東北地方のインバウンド需要に対応するため、仙台市内の宿泊施設が新たな動きを見せています。中心部のホテルではリニューアルによってグループ向け客室を増やし、郊外では古民家を再生した体験型ゲストハウスがオープンしました。
本記事では、これら仙台の新しいインバウンド戦略について紹介します。

三井ガーデンホテル仙台、グループ客向けに改装し再出発

仙台市中心部に位置する三井ガーデンホテル仙台が、6月14日にリニューアルオープンします。今回の改装の目玉は、客室の広さとデザインの刷新です。これまで2室しかなかった3人部屋を31室へと大幅に増やし、インバウンドの主要ターゲットである台湾、中国、香港といった東アジアからのグループ旅行客の需要に対応する狙いがあります。

客室のデザインは、従来の機能性重視から、ゲストがゆったりとくつろげる空間へと変更されました。最上階の大浴場も男女共に内装を一新し、特に女性脱衣室ではパウダールームが拡張され、シャンプーやリンスも複数から選べるなど、きめ細やかな配慮がなされています。ロビーにも緑が加えられ、ホテル全体で快適な滞在を提供しようという意図が感じられます。

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郊外に古民家ゲストハウス「アゼミチタベネル」誕生、体験で誘客

仙台市青葉区の郊外には、築50年を超える古民家をリノベーションしたゲストハウス「アゼミチタベネル」が4月にオープンしました。新築需要の減少を背景に、泉区の工務店である建築工房零が新たな可能性を探り、民泊事業に初参入しました。

木造2階建て、延べ床面積約50坪のこのゲストハウスは、メインの団欒の間には冬場に薪ストーブを置くこともでき、浴室からは四季を感じられる坪庭が見えるなど、こだわりの空間が広がっています。キッチンと4つの寝室を完備しており、1棟貸し切りで1泊7万5000円で利用可能です。

「アゼミチタベネル」は、単に宿泊するだけでなく、田んぼのあぜ道がある風景を楽しむことをコンセプトに、バーベキューやテントサウナが利用できるほか、和装の着付け体験、近くの神社での写真撮影、さらには習字や田植えといった地域ならではの体験も提供できる点が大きな特徴です。

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東北のインバウンド需要に対応、長期滞在で地域活性化へ

東北地方のインバウンド需要が伸び悩む中、三井ガーデンホテル仙台は、将来的な伸びを見込み、これまでのビジネス客以外の顧客層、特に訪日外国人旅行客の囲い込みを図っています。柳原卓総支配人は、ホテルの魅力を高めることで、リニューアルがシェア拡大の勝機となると語っています。

また、東北観光推進機構の調査によると、最近のインバウンドでは家族や小グループでの旅行が増加しており、自然や郷土料理を楽しむ地域ならではの体験への需要が高まっています。「アゼミチタベネル」のような体験型ゲストハウスは、こうしたニーズに応えることで、旅行客の長期滞在を促し、地域の活性化にも貢献すると期待されています。
仙台市におけるこれらの新たな動きは、多様化するインバウンド需要に対応し、地域の魅力を高める重要な一歩となるでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。