キーマンインタビュー
【インバウンド×在宅ワーク】
通訳者をすぐに呼び出せるサービス「クラウド通訳」
株式会社オプテージ 事業開発部 クラウドワーク事業推進チーム プロジェクトリーダー
平山満 様
訪日外国人の受け入れの課題として、「言語対応」と答える方は多いのではないでしょうか。今は翻訳アプリでなんとかやりとりされている方も少なくないかもしれません。しかし、機械を通した表面的なやりとりではなく、もう少し踏み込んだ対応がしたい、という方におすすめしたいのが、株式会社オプテージの「クラウド通訳」です。「さっぽろ雪まつり」の公式通訳ツールとしても導入されているこのサービスは、タブレットやスマートフォンのアプリ画面を通じて在宅の通訳者が対応をしてくれるため、対人ならではの細かなニュアンスのやり取りを可能にしてくれます。また、外国語のスキルを活かして在宅で柔軟に働きたいという方にもおすすめしたいサービスです。今回は「クラウド通訳」の開発者でもある同社の平山さんにお話をお伺いしました。
こだわりは質と価格
「クラウド通訳」はどのようなサービスですか
タブレットやスマートフォンのアプリを通じて通訳をおこなうサービスです。現在は英語・中国語・韓国語・タイ語の4カ国語を展開しており、9時~21時の間で365日対応しています。大きな特徴は機械ではなく、人が画面越しで通訳をするということ、そして、通訳者が在宅で働けることです。ただ通訳をするだけではなく意図をくみとった通訳ができるかという点や、接客態度等もみて通訳者を採用しているので、質の高い通訳を提供することができます。
(通訳イメージ)
「質と価格」がこだわりとのことですが、どのようにこのふたつのバランスを実現されているのですか
価格に関しては「通訳者が在宅で働ける」ということがカギだと思います。従来のコールセンターの形態では建物やシステムの維持費、勤務者の交通費等のコストがかかります。しかし、「クラウド通訳」は在宅ワークであることでそれらのコストがかからない分、リーズナブルな価格で提供することが可能になっています。また通訳者の質に関しては、採用面接時に通訳能力以外もしっかり見極めることで維持しています。採用にはクラウドソーシングのプラットフォームをいくつか利用して、案件への応募→面接→採用の流れで行っています。先程も述べたように、通訳の能力はもちろん、表情や接客態度等の人格面も重要な判断材料として、面接を行っているので、実際に利用者からの評価も高く、「通訳者の人柄がいい」といった声をたくさんいただいています。通訳者の質以外にシステムの質にも力を入れています。弊社が通信事業を行っていることもあり、システムに強い人材が維持管理をしていますので接続状態の心配もなく安心して使っていただけます。
通訳者はどのような方が多いのですか
現在は30~40代の女性が多いです。在宅で都合の良い時に働けることから、主婦の方が比較的多いと思います。また、ネット環境さえあればどこにいても働けるので、国内だけでなく海外在住の方もいらっしゃいます。在宅で働きたい方は増えていますし、インバウンド市場も盛り上がっているので、働く場所や通訳者が確保できないといった心配もなく安定してサービスを拡大できています。
通訳内容によっては専門的な言葉や知識が必要な場面もありますが、システム上で各通訳者が情報を参照できるようにしており、スムーズに通訳できる環境を整えています。
身近な人の存在がきっかけ
通信事業からインバウンド市場に参入されたきっかけは何ですか
私の姉がきっかけです。姉は大学で英語を専門に勉強していて留学経験もあり、就職先でもそのスキルを活かした仕事をするはずでした。しかし、大学卒業後すぐに結婚し、仕事をやめて専業主婦になりました。英語のスキルはあるのにそれをうまく活かせずにいる姉をみて、もったいないなと。何かそのスキルを活かす方法はないかと考えたとき、在宅で通訳ができる現在の「クラウド通訳」を思いつきました。つまりインバウンド業界に参入しようという心意気ではじめたというよりは、姉のように「スキルはあるけどそれを活かす環境がない」という方のために考案したことがきっかけです。
(平山さん)
普及していく上での苦労はありますか
先行しているサービスとの差別化と、機械化が進む中での差別化です。インバウンド市場の成長に伴い同じようなサービスが増えてきていたり、機械で代用しようという流れがあったりするので、サービスを普及させていくのは簡単ではありません。しかし、このサービスの「質と価格」の強みと、もともとの通信会社という強みを活かし差別化をはかっていきたいです。
場所に縛られず、自分のスキルを活かせる人を増やしたい
今後の展望を教えてください
「クラウド通訳」に関して言うと、まずはオリンピック等のイベントに向けて、今後通訳者を増やしていきたいです。サービス内容の面では、対応できる言語を増やし、夜間の対応も充実させたいです。また、会議での利用や個人での利用といった、現在と違ったシーンでも使えるような仕組みもつくっていきたいと考えています。
在宅ワークを支援する観点から言うと、今後もインバウンド業界に限らず、他業界に関しても場所に縛られず働ける環境をつくっていきたいです。
(料金体系)
【編集後記】
今後もさらに訪日外国人が増加する中で、機械よりも正確に、すぐに対応できるサービスとしてとても便利だと思いました。また語学スキルはあるけど活かす場所がなく困っているという方にはぜひおすすめしたいサービスです。