中央最低賃金審議会の発表によると、2024年度の最低賃金引き上げ額目安は全国一律で時給50円で、最低賃金の全国平均は時給1,054円となる見込みです。
昨年から続く賃金や物価の上昇を反映した動きだと考えられ、引き上げ額は去年の43円を超えて過去最高となりました。
本記事では、今回の最低賃金引き上げの概要と、飲食店に求められる対応について紹介します。
2024年度の最低賃金引き上げの概要
2024年度の最低賃金の引き上げ額は時給で50円。
都道府県の経済実態に応じて分けられたA〜Cランクで引き上げ額目安に差は設けられておらず、最低賃金の全国平均は時給1,054円となる見込みです。
昨年、実際には過去最高43円時給が引き上げられ、最低賃金の全国平均ははじめて1,000円を超える1,004円になりました。
今年の引き上げ額目安は昨年を上回り、引き上げ額としては過去最高となります。
賃金・物価の上昇が引き上げの背景に
今回の最低賃金の背景にあるのは、昨年から続く賃金・物価の上昇。
春闘では高い水準での賃上げが実現されたため、最低賃金もその流れに続く狙いです。
また、止まらない円安も影響して上がり続ける物価に対して、労働者の生活を守るのも最低賃金引き上げの目的だと説明されされています。
今後は各都道府県ごとの審議会で議論されて最終的な最低賃金が決まり、10月以降順次適用される予定です。
従業員にとってはうれしい最低賃金の引き上げですが、経営者にとっては課題も残っています。
物価上昇によってダメージを受けている企業にとっては、最低賃金の引き上げによって人件費も上昇。
まだ価格転嫁が十分にできていない企業も多く、コストが経営を圧迫する流れが加速する恐れがあります。
飲食店に必要な最低賃金引き上げへの対応は?
今回の最低賃金の上昇に伴い、飲食店にも必要な対応がいくつか考えられます。
1つ目は、時給アップの検討と従業員への説明です。
最低賃金で時給を設定している店舗では、少なくとも引き上げられた最低賃金に応じた時給アップが必要です。
また、すでに最低賃金より高い時給に設定している店舗であっても、時給アップを検討しましょう。
時給を上げない場合は、エリア全体の時給の引き上げ幅によっては人材の流出も考えられます。
最低賃金の引き上げに対する自社の対応について、従業員に説明をしておきましょう。
2つ目は、「年収の壁」対策です。
最低賃金引き上げを受けて時給を上げた場合、従業員が年間に稼ぐ額が多くなるため、いわゆる「年収の壁」に早く到達して働けなくなり、結果として店が人手不足に陥ってしまう可能性があります。
従業員の年間の収入を予想したり、働き方のヒアリングをしたりして、必要に応じて人手を確保する必要があるといえるでしょう。
コスト削減や売上アップのための施策と同時に、上記2点も検討してみてください。
昨年、岸田首相は「2030年代半ばまでに時給1,500円を目指す」と表明しており、賃上げの流れは今後も継続すると考えられます。
しっかり賃上げの流れを注視し、適宜対策を検討するようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。