― 株式会社ジェラフル ―
クレープ販売事業で好業績を収める株式会社ジェラフルは、今年7月で19周年を迎えます。
現在、大型商業施設を中心に全国で43店舗展開(2023年5月時点)。豊富なメニューを取り揃え、多様な顧客のニーズに対応しています。同社はクレープ事業だけでなく、バーチャルレストランや経営コンサルティングなど、多岐にわたり事業を行っています。
事業の想いや飲食店が抱える課題について、同社代表取締役:吉田 達二郎様にお話をうかがいました。
今回の取材で同社の取り組みには3つのポイントがありました。
この3つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。
1.クレープ業界のリーディングカンパニーを目指しブランドの認知を高める
・ 既存店舗を含め、5年以内に150店舗の出店を目標とし、企業ブランドの認知向上を目指す
・FC(フランチャイズチェーン)展開において、一定の基準以上の成果を達成することを目的に、統一されたマニュアルに基づいたオペレーションや研修を実施
2.長期間勤めたスタッフに開業資金をサポート
・社員全員がほぼ100%の有給休暇消化率を達成
・長期間勤めたスタッフに対して独立サポートを実施 優秀な成績を収めたスタッフには独立を開業資金0円でフルサポート
3.アルバイトの50時間以上の研修などにより接客力の向上を強化
・少人数でも効率的に店舗を運営する方法などを具体的にまとめたマニュアルを使用
・FC店オーナーは研修センターで直営店のスタッフから学べる環境を提供
・アルバイトは接客や実技の研修に50時間から100時間をかけ実施
・店舗売上目標の達成度合い、正確な勤怠管理、効率的なマネジメント、勤務態度、チームの指導力、これらの要素を総合的にみて評価
ジェラートとクレープの二本柱で出店
――2004年に創業されていますが、クレープ店を始められたきっかけは何ですか?
(吉田代表)
芸能界で10年間の活動経験を持ち、収入の不安定さから様々な業種のアルバイトを経験しました。なかでも飲食店での仕事が多く、日雇いのような仕事が続きました。
30歳を超えた時に将来に向けて2つの選択肢が浮かび上がりました。一つは芸能事務所の経営でキャリアを築くこと、もう一つは独立してビジネスを始めることです
偶然にもスイーツ店の出店者を探している知人から声がかかり、飲食店経営に挑戦することを決めました。主力商品として片手で楽しめるスイーツを提供することを考え、最初にジェラートを検討しましたが、冬季の売上げが課題となり、クレープも同時に導入することにしました。
当時のクレープは薄くパリパリした生地ばかりで、フルーツも缶詰のものが主流でした。ここに私は勝機を見出し、ホットケーキのようなふっくらとした生地と新鮮なフルーツにこだわることを決めました。開業場所の汐留は人が集まりにくい場所でしたが、美しいイタリア街のレンガ造りの街並みが撮影スポットとして注目を浴び、芸能人の訪問や口コミにより雑誌の取材を受けるようになりました。
クレープ業界のリーディングカンパニー
――現在、多くの店舗を出店されていますが、御社のビジョンや目標は何でしょうか?
(吉田代表)
当社はクレープ業界のリーディングカンパニーを目指しています。クレープ業界では市場規模が小さいため約150店舗の出店がトップクラスとされています。最低でもこの数を既存店を含め5年以内に達成することを目標とし、企業ブランドの認知向上を目指します。FC展開では、集客の安定化が重要です。当社のFC店は一定の基準以上の成果を達成することを目的に、統一されたマニュアルに基づいたオペレーションを行っています。また、大型商業施設内での出店を主とし、天候の影響を受けずに競合他社も少ないため、安定した販売環境を提供しています。
成績優秀なスタッフに開業資金0円で独立をフルサポート
――人手不足問題について。御社では採用時にどのような工夫をされていますか?
