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2021年6月から完全義務化されている飲食店のHACCP(ハサップ)

2020年6月1日より改正食品衛生法が適用となり、飲食店を含むすべての食品を取り扱う企業でHACCP義務化が始まりました。HACCP(ハサップ)とは「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略称で、消費者に危害を与えかねない食中毒や異物混入といった問題が発生する恐れのある工程を管理することで、食の安全性を確保する衛生管理の手法のことです。
各都道府県が定める条例に違反した場合には、2年以下の懲役、または100万円以下の罰金刑となる可能性があります。
※各都道府県、地方自治体によってはHACCP義務化に対する条例や罰則を設けていない場合もあります。食品衛生法違反と判断された場合、「3年以下の懲役、300万円以下の罰金」「法人1億円以下の罰金」が科されます。保健所の指摘に対しても改善がなされない場合まずは「営業禁停止処分」が科せられ、営業禁停止処分にも応じない場合に上記罰則が科されます。

HACCP義務化がスタートし、3年以上が経過しても依然として製造過程での異物混入や食の衛生に関する問題が解消されていないケースが見受けられます。この問題は深刻です。
本記事では改めてHACCP導入のメリットと食の安全についてお伝えしたいと思います。

HACCPは海外で始まった取り組みをもとにしているため、多くの飲食店にとってあまり馴染みがなく、取り組みを開始したものの停滞してしまったり、そもそもHACCPの義務化を知らなかったという店舗もあるのではないでしょうか。

HACCPの導入においては、下記の「7原則12手順」を行うことが求められています。

手順1:HACCPのチーム編成
手順2:製品説明書の作成
手順3:意図する用途及び対象となる消費者の確認
手順4:製造工程一覧図の作成
手順5:製造工程一覧図の現場確認
(手順1~5は 原則1~7を進めるにあたっての準備)

手順6  【原則1】:危害要因分析の実施(ハザード/HA)
※HAとは
手順7  【原則2】:重要管理点(CCP)の決定
※CCPとは
手順8  【原則3】:管理基準(CL)の設定
※CLとは
手順9  【原則4】:モニタリング方法の設定
手順10【原則5】:改善措置の設定
手順11 【原則6】:検証方法の設定
手順12 【原則7】:記録と保存方法の設定
公益社団法人日本食品衛生協会【HACCP導入のための7原則12手順】参照
https://www.n-shokuei.jp/eisei/haccp_sec05.html

上記の手順と原則を、全ての企業が一律の同じ基準で守らなくてはいけないかというとそうではありません。企業規模や事業特性に応じて求められる対応が分かれています。端的にまとめると以下のようになります。

飲食店は赤字の「小規模営業者等」に該当することが多いかと思われます。
その場合には、業界団体が作成した手引書を参考に以下の①~⑥の内容に対応すれば、HACCPに沿った衛星管理の基準を遵守しているとみなされます。

①【手引書の理解】
手引書の解説を読み、自分の場合は何が危害要因となるかを理解する。
② 【衛生管理計画等の作成
手引書のひな形により、衛生管理計画や手順書を準備する。
③ 【従業員への周知】
その内容を従業員に周知する。
④ 【実施状況の記録】
手引書の様式を利用して、衛生管理の実施状況を記録する。
⑤ 【記録の保存】
手引書で推奨された期間、記録を保存する。
⑥ 【計画等の見直し】
記録等を定期的に振り返り、計画や手順書を見直す

厚生労働省や各都道府県では、具体的なHACCP導入の考え方を示した手引書を策定し、インターネット上で公開しています。詳細は下記よりご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000099000.pdf

HACCPの最大の目的は食の安心安全です。飲食店はHACCPの導入で衛生管理のルールが明確になり、従業員への教育を均等に行うことができます。
また、食品事故の原因となるポイントを予測し対処することができるため、食品事故を未然に防ぐことも大きなメリットとなります。
SNSが普及した現代では、異物混入したニュースが瞬く間に拡散されてしまいます。これは飲食店において、ブランドイメージや信頼性に大きな影響を及ぼします。

HACCP導入には、全社員が一丸となって取り組む必要があります。皆が同じ気持ち・目的で行動できるように統一することが導入を成功させる第一歩といえます。
インバウンド需要が回復しつつある状況で、飲食業界における衛生管理や安全性の重要性が一層高まっています。特に食の安全に関する意識や取り組みは、外国からの観光客にとっても大きな関心事となっています。
一部のお客様や従業員による不衛生な事案が最近でも後を絶ちません。
本記事が改めて衛生管理の質の向上・維持の徹底を図ることへの見直すきっかけになれば幸いです。

INBOUND PLUS 編集部

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