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シェアリングエコノミー市場が急速に拡大中!?
「シェアリングエコノミー×インバウンド」について、株式会社スペースマーケット重松CEOにお聞きしました。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事であり、また会議室から球場まで「空間」の遊休資産を活用したレンタルスペースプラットフォーム「スペースマーケット」を運営する株式会社スペースマーケットの重松 大輔代表取締役CEOに「シェアリングエコノミーとインバウンド」についてインタビューしました。

シェアリングエコノミー市場が急速に拡大中

まずはシェリングエコノミーの概念や市場環境について教えてください。

 「シェアリングエコノミー」を簡単にご説明しますと、「空間」「モノ」「移動」「スキル」「お金」などの遊休資産をインターネット上のプラットフォームを介して、基本的には個人間で、賃借や売買や交換することでシェアしていく新しい経済の動きの総称です。全世界でのシェアリングエコノミーの市場規模は2025年には約35兆円にまで達するという市場予測も発表されており、大きな経済効果が期待されています。特に近年、中国でのシェアリングエコノミー市場の伸びが目覚ましく、2020年までに中国だけで、先ほどの35兆という数字を達成してしまうような予測も出ているほどです。中国の規模とスピードは本当にすごいですね。

シェリングエコノミー協会はどのような活動をされているのでしょうか?

 「シェアリングエコノミー」がこれからの日本経済の発展を支える仕組み・概念の一つになるために業界一丸となって活性化していくことを目的に、2016年1月にシェアリングエコノミー協会は設立されました。様々な業界からも注目いただき、現在は200社を超える企業に入会していただいています。プラットフォーム事業者の健全なビジネス環境と利用者保護体制の整備に取り組むことでシェアリングエコノミーを活性化させ、「一億総活躍社会」「地方創生」「訪日インバウンド」の政府が掲げる3つのテーマで日本経済の活性化への貢献を果たしていきたいと考えています。

直近の取組としては、シェアリングサービスの安全性・信頼性の担保やサービスの質向上を目的に、シェアリングエコノミー事業者に対する「認証制度」を策定しました。認証された企業は信頼性が高まりますので、自治体様とも連携しやすくなりますし、企業との業務提携や資金調達がしやすくなる等のメリットがあると思います。

成功事例を幾つか作ることで、自分も参加すれば儲かるかもしれないとチャレンジする人も増えてくる

「地方創生」や「訪日インバウンド」というテーマの中で、象徴的な企業などをご紹介いただけますか?

 「地方創生」という文脈で言うと、株式会社ガイアックスが提供する「TABICA」などですかね。まだ多言語化はしてないようですが、日本人だけではなく、外国人の方にも地方で農業体験などの「暮らしの体験」を提供するサービスです。こういうサービスが地方で受け入れられていくためには、とにかく事例を作ることですね。成功事例を幾つか作ることで、自分も参加すれば儲かるかもしれないとチャレンジする人も増えてくると思います。その成功体験の循環を作ることが重要なことだと思います。

一方で、世界的な観光名所では観光客が急増し、市民生活に影響が出ている地域もあります。キャパシティを超えていますよね。日本国内も同じことが言えて、京都などは既に同じ問題に直面していると思います。そうなると、日本を訪れる外国人観光客も混雑する地域を避け、周辺地域を訪問したいというニーズが出てきます。そこで周辺地域で先ほどのような魅力的な体験コンテンツを揃えたり、空きスペースを活用したイベントなどを実施したりすることで、流れてくる外国人を自分の町に呼び込むことが可能になってくると思います。また、団体旅行からFITに移行してきているので、旅行ガイドを仲介する「Voyagin(ボヤジン)」や「Huber(ハバ―)」のようなシェアリングサービスもこれから面白いと思います。

シェアサービスの信頼が社会的な信頼になっていく

先ほど中国におけるシェアリングエコノミーの普及スピードが速いというお話がありましたが、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

