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外国人が選ぶ「フォトジェニック観光スポット」1位に選ばれた
洞爺湖のWi-Fiを活用したインバウンド戦略

 台湾人を中心に、ここ数年急激に訪日外国人観光客が増加し、年間34万人もの外国人が訪れる洞爺湖温泉。今回はインバウンドの受入環境整備の一環として、洞爺湖畔に日本最大級全長2.5kmに渡って途切れることなく設置されたフリーWi-Fiについて、洞爺湖温泉観光協会の藤川様に話を伺った。

「洞爺湖町」基本Data

●概要:
地理:北海道中央南西部に位置。
観光資源:洞爺湖、有珠山

2008年に北海道洞爺湖サミットが開催。
2009年に洞爺湖有珠山ジオパークが日本国内初の「世界ジオパーク」に認定。

●延べ宿泊者数:
全体:前年度比4・9%増の73万3003人
訪日客:前年度比21・5%増の34万2543人(過去最高)

【訪日客の主な国】
台湾:同19・9%増の11万1353人
中国:同17・2%増の9万7745人
韓国:同60・5%増の5万6490人

●Wi-Fi導入時期:平成26年12月
●Wi-Fi設置台数:14AP
●Wi-Fi利用者数:月間述べ8000人程度

戦略的にWi-Fiを活用するため、屋外にWi-Fiを設置することを選択した。

 年々増加する訪日外国人のインターネット環境の整備のために、Wi-Fi導入を決定した洞爺湖町。しかし、Wi-Fiを導入すること自体は手段と捉え、明確に導入目的を設定したことが、その後の大きな成果に繋がったと藤川氏は語る。「宿泊ホテル内に留まりがちな訪日客に街に出て回遊してもらう為、またロングラン花火大会や各種イベントの際に、すぐにSNSに投稿してもらい拡散数を増やす為に、屋外のWi-Fi設置は必須だと考えていました。」

写真スポットとして大人気の湖畔脇の遊歩道。

日本最大級!?全長2.5kmに渡って、途切れることなく続くフリーWi-Fiエリア

 平成26年12月、湖畔脇の遊歩道を中心に全長2.5kmに渡って、途切れることのないフリーWi-Fiエリアを設けるため、街灯やポールなどにアクセスポイントを14箇所設置する工事を実施。

街頭に取り付けられたWi-Fiルーター。

 設置後は、訪日客のWi-Fi利用を促進するために、街中にWi-Fiが利用できることを示すステッカーを貼るなど、徹底した告知作業も行っている。

街電柱に貼られたWi-Fi告知用のステッカー。

 また、Wi-Fi提供事業者であるファイバーゲートのサービスは、Wi-Fiに接続した訪日客に対して、強制的にページを表示する機能が搭載されており、洞爺湖町では、多言語化した観光サイトやFacebookページなどへ誘導するハブとなるページを表示している。

外国人がWi-Fiに接続した際に表示されるページ

外国人が選ぶ「フォトジェニック観光スポット」1位に選ばれた要因はWi-Fi整備にあり!?

 昨年夏、旅行サイト「トリップアドバイザー」が発表した、夏休み時期に写真投稿が多かった「夏のフォトジェニック観光スポット」の外国人旅行者編で見事に1位を獲得。その理由を藤川氏は、「これからは個人客(FIT)にどうやって洞爺湖の魅力をPRしていくかと考えた時に、インターネット上の情報を充実させることが重要と捉え、昨年からGoogleマイビジネスやトリップアドバイザーに正確な情報を登録するなど、コツコツとした作業を進めてまいりました。そして、そこに屋外Wi-Fi環境が整ったことで、ネット上で洞爺湖の情報を収集し訪れた外国人旅行者が、人気写真スポットで撮影をし、Wi-Fi環境下ですぐにネット上に投稿するという流れができたことが、今回1位を獲得できた大きな要因だと思います。」と情報拡散にWi-Fiが果たした効果は大きいと語る。

「夏のフォトジェニック観光スポット」ランキング:https://tg.tripadvisor.jp/news/ranking/photogenic-japan/2/

多言語化は、ただ翻訳するのではなく、言語によってコンテンツを変えるなどの工夫が必要

 洞爺湖町はこれから、より個人客(FIT)対応を強化するため、ウェブサイトの多言語化の強化を行う予定。ただ多言語に翻訳するのではなく、言語によってコンテンツを変えるなど、「外国人にとって使えるコンテンツ」作りを目指す。また、Wi-Fiにおいては、より広域にWi-Fiを設置することを検討。近隣の体験型プログラムに誘導することやプログラムを充実させることも大きな課題として挙げている。

最後に -インバウンドプラス編集部より-

 これまでWi-Fiは、受入環境のインフラ整備として導入されるケースが多かった。しかし、今回の洞爺湖町のように上手く活用することで、SNSでの情報拡散の効果を狙うこともできる。この数年で自治体のWi-Fi導入も急速に進んでいるが、今回お話をお伺いして、これからは、それをどう活用するかのフェーズに入っていくという印象を受けた。

INBOUND PLUS 編集部

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