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キーマンインタビュー

国を跨いだ情報格差を是正し、「最高の日本体験」を世界に提供する。
この想いが中華圏プロモーションを専業とするクロスシーの原点

株式会社クロスシー
渡辺 大介 代表取締役社長

株式会社クロスシー | インタビューイメージ

中華圏マーケットへのSNSプロモーションを専業とする株式会社クロスシー。中国市場を熟知した同社の企画力やこれまでの実績、今後の展望について、渡辺大介代表取締役にお話を伺いました。

中国は「世界最大のガラパゴス」、
他国と切り分けて考えるべきマーケット。

中国圏における情報収集やモバイルメディアの利用状況について教えてください。

 「Weibo(微博)」や「WeChat(微信)」など、モバイルを中心としたSNSの普及が目覚ましいのが大きな特徴です。WeiboはFacebookやTwitterのように、拡散力に優れたメディアです。一時期はWeChatの台頭で勢いを失っていましたが、改めてその情報拡散性に注目が集まり、2016年にはその広告収入が過去最高に達したと言われています。WeChatは日本でいうLINEのようなメディアで、個人間のコミュニケーションに強いという特徴があります。特に決済機能である「WeChat Payment」は、中国国内で生活インフラとなりつつあるほどに普及しています。中国国内の旅行であれば、WeChat Paymentでほとんどの決済が可能。弊社中国人スタッフからも、財布を持ち歩かなくなったという声も聞いています。

 このようにモバイルが普及した中国では、情報の取得もモバイルが中心となっています。弊社では、こうした中国事情を踏まえ、クライアントの目的・ニーズに合わせたプランをご提案しています。

 多くのクライアント様、パートナー企業様にもお伝えすることですが、「中国は最大のガラパゴス」という認識を持つべきだと考えます。中国は巨大なマーケットかつ、独自のSNS文化が発展しているため、中国単体で切り分けて考える必要があるでしょう。具体的な例を挙げると、中国の方は海外旅行先で飲食店を探すときに、「大衆点評(たいしゅうてんぴょう)」というサイトを使ってお店を探します。これは「中国版食べログ」のようなメディアで6億人ほどのユーザーを抱えており、集客においても非常に効果があると考えられています。

株式会社クロスシー | インタビューイメージ

国を跨いだ情報格差を是正し、「最高の日本体験」を世界に提供する。この想いがクロスシーの原点。

インバウンド市場に参入した理由、きっかけは?

 代表の田中、渡辺ともに中国ビジネスと15年以上の縁があります。その中で強く感じることは、国同士には情報格差があることです。特に日中間は、この情報格差が非常に大きいと感じました。この情報の格差を是正し、個人の興味や関心に合わせた最適な情報を伝えることにより、「最高の日本体験」を世界に提供したい。この想いが、クロスシーの原点です。

 弊社のインバウンド事業としては、大きく2つあります。一つは、訪日中国人への「旅マエ・旅ナカ・旅アト」を一貫してプロデュースするインバウンドプロモーション事業。二つ目は、日本で今話題になっていること、人気があることなど、日本のリアルを伝える自社発信のメディア運営事業です。

 弊社サービスの最大の特徴は、中国本土を熟知したスタッフによる企画力です。社員の8割を占める中国生まれのスタッフたちが、10年以上の中国ビジネス経験を持つ日本人スタッフと共に、知見・ノウハウを出し合って企画を立てられることが強みです。また、KOL(Key Opinion Leaderの略称で、日本ではインフルエンサーとも言われる)の活用、分析、管理なども自社で手掛けています。自社メディアは弊社に在籍している中国人スタッフが、実際に取材し記事を執筆しながら、生中継も実施しています。中国人目線でのリアルな日本の紹介が、現地の中国の方々から好評を得ています。

見せたいものや伝えたいこと、魅力を引き立たせるコンテンツ企画がクロスシーの強み。

代表的な事例や特徴的な活用事例は?

