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福岡のインバウンドをリードする「グランド ハイアット 福岡」。
ホテル業界共通の「インバウンドの課題」とは?

 日本に2つしかないグランドハイアットのひとつで、業界トップクラスのホスピタリティを提供する「グランド ハイアット 福岡」。ここ数年、外国人観光客が増加し、安定的に稼働率が上がり、順調にADR(平均客室単価)が向上している同ホテル。今回は、同グループで20年以上現場を見てきた、ルームセールスマネージャーの吉田様に、同ホテルのインバウンドに関する方針と、ホテル業界全体に関わるインバウンドの課題について話を伺った。

韓国人観光客がインバウンド全体の40%。アメリカ人はビジネスユースを中心に10%以上が訪れている。

貴社の外国人宿泊者の特徴は?

 2年前の「熊本地震」までは、インバウンドは、個人のお客様(FIT)ではなく、団体のお客様をメインに対応しておりましたが、団体のお客様の客足は災害などの影響を受けやすいということもあり、震災後、団体のお客様から個人のお客様へシフトする方針に変更しました。方針を変えて1年は、なかなか数字も伸びませんでしたが、2017年9月くらいから、徐々に個人のお客様からのご予約が増えてまいりました。

 個人のお客様は、自社サイトからのご予約のほか、「Booking.com」、「アゴダ」、「エクスペディア」からのご予約が多いです。インバウンドに関していうと、韓国人観光客の予約が全体の40%程度で、次いで香港、中国からの観光客も増えています。また、観光ではなく、主にビジネスユースとして、アメリカ人の予約が全体の10%以上あるのが特徴だと思います。

 他に、当ホテルはハイクラスの方の宿泊者が多いという特徴があります。なかでも香港の富裕層の方のご宿泊が多く、連泊される傾向にあります。また、香港の富裕層のお客様は、ホテル近辺のレストランや料亭といった食に関することや、他県の温泉地の情報などに精通しているという特徴があります。

ルームセールスマネージャー 吉田岳司様

天災や政情に左右されやすい。「日本」を一括りにした風評によって稼働率に大きく影響が出る。

国内の日本人客に比べて、外国人観光客の特徴は?

 当インバウンドのお客様は、日本人のお客様に比べ、曜日による宿泊傾向の偏りが少ないです。どの曜日も一定していて波がないところが特徴的で、安定した集客を見込むことが可能になります。さらに、ビジネスユースのお客様は、大人数で宿泊するケースが多いため,客室稼働率が上昇し、安定につながりますね。

 ただ、インバウンドのお客様は、天災や政情に左右されやすいという面があります。九州ではない遠く離れた地域で天災が起きた場合も、「日本」を一括りにした風評によって稼働率に大きく影響が出る場合もあります。まずは外国人の方に適切な情報を発信して、風評を回避、ないしは最小化することが必要だと思います。ここ最近、日本は自然災害が多いので、風評被害対策は急務だと考え、当社でもできる限りの対応策を考えていきたいと思っています。

外国人観光客が増えることでの悩みは?

 福岡は、九州のハブ機能を担っているため、九州旅行の拠点になる場合が多いので、初日に当ホテルに泊まったお客様が、大きい荷物をホテルに預けて、他県の観光地などに行かれるケースなどがあります。もともと荷物を預かるスペースが少ないので、この荷物対策をどうするかは課題ですし、福岡の他の宿泊施設にとっても大きな課題になっていると思います。ホテル側の対応だけではなく、ecbo cloak (エクボ クローク)さんのような、空きスペースを活用したシェアリングサービスなどの普及にも期待しています。

これから福岡は、ラグビーワールドカップ、世界水泳などの世界大会が目白押し!欧米豪の取り込みのチャンス!?

来年に控えているラグビーワールドカップに対する動きは?

 ラグビーW杯に関しては、これから個人のお客様の問い合わせが増えてくるとは思います。来年福岡はG20もありますし、2021年には世界水泳の開催地にもなっています。このように世界大会が続けて開催されるので、今まで福岡は圧倒的に東アジアのお客様が多かったですが、これをきっかけに、これまで福岡に来たことがない国々のお客様が訪れるチャンスではないのかなと考えています。特にラグビーワールドカップで訪れる方は欧米の方が多く、富裕層の方が多いと聞いています。バーなどの付帯施設の使い方も熟知されていると思いますので、期待しています。

今後のインバウンに関する展開は?

 今後、欧米からのお客様が増えることも踏まえて、海外の子供向けのチャンネルを導入予定だったり、スマートフォンのレンタルサービス「handy」を導入して、どのような利用方法をされているかという検証を行ったりしています。現状は、通話の利用が多いようです。

 福岡は、現状インバウンドの大きな割合を占める韓国や中国圏への対応を急ピッチで整備しながら、同時に、これから増えると予測される欧米豪からのお客様への対応を検討、強化しないといけない段階です。その中で、当ホテルは、もともと欧米のお客様に高い信頼を得ている強みがありますので、その実績と知見を活かしながら、さらなる福岡のインバウンドにおける発展に尽力して参りたいと思います。

インバウンドプラス編集部より

 風評によって稼働率に大きく影響が出るインバウンド。海外、特に離れたヨーロッパなどから見たときは、「日本」で一括りになってしまうのも仕方ない面があると思う。これは海外に向けた情報発信に限ったことではなく、ある特定の地域の情報を発信する際は、どこに(どのくらい距離がある場所)に向けて情報を発信するか、その相手が自分の地域やその周りの地域をどこまで細分化して理解してくれているかを意識するなど、情報を発信する側も考える必要があると思う。

INBOUND PLUS 編集部

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