(吉田代表)
地域に密着した知名度の高い求人媒体を利用すると求人への応募者数が増加します。具体的には、昨年12月に東京の国分寺と茨城の龍ケ崎で新規店舗をオープンしましたが両店とも、4人〜5人の採用に対して応募者数は40人以上でした。応募者数は出店場所にも影響します。大型商業施設内は、充実した商圏がありますのでそこも影響しているのだと思います。コロナ禍で多くの飲食店は人手不足が深刻化していましたが、当社においては逆の状況でした。2年前のコロナ初期、特に都心部で飲食店のアルバイトの方が次々に解雇される状況でした。しかし、当社の埼玉の店舗でスタッフ募集を行ったところ、1店舗に対して約120人の応募者が集まりました。これは、都心部には通わず郊外に留まった多くの方が当社に応募いただいたのだと思っています。
――大型商業施設は休館日以外休みが取れない中でスタッフの休暇取得はどのようにされていますか?
(吉田代表)
当社では、社員全員がほぼ100%の有給休暇消化率を達成しています。ただし、具体的な休暇の日程に関しては、店舗の状況を考慮して調整をお願いしています。休暇の日程については、できるだけ平日を選択していただくようお願いしています。お客様へ満足いただけるサービスの提供と効率的な業務運営を両立させることを目指しています。
――御社では離職率を下げ、雇用安定に向けた取り組みはされていますか?
(吉田代表)
大きな取り組みとして当社は、長期間勤めたスタッフに対して独立サポートを実施しています。成績優秀なスタッフには、開業資金0円で独立をフルサポートします。通常、飲食店を独立するには膨大な資金が必要です。当社FC店の場合は商業施設の中に出店することを基準にしています。さらに、独立を目指すスタッフは、店長としての経験と経営に関する知識を持ち合わせており、事業を成功させるために必要な能力を備えています。実際、これまで数名のスタッフが独立し、売上目標を120%達成しています。
従来は固定の店長給与しか得られなかったスタッフにとって、自身の努力次第で収入が何倍にも増える可能性が生まれます。この変化は、個人の意識や行動にも影響を与えます。自分自身が経営者となることで、自ずと考え方も変わるのです。
効率的な店舗運営とスタッフ評価のポイント
―― 社員研修や店舗オペレーションはどのようにされていますか?
(吉田代表)
当社では、約100ページ程度のボリュームで構成されるマニュアルを用意しています。内容は店舗オペレーションのほか、私の長年にわたる現場経験を通じて、少人数でも効率的に店舗を運営する方法などを具体的にまとめ、ブラッシュアップさせながら進化しています。FC店オーナーも、このマニュアルに基づいて店舗運営を行っています。
また、当社は研修センターも設けており、直営店のスタッフから直接学ぶこともできます。FC店オーナーの方の場合、研修期間は通常1週間から2週間程度で修了できます。さらに、アルバイトスタッフなどについては、接客や実技の研修を50時間から100時間かけて丁寧に行い、少ないスタッフの日でも現場で活躍できるようにしています。
――スタッフの評価はどのようにされていますか?
(吉田代表)
店舗売上目標の達成度合いは、会社の成功を測る上で非常に重要です。また、正確な勤怠管理や効率的なマネジメント、従業員の勤務態度やチームの指導力も考慮され、これらの要素を総合的にみて各店舗の店長や役員が評価しています。
――求職者の皆さんにどのようなことを伝えたいですか?
(吉田代表)
かつて、日本は治安が良いと言われてきましたが、現在は様々な国から人が訪れ、日本も働き方など一層に変化していくでしょう。私は全ての若者が危機管理などの考え方を持つことは大切だと考えています。履歴書で偽名が使われるケースもあるため身分証明書を保持しておくことも大切です。面接時の服装や言葉遣い、目線、声のトーンに至るまで、お互いの真剣さを伝えるためにTPOをわきまえた言動を重視しています。会社側が求める基本的なことと個人が持つ価値観をお互いに敬意を持って臨んでいきたいと思います。
店舗情報:ジェラフル綾瀬店(代表店舗) 神奈川県綾瀬市深谷3734−1