2023年10月に栃木県が売り出した1人400万円の外国人富裕層向け「奥日光ツアー」は、販売期限2024年1月末までに申し込みがありませんでした。
県はPR不足が要因だとしており、今後のインバウンド集客での宣伝の重要性が注目されています。
本記事では、奥日光ツアーが販売に至らなかった要因とされていることや、インバウンド集客におけるPRの重要性などについて紹介します。
1人400万円の奥日光ツアーとは?
2023年10月から2024年1月末まで売り出された「奥日光ツアー」は、ヘリコプターを使って都内と奥日光を往復する2泊3日のプラン。
観光庁の「観光再始動事業」に採択されたもので、県が主体となって進めていました。
「ザ・リッツ・カールトン日光」での滞在や旧イタリア大使館別荘でのディナー、日光東照宮などのガイド付きツアーなどが組み込まれており、費用は1人400万円。
外国人富裕層をターゲットにした、贅沢なプレミアムツアーです。
当初は紅葉シーズンの集客を狙って10月〜12月上旬に販売していましたが申し込みはなし。
県は、冬の絶景を売りにしたツアーに変更して販売期間を2024年1月末まで延長し、さらには一部ツアー内容を変えて費用を1人290万円まで値下げしましたが、結局1件も予約は入らず、募集は終了しました。
原因はPR不足と富裕層ニーズとのズレと分析
残念ながらツアーが売れなかった要因として、県観光交流課は以下の2つの要因を挙げています。
ツアー販売開始前のPR不足
本ツアーの宣伝が始まったのは2023年10月中旬で、販売開始と同じタイミング。
宣伝開始が紅葉シーズン直前になってしまい、外国人観光客の旅行計画に組み込まれにくかった可能性があると分析されています。
宣伝開始の遅れは国の「観光再始動事業」に採択された後の事務手続きに時間がかかったことが原因だと説明されており、魅力的なツアーなだけにその魅力を十分に伝えられなかったのは悔やまれる点の1つです。
柔軟性の無さが富裕層に響かなかった可能性
外国人富裕層は、行きたい場所や興味のある体験を旅行会社に独自に用意させることが多いようで、本ツアーのように内容が決まっているツアーはニーズに合わなかった可能性がある点も指摘されています。
外国人観光客向けの効果的な宣伝方法
奥日光ツアーが売れなかった要因にもPR不足が挙げられたように、いかにインバウンドが増加傾向だとはいえ効果的な宣伝なしには、集客は見込めません。
インバウンド集客のための宣伝方法には、以下のようなものが考えられます。
OTA(Online Travel Agent)の活用
有効な宣伝方法としてまず挙げられるのが、OTAの活用です。
観光庁の「訪日外国人旅行者の体験型観光コンテンツの購入促進に関するナレッジ集」によると、体験型観光コンテンツに関する情報収集では、「知人・友人・家族の口コミ」に次いで「OTA」が活用されていることがわかります。
OTAとは、「TripAdvisor」「Trip.com」のようにユーザーがホテル・飲食店・ツアーなどの予約・購入などを行えるプラットフォームのこと。
OTA上に自店やサービスの情報を掲載すれば、日本旅行を計画中の外国人に知ってもらえるため、旅程に組み込まれやすくなります。
SNS・ブログでの情報発信
同ナレッジ集では、「SNS・ブログ」も外国人観光客がよく利用するツールとして挙げられています。
特に、韓国・台湾などからの旅行者はOTAよりもSNSやブログを主要な情報源としている場合が多く、効果的に情報発信すれば集客が見込めるでしょう。
2024年は、コロナ禍以前を超える多くの外国人観光客が日本を訪れると期待されています。
魅力的なプラン・サービスなどを開発するだけでなく、それらがしっかりと認知されるようにPR戦略を立て、インバウンド集客につなげてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。