価格高騰の時代にどう備える?
2024年は、あらゆるものの価格高騰に悩まされた1年でした。家計を預かる立場の方、経営者、消費者として、予想外の値上がりに戸惑った方も多いのではないでしょうか。そして気になるのが、「2025年はどうなるのか?」という点。特に、今年以上の価格高騰が予測される中で、具体的にどんな品目が値上がりするのかを事前に知り、対策を練っておきたいものです。また、「価格が上がるなら値下げした方が売れるのでは?」と考えることもあるかもしれませんが、それが正しい判断とは限りません。
この記事では、2025年に値上がりが予想される具体的な品目と、その背景。そして、価格設定を行う際に知っておきたい考え方や行動について解説します。
~目次~
1.2025年に値上がりが予想されるもの
2.値上げすべき?値下げすべき?価格設定の考え方
3.まとめ
1. 2025年に値上がりが予想されるもの
まずは、2025年に値上がりが見込まれている品目とその背景について見ていきましょう。
[値上がりする品目一覧]
2025年は、すでに4月までに約4000品目が値上げ予定とされています。この数字は例年と比べても異例の多さです。特に以下のような品目が値上がりすることが分かっています。
①パン
1月にはパンの値上げが予定されています。大手メーカーの山崎製パンは、1年半ぶりに1227品目の出荷価格を平均5.6%引き上げる見通しです。これには食パンや菓子パンなど、日常的に購入される商品も含まれています。
②酒類
4月には、缶ビールやチューハイなどの酒類が一斉に値上げされる予定です。アサヒビールの「スーパードライ」は、店頭価格で6~10%程度の上昇が見込まれています。
③飲料
アルコール飲料に限らず、ソフトドリンクも値上がり対象です。例えば、キリンビバレッジは果汁飲料「トロピカーナ」などの紙容器商品の希望小売価格を7~29%引き上げると発表。これにより、店頭価格は350円から450円程度に上がると予測されています。
[値上がりの背景]
値上がりの要因としては、以下のような点が挙げられます。
① 原材料費の高騰
未だ収束の見えないロシアとウクライナの戦争が、小麦やトウモロコシといった農作物の価格を押し上げています。これがパンや飲料の価格高騰につながっています。
② 人件費・物流費の上昇
「2024年問題」でも注目されたドライバー不足の問題が影響を与えています。人件費や物流費の上昇がコストに転嫁され、商品価格に反映されています。
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2.値上げすべき?値下げすべき?価格設定の考え方
価格高騰の中で、値上げに踏み切るべきか、それとも値下げして競争力を高めるべきか迷うこともあるでしょう。この問いに答えるカギとなるのが、「コストの定数と変数を見極める」考え方です。
[定数と変数を見極める]
価格設定において、コストは「定数」と「変数」に分けて考える必要があります。
・定数(動かせないコスト)
原材料費や為替の変動など、マクロ的な時流による影響。これらは企業が直接コントロールできないため、抗うことは得策ではありません。
・変数(調整可能なコスト)
広告費や材料の仕入れ先選定など、企業の努力で削減可能な部分。ここに注力することでコスト削減を図ります。
例えば、原材料費の高騰により一部商品を値上げする場合、それは「妥当な価格」といえます。一方で、競合他社との価格競争を意識しすぎて過度な値下げを行うと、結果的に利益を圧迫し、長期的な経営の足かせとなる可能性があります。
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[とるべき具体的なアクション]
・コストの見直し
まずは、コストを固定費と変動費に分け、それぞれの削減可能な部分を見つけます。例えば、固定費である家賃の交渉や、変動費である広告費の削減が考えられます。
・データの収集と分析
売上データや顧客データを活用し、最も費用対効果が低い部分を特定します。特に、どの商品の売上が伸びているのか、どの顧客層が利益率を押し上げているのかを分析することが重要です。
コスト管理やデータ分析に知識がない方は、まずはサービスを外注してノウハウをインストールすることを推奨します。資料ダウンロードや相談が無料でできるサービスも多いので、まずは情報収集から始めてみてくださいね。
3.まとめ:2025年に備えて考えるべきこと
2025年は、さらに多くの品目が値上がりすることが予想されます。これは避けられない「定数」であり、これに抗うよりも、その時流を読み解き、正しい価格設定を行うことが求められます。
価格設定の基本は、「定数」と「変数」を見極め、変数に注力して調整を行うこと。そして、これを実行に移すには、コストの見直しとデータ分析が不可欠です。これらの行動を通じて、価格高騰の波を乗り越え、安定した経営基盤を築いていきましょう。
2025年が、読者の皆さんにとって持続可能で実りある1年となるよう、この記事が一助となれば幸いです。
(参考文献)
来年も飲食料品値上げラッシュ、1~4月は3933品目…酒類・飲料・パン中心に : 読売新聞
キリンビバ、「トロピカーナ」など値上げ 25年4月から – 日本経済新聞