― 株式会社テイクユー ―
株式会社テイクユーは2012年ラーメン店「麺屋 武一」からスタートし、ラーメン業態のプロデュースや居酒屋の運営、食材の卸売りを行う企業として成長してきました。2016年、シンガポールを皮切りに海外へ進出。東南アジアや中国、香港へと出店先を広げ、2018年にはドイツへ出店。ヨーロッパ市場入りも果たしています。現在は日本国内に直営22店舗、FC132店舗、海外8カ国へ17店舗展開しています。(2023年9月時点)
事業への想いや従業員との関わりについて、同社代表取締役社長の大澤 武様にお話を伺いました。
今回の取材で同社の取り組みには4つのポイントがありました。
この4つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。
1.フランチャイズ店(以下FC店)はお客様からの評価が得られにくい要因があるため個人店のような自由度のあるステルフランチャイズ(※1)で展開
・加盟店には屋号の統一やロイヤルティを要求せず自由度の高いラーメン店を経営
・ステルスFC店は個人経営店と地域住民に認識されるため口コミで高い評価を受けやすい(※1)ステルスフランチャイズとは、外見や店名、店構えが個人経営の独立店舗のように見えながら、実際にはフランチャイズ店であるというビジネスモデルを指します
2.今期は年商17億円の見込み。ニーズに合わせたサービス提供と海外進出が売上増に貢献
・主としてきた鶏白湯ラーメン以外にも多様なスープバリエーションでラーメンを提供
・スープなどPB(プライベートブランド)商品が豊富で品数は業界一と自負
・2016年から海外市場に進出し、国内外で喜ばれるラーメンを提供
3.多様な働き方を支援し、社員の健康と幸福を重視。離職率は約3%
・独立支援制度を提供し、これまでに12名の社員が独立
・正社員でも時短勤務が可能(月間130時間〜)で多様な働き方を支援
4.採用には材確保と長期雇用の促進に焦点を当て社員との連携を強化
・離職率抑制のために3カ月の仮採用期間を導入
・人材不足への対策として求人媒体やタイミーの短期労働者を活用
・リファラル制度を導入し、社員からの紹介を奨励。貢献した社員には約1年後に30万円のインセンティブを支給
自由度の高いステルスFCビジネスに着目
――ラーメン店のステルスフランチャイズ事業を始めたきっかけを教えていただけますか?
(大澤社長)
当社は今年11月に12年目を迎えます。以前は妻の会社役員としてフランチャイズの(以下FC店)ラーメン店を運営していました。同じ屋号で営むFC店は、さまざまな制約があり自分の思うような運営ができず、店の口コミ評価も良くない状況でした。2012年に独立し、以前のFC店をオリジナル店としてリニューアルオープンしました。すると、グルメサイトでの評価が上昇しました。この経験からラーメン業態でFC展開するなら同一ブランドではなく、個人店のように自由度のあるFC店が良いと考えました。そのため、当社ではFC店で屋号を統一せず、ロイヤルティ(商標やロゴの使用、経営ノウハウの共有を受ける代わりに加盟店が支払う料金)もいただきません。加盟店は当社のサポートを受けながら、個人店のように自由にラーメン店を経営できます。個人店として認識されるステルスFC店は、地域住民などの口コミで広まりやすいと考えています。
今期年商17億円の見込みでコロナ前比からV字回復
――ラーメン店の経営困難に関する報道を受けて、何か対策など検討されていますか?
(大澤社長)
同業者の倒産に関してはニュースで見聞きしますが、経営が上手くいかない要因はさまざまで、あくまでもデータ上の数字だと捉えています。同じラーメン業界でも強靭に飛躍していく店も多くあります。
当社は以前、鶏白湯のラーメンに特化していましたが、現在ではアサリやハマグリなどの貝出汁、煮干し、焼きあご、豚骨など、多くのスープバリエーションを提供しています。さらに、これら商品をPB(プライベートブランド)として業界で最も多く保持しているという自負があります。2016年からは海外市場にも進出し、国内だけでなく世界中で喜ばれるラーメンを提供しています。お客様に喜ばれる接客はもちろんのこと、地道な商品開発と心地よい店内環境の提供が今日の売上につながっています。コロナ禍で年商は約11億円まで減少しましたが、今期ではコロナ前を上回る約17億円の見込みとなります。ただし今後、会社の規模は縮小する予定です。
私たちのスローガンは『会社は小さく事業は大きく』です。テイクユーの規模を小さくし運営側にまわり、ステルスFC事業は現在の国内外のパートナー企業と協力して、より大きな成長を目指しています。
離職率は約3% 社員の健康と独立姿勢を重視
――従業員の定着率を高める制度や取り組みはありますか?
