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社長自ら3日間かけて行う理念研修 人財採用はおもてなしの心「価値観採用」を強化ー 一家ダイニング ー

― 株式会社一家ダイニングプロジェクト ―

首都圏を中心に「こだわりもん一家」や「屋台屋 博多劇場」、「寿司居酒屋 寿司トおでん にのや」など様々な飲食店を運営している株式会社一家ダイニングプロジェクト代表取締役社長:武長 太郎氏)。今年10月に創業26周年を迎える同社は、2012年にブライダル事業に進出し2017年、東京証券取引所マザーズに上場しました。「日本一のおもてなし集団」をグループミッションに掲げ、飲食事業を主軸に事業を拡大し、2021年には更なる企業価値向上を目指しホールディングス化しました。2023年3月期には過去最高の売上高となる83億7,600万円を記録。現在、全国に直営店74店舗を展開し、社員数は318名、パート・アルバイトが約1,231名(2023年3月時点)在籍しています。

同社グループが掲げるグループミッション実現のための従業員の育成について株式会社一家ホールディングス取締役兼人財育成部担当の野瀬 健様へお話を伺いました。

今回の取材で同社の取り組みには4つのポイントがありました。
この4つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。


1. おもてなしの質を上げていくのは経営理念の浸透とし、社長自ら「理念研修」を実施
・新卒社員や中途入社社員を対象に社長自らが講師となり、理念本を用いた「理念研修」を3日間実施
・月に一度発刊される社内報「一家新聞」の中で社訓や理念にまつわるエピソードを掲載した「みんなへの手紙」を副社長自ら執筆し掲載。社内SNSで共有し、全社員が必ず読んで感じたことを投稿
・3ヶ月に一度の社員総会で「社訓からの気づき」をテーマに、社員がエピソードを発表

2. 年に一度、アルバイトメンバーを含む全社員が集まり「一家祭り」を盛大に開催
・年に一度、アルバイトメンバーを含んだ全社員が集う「一家祭り」を開催。社員やアルバイトメンバーの絆、チームワークが養われ、働く楽しさを再実感する場を設ける
・「一家祭り」で優秀店舗の取り組みや工夫を発表することにより、参加した社員やアルバイトメンバーに気付きや学びを与え、全店舗のおもてなし力向上を図る

3. 採用では「価値観採用」を重要視し、「おもてなし」の価値観を学生と共有
・新卒採用では「価値観採用」を重視し、会社の雰囲気が伝わるよう若手社員が工夫を凝らし運営する会社説明会や、実際に働く社員とコミュニケーションが取れる店舗見学会などを実施。「おもてなし」の価値観を学生と共有するための場を多く設ける
・学生のインターンシップを行い、会社への理解を深め入社後のミスマッチを防ぐ
・中途採用ではアルバイトからの社員登用やアルムナイ(卒業生)採用、リファラル制度の強化
・従業員のワーク・ライフ・バランスを大切にし、育児休暇制度の導入やリフレッシュ休暇として年に1回以上、3連休以上の取得や有給休暇の取得を推進
・従業員の定着を図るため、人財育成部が月に1度コンディショニングアンケートを実施

4.  “働きながら学べる環境”として「⼀家ユニバーサルカレッジ」を実施
・“おもてなし”に関わる⼈財を育成するため、基盤となるマインド(⼼構え・価値観)から、スキル、知識、⾏動を分野別に学び、包括的コミュニケーションを⾝につけながら学ぶ内部講師による「⼀家ユニバーサルカレッジ」を実施
・社外取締役の赤塚元気氏(株式会社DREAM ON)を講師に招いた体系的研修を行う「元気塾」や総料理長による「料理講習会」の開催
・人事評価は、個人のパフォーマンスを細かく評価するため、幹部が集まる会議で毎月行う


社内の理念浸透がおもてなしの質を決める

--グループミッションである「あらゆる人の幸せに関わる日本一の‟おもてなし”集団」をはじめ、経営理念や社訓を社内に浸透させるためにどのような取り組みをされていますか?

(野瀬様)
武長(社長)は「どうしたらお客様に喜んでいただけるのか」というおもてなしの心を非常に大事にしています。創業当時から武長(社長)はその時代の社会情勢についてや、自分達が大切にしたい考えなどを手紙を書いて毎月給料明細と一緒に社員に配っていました。毎月書いているので数年もすればすごい量の手紙になります。その手紙を一冊にまとめた本「一家ダイニングプロジェクトで働くみんなへの手紙」を当社では「理念本」と呼び、バイブルとして理念浸透の取り組みで行う研修に活用しています。新卒社員や中途入社社員を対象に武長(社長)自らが講師となり、「理念本」を用いた理念研修を3日間実施しています。
現在は、秋山(副社長)が月に一度発刊される社内報「一家新聞」の中で社訓や理念にまつわるエピソード「副社長からみんなへの手紙」を自ら執筆し掲載しています。この手紙はアルバイトメンバー含む全社員が見れる社内SNSでも共有し、全社員が必ず読んで感じたことをSNSに投稿しています。おもてなしの質を上げていくのは、揺るぎない経営理念の浸透です。一人ひとりが自社の経営理念を理解し行動していくことで、企業ブランドは定着していくと考えています。
このほか3ヶ月に一度、本部や管理部の役員で行う社員総会で「社訓からの気づき」をテーマに社員がエピソードを発表する場を設けています。

年に一度、「一家祭り」を盛大に開催

-- 従業員のモチベーションを高める取り組みや制度はありますか?

