありますので、事前に駐輪場の案内MAPをお渡しするなど、日本との文化の違いを認識した上で、サービスを提供するようにしています。

観光先進都市・京都も他地域と同様の問題を抱えている

京都から見た日本のインバウンド市場は?

 観光業界としての一番の課題は人手が少ないところだと思います。また、これから各地域の魅力をPRしていかないといけない時に、受入環境が十分に整っていない状況で、極端な訪日外国人増のための施策を続けると、地域に大きな歪みを生んでいく可能性があるのではないかと懸念しています。京都も他の地域と同じで、多くの問題を抱えております。例えば、弊社のサービスを利用した外国人の方のアンケート結果を見ますと、「多言語のサインが少ない」という声が多く挙がっています。また、京都は観光エリアが一局集中している傾向があり、観光エリアの分散化が課題となっております。

市民の視点に目を向けると、日常の生活圏の移動手段が訪日外国人急増の影響で大変混み合い、一般市民がスムーズに移動できなくなってきていることや、民泊の増加による訪日外国人と地域住人の間でのトラブルもが生じていることも無視できません。我々、関連事業者は市民の方の理解も得ながら観光推進をしていくことが重要だと考えております。

サイクリングツアーはお客様の満足度の高いサービス
更なる満足度アップのためにはガイド(通訳案内士)の質が鍵

貴社サービスのこれからの展開について。

 今後の商品設計として、サイクリングツアーの性質性格上、何十万円もするようなラグジュアリーなツアーを組むことは、お客様に望まれておらず、ツアー自体の高級化は今のところ考えていません。弊社としては、今後は多様化するニーズに合わせて、商品展開を拡げていくことをと考えています。例えば、弊社のお客様の30%ぐらいの方が、ひたすら自転車で走りたいというニーズを持たれていることが調査から分かっています。京都は30分も自転車で走れば自然豊かな山間部に入ります。現状の観光サイクリングツアーとは別に、そのような中距離のサイクリングツアーの商品設計などを考えています。

また、当社の調査によると外国人の方は、サイクリングツアーに平均1万2000円以上支払っても良いという結果が出ております。サイクリングツアーはお客様の満足度は非常に高いサービスです。これからは、ガイドである通訳案内士のサービスを向上するなど、ここ京都で、更に訪日外国人のお客様に喜んでいただけるサービスを提供して参りたいと考えています。

自転車観光(サイクルツーリズム)をあなたのまちにも

サイクルツーリズムを検討されている企業・自治体様へ。

 「自転車」と「観光」の融合は、私たちが最初に実践した京都のみならず日本各地においてもその応用が可能であると私たちは確信しています。
今では年間4万5千人以上にご利用いただいている私たち京都サイクリングツアープロジェクトが蓄積したノウハウ、データを基に皆様の地域活性事業の一翼を担えれば幸いです。

弊社では、自転車観光の推進を検討されている自治体・観光協会や民間企業の皆様向けのセミナーや講演会に加えて、サイクリングガイドツアー研修も承っております。ぜひ弊社サイトにアクセスいただきお気軽にお問い合わせください。

多賀 一雄(たが かずお)

有限会社京都サイクリングツアープロジェクト 代表取締役
中央大学文学部卒。有限会社京都サイクリングツアープロジェクト代表取締役。NPO法人自転車活用推進研究会理事。京都大学大学院工学研究科低炭素都市圏政策ユニット認定上級都市交通政策技術者。2001年に有限会社京都サイクリングツアープロジェクトを立ち上げ、自転車観光事業(ガイド付き観光サイクリングツアーの実施や高性能自転車のレンタル)を通して、自転車を使った日本の新しい観光スタイルの普及と、自転車が安全快適に利用できる環境整備実現のため諸自治体への協力に努めている。著書は「京都・奈良・琵琶湖自転車散歩」(山と渓谷社)、「京都散策自転車BOOK」(京都新聞出版センター、「京都・奈良自転車散走」(実業之日本社)など。

INBOUND PLUS 編集部

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