日本マクドナルドは、都心部に立地する184店舗で、適用価格を7月19日から改定することを6月19日に発表しました。同社はこれまで、空港や駅、遊園地、サービスエリアといった特殊な立地及び都心部の一部の計約40店舗では、賃料、人件費等の店舗運営コストを勘案して、その他の店舗と異なる価格設定をしておりました。この度、店舗運営コストの上昇を背景に、賃料、人件費等の負担が特に大きい東名阪エリアの一部の店舗において、都心型価格を新たに適用することを発表しました。対象となる店舗は、全国約3,000店舗の約6%にあたる、184店舗とのこと。
対象店舗は次のとおり。
https://www.mcdonalds.co.jp/media_library/20864/file.pdf
過去にマクドナルドでは圧倒的低価格にする”値下げ”で話題になったことがありました。それが2002年に8月に行った59円バーガーの発売です。ハンバーガー80円を59円、チーズバーガー120円を79円、フランクバーガー150円を75円に値下げするなどの価格改定を当時の約3900店舗で実行したのです。これには同年2月に行った値上げに対する顧客の反応が影響していました。2002年2月、2年間続けてきた平日半額セールを打ち切り、65円だったハンバーガーを80円に「値上げ」しました。しかしその途端、客数、売上高(いずれも既存店ベース)ともに前年比2割近く減ったのです。その歯止めのために8月に59円の「値下げ」に踏み切りました。その結果、客数の歯止めにはなりましたが、客単価を直撃し、売上高は減少が続いたという過去を抱えています。
供給側からすると値上げをせざるを得ない切実な事情を抱えているのも事実です。お客様の財布の紐が厳しくなっていることももちろん感じていることでしょう。当時は59円バーガーを2003年7月に80円に値上げし、客単価が回復し売上高(既存店ベース)もプラスになったといいます。それから約20年が経ち、経済環境も変わりました。デフレ脱却が叫ばれ、原価の高騰などから様々な商品が値上げをしている潮流です。
実質賃金が挙がっていないこの状況で、今回の値上げが吉と出るか凶と出るか大変注目が集まるところです。その結果はファーストフード業界のみならず飲食業界全体の今後の価格の考え方の大きな参考となるはずです。