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レシートの出し方にまで個性が出る  ヴェネチアで必見のレストランDama

Dama Restaurant

ヴェネチアを訪れる際には必ず行かれることをおススメするのがDama Restaurantです。https://www.damavenice.com/

料理には様々なジャンルがあります。
日本食、フレンチ、中華、イタリアン、アジアン、インド等。
しかしこのDama Restaurantはそのどれにも当てはまりません。

オルタナティブ料理やクリエイティブ、という分類を聞くことがありますが、もしどうしても分類をするとすればそのようなジャンルになるのかもしれません。

とにかく全ての料理から内装、最後にはレシートの渡し方まで独創性に溢れているのです。
普通お客様は〇〇ならこういうことを想像しているであろう、だったら私たちはそれとは異なる道を行く、そんな想いを随所に感じるお店です。

まずテーブルです。ちょっと高級なレストランのテーブルといえば、4人掛けのテーブルがいくつか配置されていることを想像することでしょう。しかしこのお店では入口を入ると、店の奥まで縦長なテーブルが目に飛び込んできます。右には4人テーブル、横にはカウンターもあるなどという通常の飲食店の風景ではなくテーブルは縦長テーブル1種類。つまり、他のお客様とテーブルがつながっているのです。しかし横の方との距離は保たれていて圧迫感はありません。席に着き横を見ると自分たちと同じように、目の前にはパートナーがいて、横には見ず知らずのお客さんが何組もいる、という不思議な光景を体験します。

そして、前菜が出てきました。イタリアではお通しという習慣はありません。

たまにパスタ麺を棒状に揚げたものが出てくるお店がありますが、日本のように小鉢が出てくるお店はまずありません。日本ではお水は無料ですが、イタリアでお水が無料ということはありません。よって、有料で注文をしていない限りお水でさえも出てはこないのです。

しかしこのお店は次の写真のような前菜が出てきました。この点でイタリアでは通常のお店とは異なる発想です。
何の料理なのか、どんな味がするのか、見た目では一切分かりません。一口サイズのこの前菜を食べてみると、やはり今まで食べたものを例に説明することは不可能なほど独創的な味がします。しかし思わず「何これ!美味しい」と声が出てしまうような品質なのです。

イタリアの食材だけではなく、日本の七味唐辛子やわさび、日本から仕入れた魚を使っているとのことだったので、やはり〇〇料理と国を指定するようなくくりが難しいお店です。

次にパスタが出てきました。イタリア本場のパスタと言えば誰しもが想像するのは、トマトやチーズがふんだんに使われてパプリカ、ベーコン、シーフードなどで彩られているような料理でしょう。

しかし出てきたのは次の写真のパスタです。一切具材がありません。何ひとつない、麺のみのパスタです。少し赤みがかったソースと緑色のソースがかかっているのみです。

そして口に運んでみると、燻製の香ばしい香りが広がりその後に絶妙なソースの味が広がっていきます。これもおそらく様々な調味料や素材を掛け合わせて創られているので、何かの味に例えようがありません。しかし、今までの人生の中でダントツ最も美味しいパスタであると断言できる美味しさでした。このパスタはこのお店でしか味わえないと感じ、翌日のランチでも訪れて全く同じメニューを注文したほどです。

ミシュランガイドの星の定義は次の通りです。このお店は星がついていないのが不思議なくらいです。個人的には下記の定義でいえば三ツ星に間違いなく該当するお店です。

★★★ 三つ星は「そのために旅行する価値のある卓越した料理」

★★ 二つ星は「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」

一つ星は「近くに訪れたら行く価値のある優れた料理」

究極のパスタというのは具材がなく、麺とソースのみに辿り着くのだと感じさせてくれた1品でした。

メニューにはヴィーガンメニューもありました。ヴィーガンメニューというとベジタリアンの方向けで、お肉や魚が好きな人にとってはどこか物足りなさを感じがちです。
しかしこのお店ではそれも逆手にとって、独創的な美味しさを提供してくれました。
こんなにトマトという素材は美味しいのだと改めて思わせてくれる工夫がありました。

そして最後にお会計を頼むと、このようなBOXが出てきました。
通常はよく見る小さなバインダーに挟まれて出てくるのが当たり前ですがこのお店ではお会計の示し方にも個性とクリエイティブが施されていました。

そしてもちろん「BOXは記念にお持ち帰りください」、と言われお店を後にしました。
お店のスタッフ全員が、これらの個性や独自性を大切にして楽しんでいることも存分に伝わってきました。

ヴェネチアに行かれる機会がありましたら、是非このDama Restaurantに訪れることを
心からおすすめいたします。

 

INBOUND PLUS 編集部

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