 中国は世界的に見てもシェリングエコノミーの先進国と言っても過言ではないです。国民性として、口コミやレビューを重視する傾向がありますので、シェアサービスに向いているという面もあるかと思います。米国発のAirbnbやUberは日本でも浸透し始めてきていますが、最近は、民泊仲介の「途家(トゥ―ジア)」や自転車シェアの「摩排単車(モバイク)」など中国企業が大々的に日本に進出することを発表しています。自転車シェアのサービスはここ1年足らずで急速に中国国内で広まったことを考えても、とにかくスピード感が違いますね。

決済も一気にモバイル化が普及しキャッシュレス社会が確立されてきていますよね。デジタルで決済されると、「誰がどこで何を購入したか」が全てトラッキングでき、ビックデータとして活用できるようになります。例えば、「Aさんは、どこどこで、このような商品を購入して問題なく支払いが出来ているので、家のローンも大丈夫だろう」とか、そして、そのAさんが様々なシェアサービスを利用していた場合、レビューの評価が高いというデータと掛け合わせると、Aさんは社会的に信頼性の高い人であるという結論が導き出され、様々なサービスで優遇されるという判断材料になっていく時代になってきています。

民泊新法が年明けから施行。大きなチャンスが到来!?

最後に貴社サービス「スペースマーケット」の今後の展開についてお聞かせください。

 「スペースマーケット」は、貸会議室からお寺や野球場までユニークな場所を簡単に貸し借りできるマーケットプレイスを運営しており、現在取り扱っているスペースは約10,000件程度まで増えています。パーティーやイベントでの利用が半分、ミーティング使用が4分の1程度、その他、コスプレの撮影会やロケなどの用途で利用してもらっています。最近のトレンドは、「キッチン付きスペース」が伸びていまして、自宅を貸し出す方が増加傾向にあります。

民泊に関しても民泊新法が年明けから施行されますので、大きなチャンスだと捉えています。スペースマーケットでは、宿泊について、合法な宿泊施設のみを「宿泊可能なスペース」として2016年7月より既に掲載していますが、来年予定されている民泊新法の施行と同時に、民泊を含む宿泊可能施設の仲介サービスとして、新しいプラットフォーム「スペースマーケットSTAY」を開設し、”安心・安全で、ユニークな宿泊体験”を提供していきます。民泊新法は「180日以内規制」がありますので、それ以外の時間は部屋を「スペースマーケット」で貸し出すという「二毛作」をされる方も出てくると思います。

これまで住宅を時間貸しのレンタルスペースとして運用してきたスペースマーケットのホストにとっては、【時間貸し+宿泊】が提供できるスペースとして、新しい価値提供にチャレンジできる大きなチャンスですし、スペースマーケットのゲストからは、人気の住宅や古民家等の魅力的なスペースを、時間レンタルだけではなく宿泊施設として利用したいというご要望を多くいただいておりました。

第1弾として、民泊ホストの事前登録の受付を2017年9月5日より開始します。同時に、民泊施設を提供したい個人・事業者向けに、当社弁護士でシェアリングエコノミー認証制度のプロジェクトリーダーの石原が監修する「民泊ガイド」をスタートしますのでご期待ください。

場所に対する考え方も年々柔軟になってきていますので、これからもっと様々な利用用途で使われ、ユーザー発信でも新しいアイデアが生まれていくと確信しています。

重松 大輔(しげまつ だいすけ)

一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事
株式会社スペースマーケット 代表取締役社長
1976年千葉県生まれ。 千葉東高校、早稲田大学法学部卒。2000年NTT東日本入社。主に法人営業企画、プロモーション等を担当。2006年株式会社フォトクリエイトに参画。 一貫して新規事業、広報、採用に従事。国内外企業とのアライアンス実績多数。2013年7月東証マザーズ上場を経験。2014年1月株式会社スペースマーケットを創業。 お寺、野球場、古民家、オフィスの会議室、お化け屋敷などユニークなレンタルスペースのマーケットプレイスを展開。2016年1月シェアリングエコノミーの普及と業界の健全な発展を目指す一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し代表理事に就任。 【アワード受賞歴】IVS Launchpad 2014 spring準優勝、B dash campピッチアリーナ2014優勝、Rising Expo2014優勝、Japan night2015優勝等。 【メディア出演】ガイアの夜明け、ワールドビジネスサテライト等多数。

INBOUND PLUS 編集部

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