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【愛知県×インバウンド対策】
無料で利用できる多言語コールセンターとWi-fiアプリ

外国人旅行者の増加は喜ばしいことではあるが、受け入れのための環境整備が万全な場所はまだまだ限られています。今回は、愛知県全体のより良い環境整備に取り組む愛知県観光コンベンション局にインタビューしました。

空港でのアンケートから見えた外国人旅行者受け入れに関する課題

外国人旅行者受け入れの環境整備は進んでいますか?

 はい、進めています。本県では、中部国際空港で出国する外国人旅行者の方に訪日中の感想を伺うアンケートを毎年実施しております。その結果、滞在中に困った点の上位2つが「コミュニケーション」と「Free Wi-Fi スポット」への不満であると分かりました。この内容を受けて、今年度から外国人旅行者の受け入れ促進に関する事業を新たに2つ始めました。

無料で利用可。愛知県多言語コールセンター

まず1つめの事業について教えてください

はい、まず1つ目は、県内の観光関連事業者様、外国人旅行者様を対象にした「愛知県多言語コールセンター」です。多言語による電話通訳・テレビ電話通訳・簡易翻訳のサービスを行っています。主に小売業や宿泊業、飲食業を行っている中小企業に対して、無料で提供しています。
 また、市町村の観光協会に所属している観光施設は事業規模の大小にかかわらず本サービスの利用が可能です。例えば、飲食店で翻訳サービスを利用しメニューを多言語化したり、本サービスの通訳を利用して相手とのコミュニケーションをスムーズに行ったりすることができます。それから小売店などで、テレビ電話通訳なら商品を手に取りながら説明でき、通訳者の顔が見えるためお客様も安心といった利点もあります。その他にも宿泊施設では、フロント業務が電話通訳やテレビ電話通訳の力を借りて効率化され、他のお客様の待ち時間を減らせることなどが本サービスの代表的なメリットとして挙げられます。
 電話通訳に関しては、外国人旅行者から電話がかかってきた際にコールセンターのオペレーターも含めた三者通話のサービスもあります。翻訳サービスの内容は、登録事業者様から翻訳したいテキストを専用メールアドレスに送っていただくと、翻訳したテキストを48時間以内に返信させていただきます。外国人旅行者に対しては、IP電話による無料通訳サービスを提供しております。こちらは利用促進のために、コールセンターに繋がるQRコード記載のカードをホテルのフロントや空港の案内所、駅などで配っていただくなどの活動をしています。外国人旅行者が旅先で道に迷われた際や、外出先で通訳が必要になった時に利用していただけます。


英語、中国語を含め全9か国語に24時間365日対応。(一部言語は時間制限あり)

多言語コールセンターを利用するにはどうしたらいいですか

 多言語コールセンターの利用手順は、愛知県のホームページ(こちら)から申請書をダウンロードしていただいた後に、必要事項を記入することで申込みいただけます。留意点としては、本県観光に関する案内をメインとした日常会話程度を想定しておりますので、医療通訳や法律相談など専門的な通訳や翻訳は対象外です。現在はこれらのサービスを広く周知し、利用者の増加を図ることが大きな課題です。他県でも自治体や観光協会等が同様のサービスを行っている所がありますが、本県では他の都道府県の優れたところを広く学ばせていただき、無料でより多くの言語に対応するなど、可能な限り便利なサービスを提供しています。
 今までのところ、最も多くの方にご利用いただいているのは翻訳サービスです。例えば和服の貸衣装店での事例を想定すると、着方、返し方、注意点などを対象客の言語に翻訳することが必要になる場合があります。その際に英語だけでは、需要のある中国や韓国の方が読めない場合があるので、多言語への翻訳依頼があります。サービス開始当初は免税店のみが利用対象だったのですが、皆様からのご要望が多かったため、今は対象の事業者を小売店にも広げました。

Free Wi-Fiをもっと便利にわかりやすく

もう1つの新たな取り組みは何ですか?


はい、2つめの事業は外国人旅行者向け無料公衆無線LAN簡易接続アプリ「AICHI Free Wi-Fi Connect」の配信です。実は愛知県内には無料公衆無線LANが約4.1万アクセスポイントあります。これは東京・大阪に次ぐ3番目の多さなのにも関わらず、「Free Wi-Fi スポットが少ない」という不満が上位に来ていました。その原因の1つに、見つけにくいことが想定されました。皆様のスマートフォンのOSのWi-Fi設定を開いていただくとセキュリティのあるもの、セキュリティの無いもの、使えるもの、使えないものが一覧で表示され、非常にわかりにくいです。そうした分かりづらさから、Free Wi-Fiの利用をあきらめてしまっていると思います。私どもは、あいち無料公衆無線LAN推進協議会という官民が連携した組織を作っており、構成員の大手通信事業者が提供している無料公衆無線LANの電波のみを拾って表示する外国人旅行者専用のアプリを作成し、提供しています。そのWi-Fiスポットに1度つないだ履歴があれば、その後は自動で接続されるため、一々設定する手間がかかりません。現在は、観光案内所や飲食店などにパンフレットを置いていただき、そのパンフレットからアプリをダウンロードしていただいております。(現在はアンドロイド版のみで、iOS版は開発中)


愛知県観光コンベンション局長藤田昇義様と、国際観光コンベンション課長稲波智子様

多言語コールセンターの利用申込はこちら

編集後記:
今回、取材させていただいた愛知県観光コンベンション局の積極的な取り組みから、今後更に増える外国人旅行者へのおもてなしにおける課題と、その解決を探して知恵を絞る行政の奮闘が垣間見えました。(INBOUNDPLUS編集部 新國光太郎)

取材・写真:世良田一輝
編集:新國光太郎

INBOUND PLUS 編集部

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