長期間外食産業に大打撃を与え続けた新型コロナウイルスも2023年5月には感染症法上「5類」となり、日本経済はポストコロナへ移行しました。
本記事では、日本フードサービス協会が発表した「外食産業市場動向調査令和5年(2023年)年間結果報告」より、ポストコロナ移行が2023年の外食市場に与えた影響などを紹介します。
外食需要は回復傾向。インバウンド需要拡大と客単価上昇の影響が大きい
調査結果によると、2023年は年間通して外食需要は継続的に回復傾向にあり、結果的には全体売上は前年比114.1%、コロナ禍前の2019年比107.7%となりました。
回復要因の1つにはインバウンド需要の拡大が挙げられており、4月の入国規制緩和などが好影響を与えたようです。
また、調査報告では客数は2019年の水準までは回復していない(2019年比90.9%)と推定し、売上回復の背景には客単価の上昇(2019年比107.3%)があるとされています。
これは、単に「来店客がたくさんお金を使うようになった」ということではなく、原材料費高騰などに起因する価格改定が影響している点には注意が必要です。
テイクアウト・デリバリー以外の飲食店は厳しい状況が続く
売上の回復傾向を業態別に見ると、テイクアウトやデリバリーのサービスがあるかどうかが大きく明暗を分けています。
具体的には、「ファーストフード」が2019年比120.1%と好調を維持している一方で、「ファミリーレストラン」(2019年比98.9%)、「ディナーレストラン」(2019年比93.6%)、「喫茶」(96.2%)などは惜しくもコロナ禍前の水準には届かない見込み。
特に「パブ/居酒屋」は2019年比66.5%と厳しい状況が続いており、この背景には店舗数自体の大幅減少(2019年比69.0%)が影響しているとされています。
インバウンド需要を利用して売上回復を
調査報告にもあったとおり、外食産業の売上回復のためには、インバウンド需要が重要なポイントだといえるでしょう。
2023年は10月以降、コロナ禍前の2019年の水準を上回る多くの外国人観光客が日本を訪れています。
外国人観光客をターゲットにしたサービスやメニューを開発し、インバウンド需要に応える準備を整えましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。