 代表的な事例は、小売業大手様との取り組みです。WeChatやWeiboの運営を2年半ほど前から任せていただいたのがスタートです。WeChat Payment機能を用いたお年玉配布施策、「大衆点評」へのレストラン情報の登録やクーポン拡散、動画サイトプロモーションなど幅広く取り組ませていただいています。この結果、中国での認知が高まり、インバウンドのブランディング・売上貢献にも寄与できたのではないかと考えております。現在は、今最も注目されているLIVEコンテンツも配信し、中国のユーザーへ広くアピールしています。日本初事例となるような、面白い取り組みを今後もお客様と共に行っていきます。

 もうひとつは、銀座の商業施設イグジットメルサ様との取り組みです。今年8月6日に銀座で開催された「ゆかたで銀ぶら2017」というイベントに合わせ、同施設を弊社スタッフが利用させていただき、その様子を生中継で配信する形で実施しました。この日は銀座が歩行者天国であることをはじめ、同施設ではゆかたがレンタルできることなど、おトクな情報を含めつつ紹介しました。ライブ中は、視聴者からのリアルな反応がコメントとして入ってきます。「カワイイ!」などの商品への反応はもちろん、「店長さん優しい!」「WeChat Payment使えるんだ」など、施設に対する反応も見られたのが興味深いと感じました。結果、同ライブは140万PV、コメントは2,800件を超え、大きな反響を得られました。訪日中の中国人にも見てもらえ、プチ団体客の来店にも繋がったと伺っています。

 両社に共通するポイントとしては、クライアントの強み・魅力を引き立たせるコンテンツ作りをしているという点です。しっかりと個性を伝えらたからこそ、中国のファンに刺さったのだと考えています。何を見せたいか、何を伝えたいかを明確にするのが大切と考えています。

最大のガラパゴス市場を取り込み、地方創生に貢献していきたい。

これからの中華圏インバウンド市場の展望と御社の展開について

 これからは、地方都市がカギとなってきます。2016年の中国人の海外旅行者数は約1億3000万人と言われ、その内の訪日旅行者は約640万人。これが2020年には中国人の海外旅行者数が2億人を超えるとも予測されていますので、中国だけでも訪日旅行者数の大きな伸びが期待できます。一方で、北京-羽田のような都市間を結ぶ路線は飽和状態となりますし、ゴールデンルートと呼ばれる、東京・箱根・富士山・京都・大阪を巡るルートに観光客が集中していますのが現状です。日本の地方都市と中国の地方都市がLCCで繋がることで、これから多くの中国人が地方へ向かっていくと考えられます。弊社としては、情報格差の是正という観点から、地方の魅力を伝えていくことで、中華圏マーケットへの取り組みに注力していきたいと考えています。いかに旅行を楽しみ尽くしてもらえるか、Made in Japanの特産品や世界遺産にも認定された和食も含め、ご当地の魅力をいかに伝えて輝かせるかということにこだわっています。

 「情報格差の是正」への取り組みとして、弊社では日本の47都道府県それぞれにスタッフをアサインする『特派員制度』を始めました。このプロジェクトでは、各都道府県に住む外国人に、自国へ日本の情報を伝えるという任務を担ってもらっています。日本人でも各都道府県の魅力や特産については知らないことが多くあります。外国人にはほぼ伝わっていないというのが現状のため、各都道府県の特派員として、日本各地のリアルを伝えてもらっています。「日本のここに来たら、こんな楽しみができるんだ!」ということを、彼らから積極的に発信していってもらいたいと考えています。

 このような取り組みを通じて、日本の観光情報、サービス、商品についての日中間の情報格差を埋めていき、最高の日本体験をしてもらうことで、日本の観光立国の実現と地方創生にも貢献していきたいと考えています。

渡辺 大介(わたなべ だいすけ)

渡辺 大介(わたなべ だいすけ)
株式会社クロスシー 代表取締役社長
株式会社ワークスアプリケーションズにてHR/会計/CRM/Eコマースシステムの営業に従事。その後中国にて日系企業への中国でのマーケティング事業を立ち上げる。2014年より現職。当社と日系企業向けソリューション提供で業務提携関係にある飛拓信息技術(北京)有限公司(FractalistChina Inc.)の日本事業部長を兼任。日本企業における中華圏向けプロモーション、越境EC、SNS〜CRM業務におけるコンサルテーションを得意とする。