(野瀬様)
当社は年に一度、アルバイトメンバーを含む全社員が集う「一家祭り」を開催しています。
ここではその場でしか味わえない一体感や従業員同士の触れ合いを大切にしています。
また年に一度、従業員を賞賛する場として、優秀店舗の1年間の取り組みと想いの発表をプレゼン形式にて行っています。優秀店舗の取り組みや工夫を発表することにより、参加した社員やアルバイトメンバーに気付きや学びを与え、全店舗のおもてなし力向上を目指しています。2部では3月に卒業するアルバイトスタッフの卒業式を行います。また、日々の営業の中でお客様から直接お褒めの言葉をいただく「スマイルカード」や従業員同士が感謝を伝える「スターカード」の制度を取り入れ、些細なことにも思いやりの心と感謝に気づける社内風土となるよう努めています。この「スターカード」の取り組みは3カ月ごとに開催される全社会議(経営方針会議)など様々な会議や店舗のなかで行っています。
そのほかにも、社内の結束力の向上を図るために社員旅行やバスケットボール、サッカーなどの部活動を行い、プライベートな時間においても良好な人間関係が築けるようサポートしています。

「価値観採用」やインターンシップ導入でミスマッチを防ぐ

--人手不足の観点から採用を成功させるために工夫されていることはありますか?

(野瀬様)
新卒採用においては「価値観採用」に重きをおいて「おもてなし」の価値観を共有する取り組みを行っています。会社の雰囲気が伝わるよう若手社員が工夫を凝らし運営する会社説明会や、実際に働く社員とコミュニケーションが取れる店舗見学会など「おもてなし」の価値観を学生と共有するための場を多く設けています。
また、積極的に学生のインターンシップを行い、会社への理解を深めていただくことで入社後のミスマッチを防ぎながら採用することができています。これまで中途採用に関しては人材紹介や求人媒体掲載で求人採用を行なっていました。今後はさらにアルバイトからの社員登用やアルムナイ(卒業生)採用、リファラル制度も積極的に行いたいと考えています。
さらに、従業員のワーク・ライフ・バランスにも配慮し、育児休暇制度の導入やリフレッシュ休暇として年に1回以上、3連休以上の取得や有給休暇の取得を推進しています。さらに、出産手当や子供手当、家賃補助、誕生日にはリゾートホテルの宿泊券などをプレゼントしています。これらの社内環境も採用に大きく貢献していると考えています。さらに、従業員の定着を図るために人財育成部が月に1回、コンディショニングアンケートの実施も行っています。

“働きながら学べる環境”⼀家ユニバーサルカレッジを実施

--従業員の育成について注力されていることや独自の教育プログラムや研修制度はありますか?

(野瀬様)
当社では働きながら学べる環境として「一家ユニバーサルカレッジ」を実施しています。このカレッジは、会社全体を大学に見立てており、様々な研修やカリキュラムを用意しています。主な目的は「おもてなし」に関わる人財を育成することで、基盤となるマインド(心構え・価値観)からスキルや知識、行動までを分野別に学び、包括的なコミュニケーションを身につける環境を提供することです。一家ユニバーサルカレッジでは、内部講師による講義だけでなく、外部取締役の赤塚元気氏(株式会社DREAM ON)を講師に迎える「元気塾」や、総料理長による「料理講習会」なども開催され、従業員のスキルアップを支援しています。

人事評価は、個人のパフォーマンスを細かく評価するため、幹部が集まる会議で毎月行われます。この評価に基づいて、個人の成果やKPIの達成に応じたインセンティブが支給されます。こうした毎月の評価プロセスを通じて従業員のキャリアアップの機会を増やし、成長意欲の向上に取り組んでいます。

求人者の方へ

--どのような人材を求められていますか?また、求職者の方に伝えたいことはありますか?

(野瀬様)
今年一年、会社の方針は「Let’s Enjoy」です。ただ仕事をこなすだけでなく、その過程自体を楽しんでほしいと思っています。困難な課題や挑戦が立ちはだかっても、その中に隠れた成長のチャンスや喜びを見逃さずに、前向きに取り組む姿勢を大切にしています。新しい視点を持ち、楽しみながら仕事に取り組むことで成果もより素晴らしいものとなるでしょう。そして、優れたIT技術を用いても、お客様の心を豊かにし、再度当店に足を運んでいただける魅力は人による温かなおもてなしにあります。我々は出店している地元地域のファンをこれからも増やすことを目指しています。そして、当社の理念を理解し、共感して一緒にファンを増やしてくれる方を歓迎します。

店舗情報:寿司トおでん にのや 有楽町店(代表店舗) /  東京都千代田区丸の内3丁目7−3

 

写真提供: 株式会社一家ダイニングプロジェクト  /  取材、執筆:秋山直子

INBOUND PLUS 編集部

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