2024年7月に「地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成に向けた有識者会議」の中間まとめが公開されました。
好調が続くインバウンド市場ですが、とくに地方部においてはローカルガイドが不足しており、日本の魅力はまだ最大限に引き出せていないといいます。
本記事では、ローカルガイドの役割や取り巻く課題、今後求められる取り組みなどについて紹介します。
地方観光の成功の鍵を握るローカルガイドとは?
「地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成に向けた有識者会議」におけるローカルガイドは、「特定の地域における訪問者の体験価値向上のため、当該地域について精通してガイドを行う者」と定義されています。
また、同会議で検討するローカルガイドの細かい条件としては、以下のようなものも設定されています。
- 全国/地域通訳案内士などの資格の有無は不問
- 主に有償でガイド行為を行うローカルガイド
- 特定の地域でのツアーに同行するガイド(地域をまたぐツアーの全旅程に同行するものは対象外)
- ガイドする地域に居住しているかどうかは条件外
地方誘客を目指している日本では、その地域の魅力や観光コンテンツをインバウンド客に伝えるガイドが重要です。
十分な数のローカルガイドを確保し、魅力的なガイド付きツアーなどのコンテンツを充実させることこそ、地方観光の成功の鍵だとされています。
現在も京都や東京など有名観光地には多くのインバウンド向けガイドが活動しているものの、地方を中心にローカルガイドが不足しているのが現状です。
ガイド不足を取り巻く課題
ガイド不足の解消が難しいのは、さまざまな課題が関係しているためだと考えられています。
まず、ローカルガイド自体やそれらが目指すべき姿の全体像がはっきりしていないのは大きな課題です。
ガイドには通訳案内士という関連資格があるものの、資格を持たないガイドも複数活動しており、「ガイドが何人いるのか」「何語でガイドできるのか」「どの程度の技術レベルを有しているのか」などの全体像が調査・把握できていません。
また、ローカルガイドと一括りに呼んでも、場所・客層・就労形態・ガイド内容もさまざまである点も課題のひとつ。
地域によって「ガイドの人数が足りない」「ガイドの技術が足りない」「ガイドが足りない時期がある」などガイド不足の構造も異なるため、「ローカルガイドはこうあるべき」という目指すべき姿が設定しにくいのも難しいポイントです。
ローカルガイドの目指す役割と方向性
上記の課題に対し、「地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成に向けた有識者会議」では、ローカルガイドの目指す役割と方向性を設定しています。
役割として挙げられているのは、以下のようなものです。
- 地域の魅力を深堀してコンテンツの付加価値を高め、観光客の満足度を高めるとともに地方消費を促進する
- 観光客の地域への愛着を醸成する
- インバウンドと地域住民がリスペクトし合える関係構築に貢献する
- 地域を持続的に稼ぎ続けられるようにする
地域の顔として活動し、観光客と地域を繋ぐのがローカルガイドの役割だといえます。
ただ一時的にヒットさせるのではなく、持続性も重要。
そのためには、オーバーツーリズムなど地域や住民への悪影響を抑えるための工夫も重要です。
この役割を担えるローカルガイドの確保に向けて、就労環境の改善や安定的な需要の創出、それによって職業として選択される社会を実現することなどの方向性が示されています。
ガイドの確保と育成に向けて課題に取り組もう
有名な観光地と比較して地方部では季節による集客力の差が大きいケースが多く、通年安定したローカルガイドの需要確保が困難です。
これによりローカルガイドが通年稼ぎ続けられる就労環境の整備が難しく、結果として人材確保や育成が難しくなっています。
これらの課題に対しては、ローカルガイドを志す人自身はもちろん、地域や観光コンテンツを提供する事業者も一丸となって解決に取り組む必要があるでしょう。
ぜひ「地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成に向けた有識者会議」の活動などもチェックしながら、課題解決に取り組んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。