(大澤社長)
まずは独立支援制度だと思います。広範な店舗経験と経営ノウハウを学び、将来的には自身がオーナーとして独立するための支援をしています。独立を目指す際には物件の探索から資金援助まで、あらゆる段階で手を差し伸べています。これまでに12名が当社から独立しています。また、当社の直近の離職率は約3%と非常に低い水準にあります。この背後には社員が明確な目標を持ち、主体的に業務に取り組んでいることが大きな要因です。しかし、仕事において壁にぶつかることや、家庭での心配事など悩みを抱える時もあります。そのような時には話しやすい環境で支え合える仲間が寄り添い、心を共有できる機会を提供しています。なぜなら、心に悩みを抱えたままでは仕事で最良のパフォーマンスを発揮することが難しいからです。
さらに、正社員でも時短(月間130時間〜)で勤務できるなど多様な働き方を支援しています。社員の健康と幸福は我々の最優先事項の一つです。組織全体で協力し、誰もが安心して相談できる場所を提供し、共に成長し続けることを大切にしています。この姿勢が離職率の低さや社員のモチベーションの高さにつながっていると確信しています。
リファラル制度で紹介者に30万円のインセンティブ
―― 会社の採用アップに向け、何か工夫されていることはありますか?
(大澤社長)
先ほど離職率の話が出ましたが、離職率を抑え長期的な雇用を促進するために3カ月間の仮採用期間を設けています。これは実際に店舗での業務を経験し、この会社で続けていきたいと真剣に検討してくれる志願者の本採用につなげるためです。
また、人材不足への対処策として求人媒体やタイミーなどの短期労働者を積極的に活用しています。同時にリファラル制度を取り入れ、社員からの紹介による入社を奨励しています。リファラル制度では、紹介者に対して約1年間の就労後に30万円のインセンティブを支給しており、これまでに6人ほどがリファラル経由で入社しました。我々の採用は、新店舗の人材確保と長期雇用の促進に焦点を当て、社員との連携を強化しています。将来的にも意識の高い仲間を迎え入れ、共に成功を築いていくことを目指しています。
意欲があれば海外店舗へ
―― スタッフの育成はどのような取り組みをされていますか?
(大澤社長)
FC店を含む8割の店舗では券売機を導入しています。これによってお客様の注文と決済がスムーズに行えています。店舗では本部から職人が手仕込みしたスープを提供しているため高度な調理技術を必要としません。職人不在でも営業が可能です。新店スタッフのトレーニングには直営店で行い、実際の店舗業務を体験し、必要なスキルを身に付けていただきます。ラーメンの提供のプロセスもシンプルかつ効率的なため、迅速に業務を習得し、配属店でも自信を持って仕事に取り組むことができています。
今後はデジタル技術の取り入れも検討し、さらなる接客のサービス向上に努めたいと思います。
また当社は、中国や香港、マカオ、タイ、ドイツ、オランダなど海外にも出店しています。海外で修行したいと意欲的な申し出があれば100%サポートしています。
求職者の方へ
――どのような人材を求められていますか?また、求職者の方に伝えたいことはありますか?
(大澤社長)
ラーメン業態はすぐに潰れたり、業務がハードなど、夢が見づらい業界だと思われているかもしれません。しかしテイクユーでは、独立や海外で活躍できる環境が整っています。ラーメン業界でも成功への道は存在します。キャリアアップへの環境を提供し、共に歩むパートナーとして全面的なサポートをお約束いたします。
店舗情報:濃厚鶏そば 麺屋武一 新橋本店(代表店舗)/ 東京都港区新橋3丁目6−13