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毎月昇給を検討する業績連動の報酬制度 10年後売上100億円、従業員ファミリー1万人を目指す事業戦略 オーイズミダイニング

― 株式会社オーイズミダイニング

株式会社オーイズミ(東証一部上場:代表取締役社長 大泉 秀治氏)のグループ企業として、2006年に設立された株式会社オーイズミダイニング(代表取締役 大泉 政治氏)は、飲食業界で多様な業態の飲食店を展開しています。主力ブランド「月あかり」の居酒屋業態のほか、蕎麦、串焼き、焼肉、スイーツなど7業態を運営。現在、関東や東北を中心に30店舗の飲食店を運営しています。また、飲食店だけでなく静岡県伊東市に位置する「セブンシーズホテル」を筆頭に全国で5店舗のホテルを経営しています。
飲食事業への想いや従業員との関わりについて、同社​東日本広域事業部 事業本部長の渡邉 弘行様と、総務兼人事・広報リーダーの大園 陽子様にお話を伺いました。

今回の取材で同社の取り組みには4つのポイントがありました。
この4つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。


1.  オリジナル性を大切にし、従業員のアイデアや挑戦を尊重
・役員と店長が月に1度、リモート面談を行いアイデアや改善点を共有
・社員は3ヵ月に1度のリモート面談を実施し、理念に沿った行動を振り返る機会を提供
・面談で出される意見やアイデアを否定せず具体的なサポート策を検討する姿勢を重視

2. 定着率向上に「現場ファースト」の実践と毎月の昇給査定
・現場の意見を会社に反映させるため役員自身が店舗に入り、共に働くことでコミュニケーションを深め組織への協力、連携を促進
・業績を賞与と昇給に反映。毎月行う査定で従業員のモチベーション向上を後押し

3. ライフスタイルに合わせた多様な雇用形態の提供
・リファラル採用やアルバイトから社員登用に加え、外国人採用の強化
・タイミー導入による短時間勤務者の採用を拡大。タイミー利用者を社員に登用
・スタイリッシュな「大衆酒場 郡山ワタル」の立ち上げ。求人応募が約120件あり若手社員の確保に成功
・希望者にホテル事業へのポジションチェンジを行い、キャリア形成をサポート

4. 10年後に年間売上100億円、従業員ファミリー1万人企業を目指す
・来期より農業分野へ参入し、食材の自給自足を目指す
・幅広い人材採用と持続可能な事業展開に寄与する循環型ビジネスを推進


外食産業を活性化させたい

--株式会社オーイズミのグループ会社としての設立の背後には、どのような狙いや目的があったのでしょうか?

(渡邉事業本部長)
株式会社オーイズミはパチンコ屋の遊技機メーカーですが、会長の大泉が食べることが大好きで、食に対する情熱が高じて飲食業界に進出した経緯があります。グループ内で同じ外食事業を行う株式会社オーイズミフーズ(代表取締役社長 大泉 賢治氏)と共に外食産業を活性化させたいという目的がございます。飲食企業が2社あることで異なる業態やコンセプトを持ちながら、共に成長し続けることを目指しています。同時にお客様に多様な選択肢を提供し、外食業界全体のクオリティ向上に貢献したいと思っています。

面談でアイデアや改善点を共有

 --「私たちは創造的な仕事をおこない、多くの人に愛される企業でありたい」この会社のビジョンを従業員に浸透させるための取り組みはされていますか?

(渡邉事業本部長)
当社はオリジナル性を大切にし、さまざまなことに挑戦している会社です。企業としても社員に対しても、こうでなければという偏った考えではなく、こうなると面白いだろうなという個々の持つアイデアを汲み取り、実際に現場で活かしていきたいと考えています。そうすることでお客様やお取引先に喜んでもらい、働く我々も楽しめるような、まわりに愛される企業を目指しています。

この想いを社内に伝えるために月に1度、役員と店長がリモート面談し、アイデアや改善点を共有し合います。新たなアプローチや施策に関する意見交換が行われ、共通のビジョンを持つための協力体制を築いています。また、社員に対しては3ヵ月に1度リモート面談を行い、理念に沿った行動ができていたか振り返る機会を設けています。この面談では業績について話さないようにしています。
我々は面談時に出される意見やアイデアを否定することはありません。実際にどうサポートしたら実現できるかを重点的に検討しています。

「現場ファースト」と毎月の昇給査定

--従業員の定着率を高める制度や取り組みはありますか?

