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【イタリア訪問記】ここが素晴らしい!イタリアの飲食店

9月末から10月初旬にかけて、イタリアに来訪してきた当メディア記者より、イタリア来訪記をお届けします。
ローマ、アマルフィ、ナポリ、フィレンツェ、ヴェネチアに行ってきました。
コロッセオをはじめとした数限りない圧倒的迫力の建造物、美術品、多くの映画で見てきたスペイン広場の階段、アマルフィ海岸の美しさなど、語りつくせぬほどの魅力がイタリアという国にはありました。
ここでは飲食店に焦点を当てて、その魅力と、イタリアに行ったからこそ再確認した日本の素晴らしさについてお届けします。

まずはこちらの写真をご覧ください。イタリアは外で食事をすることが通例です。

日本では外の席は敬遠されがちです。冷暖房が入っている室内が先に埋まり、外の席は春か秋の過ごしやすい季節、もしくはビアガーデンで利用する。それが日本でよく見るシーンです。しかしイタリアでは真逆です。外の席が先に埋まり満席となり、室内には1人もお客様がいないというお店を何軒も見ました。街並みで外にテーブルが出ていて飲食をしている風景はイタリアでは当たり前のことで、もはやシーンを彩るひとつの文化と言えるものです。

日本においては浅草や北千住、野毛等で見かけるように、外に簡易的なテーブルと椅子が用意され、低価格なお店でガヤガヤと飲んでいる風景を思い浮かべることでしょう。イタリアでは低価格なお店からミシュランガイドに掲載されるような高級店まで、外の席がないお店を探す方が難しいほどです。外の食事が主体のため、幌がしっかり備え付けられテーブルセッティングまでされています。外で食べる心地よさをお店側がしっかりと提供しているのです。イタリアの方が日本に来るとおそらく「なぜ日本には外の席がないのであろう」と不思議に思うはずです。

イタリアの飲食店のひとつめの魅力、それが、「外の席で街の中に溶け込み、リラックスした雰囲気で食事をする文化」です。

余談となりますが、イタリアの飲食店のトイレにはほとんど便座がありません。
しかもそれが男女兼用であっても、です。よって大変不衛生な印象を受けました。
日本のように便座があり、便座の上には蓋がついていて近づいたら自動で開くなどということはイタリアでは皆無です。日本ではトイレに装飾を加えたり、つまようじやマウスウォッシュ、お店からのメッセージカードを置くなど様々なおもてなしが施されています。日本のトイレの清潔さは世界に誇れることであり、海外の方は自国との圧倒的違いに驚くはずです。

ふたつ目はもちろん味となります。ミュシュランガイド掲載店はもちろん独創的な味で驚くのですが、それはこちらも期待を高めて行っているので期待通りという印象でした。驚いたのは街中にあるお店がどこも、高級店で出てきても全く遜色ない美味しさということです。

次の写真は街中でフラッと立ち寄って注文したカルボナーラとリゾットです。今まで食べた中で最も美味しいと断言できるようなカルボナーラやリゾットに街中でフラッと立ち寄ったお店で出会うのです。

リーゾナブルだから味もそこそこではなく、どのお店に入ってもそのお店ならではの味付けで「このお店に入って本当に良かった」と思えるお店ばかりなのです。日常にある1食1食が幸せを感じさせてくれる水準。街の中にある1店舗1店舗がイタリアの食文化や伝統を感じさせてくれることに、感謝の気持ちが自然と湧いてくる体験でした。

そして、3つ目の魅力は味+αの演出・接客です。
こちらはアマルフィにある一つ星のレストランLa Caravella。
Ristorante La Caravella – Michelin Star Amalfi

味は言うまでもないのですが、料理をサーブするときの演出と接客がこちらを大変楽しませてくれるものでした。

料理をテーブルで出す直前まで温かさが保たれるよう、このような形で出てきます。
そして2名のホールスタッフが声を合わせて蓋を取り、料理や調味料の説明をした後にニコっとして「ボナペティ(召し上がれ)」と一言添えて去っていくのです。


このお店では、ディナー終了後キッチンに通され、シェフ達とあいさつを交わしながら歩いていくと、お店の歴史を物語るルームに辿り着きました。過去に使ってきた調度品やオープン当初の写真などとともに、お店のアイデンティティを説明してくれました。日本人の私たちにゆっくりとした英語で丁寧に笑顔で説明してくれたことで、イタリアの人たちの優しい人柄に触れることができました。他のお客様の接客もある中でわざわざこのようなおもてなしをしてくれたことに感動しました。

これは、フィレンツェのお店でも同じような演出がありました。
前菜がこのような形で出てきて中からガラスで冷やされた冷製スープが出てくるのです。

そしてお会計を済ませ、席を立つとアマルフィのお店と同様にスタッフの方から声をかけられました。
「特別な場所があるからついてきて」と。

エレベーターに乗り、扉が開くとそこは屋上で、丘の上からフィレンツェの街が一望できる絶景スポットでした。このような案内を皆にしているわけではありませんでした。
遠く日本から来たゲストへ少しでもイタリアを楽しんでもらおうという心意気を感じ、大変貴重な時間となりました。このようなおもてなしや気遣いを、海外の方が日本に来たときにもお返したいと思った一瞬でした。

どのお店のスタッフもその日1日を楽しく過ごす、ということが共通の価値観として伝わってきました。お客様が主役ではなく、スタッフもその場を楽しむ主役という印象でした。
だからこそ接客が作業的ではないし、笑顔が自然で同じ時間を一緒に楽しんでいる感覚にさせてくれたのだと思います。

イタリアと日本には大変共通点があると感じました。
建造物の見た目や料理は全く異なっても、独自固有の建造物、地球の醍醐味を感じるほどの景色、その国ならではの風習・マナー、伝統的な味。世界中の方が日本へいらっしゃる理由を、イタリアにおける体験で垣間見ることが出来ました。

イタリアで体験したあの感動がおそらく日本にもあるのです。
私たち日本人が日常として慣れてしまっている日々の風景や文化、飲食店の魅力。
これらは海外の人にとっては唯一無二と感じるほどの価値なのだと思います。

イタリアはイタリア語しか話せない方ももちろんいますしメニューにイタリア語しか書いていないお店もありました。しかし、ある程度英語が通じます。
それでも交通や宿泊、飲食店におけるオーダーなど、不安なことはたくさんありました。
日本にいらっしゃる外国の方はもっと不安なのであろうと思います。
「どうやって日本の飲食店を選んだらよいのか。貴重な、もしかすると一生に一回かもしれない日本旅行で、最高の思い出を作って帰りたい。でも言語が不安だ、、、」
そう思っているはずです。

お店側からすると「海外の方は来週も来てくれるわけではないからそこまで評価を高く得なくも、、、」という考えもあるかもしれません。しかし、海外の方にとっては「2度とない1日」と思って飲食店を楽しみにいらっしゃっているのではないでしょうか。

2度とない1日を演出する。そういう価値が飲食店の仕事にはあります。
そう感じさせてくれたのはイタリアの飲食店の方々の人の価値・人柄に他なりません。

美味しさ以上の価値がイタリアにはありました。
飲食店は世界各国との文化交流の重要な役割を担っていると感じたので記事としてお届しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

INBOUND PLUS 編集部

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