大正10年（1921年）に創業し、飲食店と一般家庭向けに酒類・食品の販売、宅配サービスを提供する株式会社カクヤスの営業推進部 次長の小島 健久様、グループ経営戦略部の 五十川 里子様にインタビューしました。

付加価値をつけたサービスの提供

――飲食店に向けて商品の販売や配達だけでなく、開業のサポートなど豊富なサービスを無料で提供されていますが、始められた経緯を教えてください。

(五十川様)
創業から酒類販売事業100年の歴史がある当社ですが1997年、2003年に酒類小売業免許に関する規制が緩和されることが決定し、それを受けて2000年より経営方針を大きく転換しました。これは、規制緩和によりコンビニやスーパー、大手企業が酒類販売業界に進出する可能性を予見し、競争力を価格競争から付加価値のあるサービス提供に転換する方針を採用したものです。以前から行っていた飲食店への配達サービスをさらに向上させ、お客様にカクヤスの価値を提供し、成長を続けるためです。当社はトレンドのお酒の情報や繁盛店のノウハウを活かしたメニュー提案など成功事例を数多くストックしております。ご依頼を受けたお店の現状をしっかり把握し、売上アップ施策や季節のメニュー提案をスピーディーに行い店舗支援に力を注いでいます。

365日、最短一時間でお酒1本から無料配達

――サービス内容についてお聞かせください。

(五十川様)
当社は365日休まず、お酒1本からの無料配達を最短1時間で提供しています。また、完全に自社配送を行っていることも強みです。従来は飲食店様には大型倉庫から毎日決まったルートを一周かけて配達するルート配送を行っていましたが、現在は都内にある約200拠点から最短1時間でお届けできるクイックデリバリー網を自社で構築し提供しています。（クイックデリバリーは一定エリア内を軽車両やリアカー付き自転車などを使用し、短時間で商品をお届けする配送法）

有難いことに多くのお客様からのご支持を受け、大規模なビジネス展開が行えておりますので充実した営業体制と多種多様な酒類を提供しています。

(小島様)
その他、飲食店様が開業されるにあたり、お客様の要望に添った開業準備のサポートをさせていただきます。例えば店舗にビールサーバーを設置したいと要望があればビールメーカーと仲介させていただきます。また、酒の販売が本業ではございますが、オープンまでの準備として店舗メニュー表のレイアウトや求人募集のチラシ制作(印刷代含む)なども当社でデザインから納品まで無料で行っています。

クイックデリバリーの拡大

――今後の展開についてお聞かせください。

(五十川様)
今後は既存の展開エリアのシェアをさらに拡大させたいと同時に、当社のクイックデリバリーの強みがより活かせる個人店様の獲得に注力し、既存の展開エリアのシェアをさらに拡大させたいと思っています。

また当社は、コロナ禍に九州の飲食店向け専門の酒屋企業2社をM&Aしました。今後、家庭向け販売ノウハウを統合企業に導入し、相乗効果を生み出して利益を増加させたい意向です。当社独自の飲食店向け販売と家庭向け販売のハイブリッドモデルを武器にさらなるエリア拡大の準備を進めていきたいと思っています。

(小島様)
ドライバーの労働時間に上限が課される「2024年問題」で配達ドライバーが減ることが懸念されます。当社は数年前から高卒や新卒採用を積極的に行っています。そのためコストをかけて寮を増設し、運転免許取得の費用の立て替えなどドライバー確保の安定を図っています。コロナ禍で我々も飲食店様と同様に経営難に苦しみましたが質を落とすことなくサービスを続けることができました。人材確保の準備がしっかりできていたからこそ競合他社との差が今出てきていると考えています。今後も安定したサービス提供が出来るよう人材課題にも取り組んでまいります。