日本のファストフード(ハンバーガー)業界の市場規模は、約7000億円と言われており、牛丼業界の市場規模の1.8倍と推定されています。コロナ禍での外出制限では、イートインの利用こそ減少しましたが、テイクアウトやデリバリーの需要は高まりました。しかし、飲食大手の大量参入で業界の競争は激化し、最近では、株式会社ロッテホールディングス(https://lotte-hd.com/)が展開している「ロッテリア」の株式をゼンショーホールディングス(https://www.zensho.co.jp/jp/)に売却すると発表し、外食業界に激震が走りました。ハンバーガー業界の競争が激化する中、2022年4月から2023年4月にかけてのハンバーガーチェーン店の店舗増加率においてバーガーキング(https://www.burgerking.co.jp/#/home)
が、20%超という驚異的な増加率を見せました。店舗数は過去3年間で倍増しており、2023年10月には、200店舗を超えました。全国店舗数トップを誇るマクドナルド(https://www.mcd-holdings.co.jp)で増加率が1%未満であるため、バーガーキングがここ数年で快進撃を起こしていると言えます。
バーガーキングの知名度が上昇する要因の一つとなっているのが、業界トップのマクドナルドをイジるという広告戦略です。3年ほど前、マクドナルド秋葉原昭和通り店が閉店する際、2件隣のバーガーキングが「22年間たくさんのハッピーをありがとう」、「Thank you」という垂れ幕を掲げ、これを見た人からは「リスペクト精神が素晴らしい」など、感動の声が上がりました。しかし、一番左の文字をよく見ると、縦文字で「私たちの勝チ」と、感謝しているようで勝利宣言しており、SNSを中心に話題となりました。
その約2年後に、マクドナルド秋葉原昭和通り店がスケールアップして再出店した際、バーガーキングが「私たちの価値」という垂れ幕を出しました。さらに、メッセージの右側の文字を縦読みすると「店のデカさより大事なこと。」とスケールアップして復活したマクドナルドに対し、皮肉を述べているように取れます。これもSNSを中心に話題となりました。
マクドナルドをイジる戦略は、広告費に大量にお金を使うことなく、注目を集めることができます。さらに、「批判」が集まらない絶妙なラインをつくのが巧みであると感じます。業界最大手のマクドナルドをイジることで注目され、そのイジりにマクドナルドが反応するとことでさらに注目されるため、バーガーキングの狙い通りというわけです。
さらにバーガーキングの店舗数が増えた要因の一つは、コロナ禍での出店です。様々な業界が出店を控え、中には撤退するところも多くありました。一見するとリスクしかないように思えますが、バーガーキングは家賃が下がったこのコロナ禍のタイミングで、初期投資を極力減らすことで、集客がより見込める商業施設や繁華街への出店を可能としました。中でも、注目すべきは、「バーガーキング京都ヨドバシ店」(http://www.yodobashi-kyoto.com/restaurant2/restaurant_king.html)です。
2022年にオープンした京都ヨドバシ店は、京都駅から徒歩5分でヨドバシカメラに併設されているため立地がよく集客が見込めます。オープンテラスである点が最大の特徴で、人気を集めています。この店舗は、バーガーキングの策略が大いに成功した事例であると言えます。
バーガーキングは、2028年度末までに600店舗を目指しています。さらに今世紀中に3,000店舗を目指すと宣言しました。マクドナルドが、現在日本に約2,950店舗あるため、この目標を達成すると、国内の飲食チェーンにおいて日本最大級となります。
ハンバーガー業界の競争が激化する中、バーガーキングのみならず、各チェーン店がいかに淘汰されず工夫を凝らして生き残っていくか、今後の動向に注目が集まります。