吉野家や丸亀製麺など、日本の飲食店が海外出店に成功している事例は数多く存在します。
メディアなどで紹介される成功事例の多くが、日本で成功した有名チェーン店などのものであるため、「海外出店は大手企業にのみ可能」と認識されがちですが、実際はそうとも限りません。
本記事では、海外出店のメリットや海外出店を成功させるために必要な考え方などを紹介します。
国内市場は飽和状態。海外出店のメリットとは
まず、海外出店のメリットを確認しておきましょう。
海外出店する大きなメリットの1つとして、販路拡大が挙げられます。
日本の人口は減少の一途をたどっており、マーケットは縮小傾向です。
特に小売業や飲食業などにおいては、すでに国内の店舗が飽和状態ともいえ、国内への新規出店では厳しい「パイの取り合い」を勝ち抜く必要があります。
しかし、海外には人口が増えている国や、1人当たりのGDPが上昇して経済が発展している国などが多く存在するため、これらの市場が拡大傾向の国への出店が成功すれば、自店の販路拡大が狙えるでしょう。
海外出店成功の鍵は独自性追求とローカライズ
とはいえ、海外出店は簡単なものではなく、成功させるためには適切な戦略が必要です。
海外出店成功の鍵は、「いかに独自性を示せるか」と「うまくローカライズできるか」にあると考えられます。
独自性|日本食などの日本文化は大きな武器になる
まず、「いかに独自性を示せるか」について説明します。
日本は人気の海外旅行先であり、多くの外国人が日本文化に好意的です。
特に寿司などを代表に日本の食文化は人気のコンテンツであり、その独自性は海外出店成功の大きな追い風となるでしょう。
例えば、ハワイに出店した丸亀製麺では、気温の高い現地で支持されそうな冷たいうどんメニューではなく、より日本らしい「肉うどん」や「カレーうどん」がよく売れたそうです。
ローカライズ|地元の文化や食材も戦略に組み込む
海外出店では独自性が求められる一方、単なる日本らしさの押し売りでは成功が難しいとされています。
まず、日本の食材にこだわるとコストを大きく圧迫し、競争力が損なわれる点には注意が必要です。
うまく地元の食材などを利用しながら日本食を再現する技術やアイデアが求められます。
例えば、ハワイに出店した丸亀製麺では、製麺機での実演販売は実現させながらも、小麦粉などの材料は現地で調達し、地元の人にも親しみやすい味のうどんを作り出すことに成功しました。
また、現地の宗教や文化なども考慮する必要があります。
特に宗教は、地域に受け入れられるかどうかの重要なポイントとなるため、細心の注意が必要です。
例としては、吉野家のインド出店が挙げられます。
イスラム教徒の多いインドへの出店に際し、吉野家は生産工程から牛肉を取り除いてハラル認証(イスラム教徒が食べても問題ない証明)を取得しました。
そのほかにも地域のトレンドなどをいち早く取り入れるなど、親しみやすい日本食店としての地位を確立することが、海外出店成功の鍵となります。
独自の価値を提供して海外出店を成功させよう
本記事では、飲食店の海外出店について紹介しました。
飲食店が海外出店を成功させるためには、日本文化を生かした独自性追求と、地域に愛されるためのローカライズのバランスが重要です。
上記の成功のためのポイントさえ抑えられれば、海外出店による販路拡大は大手企業だけが実現可能な戦略ではないといえるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。