(渡邉事業本部長)
現場ファーストの考えを尊重しています。とにかく現場の意見を会社に反映させていこうとコロナ禍を経て、従来の組織構造とは逆の視点で現場スタッフの声を積極的に取り入れています。具体的には役員自身も店舗に立ち入り、現場スタッフと共に働くことを実践しています。そうすることで良好なコミュニケーションが生まれ、本部と現場スタッフとの距離が縮まり、より協力的な組織となっています。

(大園様)
業績が良ければ賞与に反映されます。昇給制度についてコロナ前は半年に1度の査定でしたが、コロナ後は毎月の査定制度に変更しました。この変更は個人の努力と業績の関連性を明確に示し、どんなチャレンジにも意欲的に取り組む姿勢を奨励するためです。頑張り次第で店舗の業績が向上し、それに伴う毎月の昇給チャンスがあるため従業員のモチベーション向上の要因になっていると思います。

ライフスタイルに合わせた雇用形態

-- 会社の採用アップに向け、何か工夫されていることはありますか?

(大園様)
人材確保は最大の課題です。以前からリファラル採用やアルバイトから社員に昇格させる取り組みを行ってきました。今後の重点的な方針として、外国人の採用を強化していく予定です。また、今年から短時間でも働ける「タイミー」を導入しました。実際にタイミーを経由して働いてくれた方の中から社員として採用したケースもあります。

(渡邉事業本部長)
若手社員の不足が課題として浮上しており、この課題に対処するために、福島県の郡山で異色の大衆居酒屋「大衆酒場 郡山ワタル」を立ち上げました。
この店の特徴はカフェスタイルでカジュアルとモダンの2つのエリアに分かれています。それぞれデザインや家具なども違ったテイストでおしゃれな空間を演出しています。このお店に対する求人応募が約120件もあったことから、地域に根ざしたスタイリッシュな店舗は、企業の魅力を高める要因であることを再認識しました。

(大園様)
今、働く人のニーズは大きく変化しています。個々の希望やライフスタイルに合わせた雇用形態が必要です。100人いたら100通りの雇用形態があってもいい時代になると思います。当社は飲食店だけでなく、ホテル事業も行っています。従業員には飲食店でのポジションからホテル業へのチャレンジも可能です。多様な経験と異なる職種を提供し、キャリア形成が実現することは採用アップにつながる当社の魅力です。

10年後100億円の業績を目指す

--今後のビジョンを教えてください。

(渡邉事業本部長)
我々は10年後を一つの区切りと捉え、大きな目標を掲げています。その目標は10年後に、年間売上100億円を達成し、従業員とその家族を含めた1万人規模に拡大することです。これにより多くの雇用機会を生み出し、社会への貢献を図ります。

さらに、私たちは新たな挑戦として来期より農業分野への参入を計画しています。この取り組みは食材の生産から調達、提供までの循環を実現し、持続可能な事業展開に寄与するためです。自社で食材を育て、それを自社の店舗へ供給する環境を構築し、美味しい食事を提供するためのプラットフォームを広げ、多くの人に提供することを目指しています。

求職者の方へ

--求職者の方に伝えたいことはありますか?

(渡邉事業本部長)
今後、農業を行うことも踏まえて当社、そしてオーイズミグループは多様な事業展開を行っていきます。
キャリアアップの環境やサポートは当社の魅力です。何かやってみたいことがある方はアイデアを持って来てくだされば一緒に取り組んで実現したいと思っています。

(大園様)
売上が100億円に届いたら従業員満足度も同規模同業者の中でナンバーワンにするという目標も掲げています。課題は山積みですがチャレンジする姿勢は、すでに従業員に染み込んでいます。従業員一人ひとりが主役であると捉えて自己実現を達成し、個人として成長を実感していただきたいと思います。

 

店舗情報:大衆酒場 郡山ワタル(代表店舗 ) / 福島県郡山市駅前2丁目2−5 オーイズミ郡山ビル 1F

 

写真提供:株式会社オーイズミダイニング /  取材、執筆:秋山直子

 

INBOUND PLUS 編集部

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