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インバウンド顧客獲得の鍵は「日本に来る前」にあり!

JNTO(日本政府観光局)によると2023年9月の訪日外客数は2,184,300人で、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同月比の9割を超える水準まで回復しました。
今後も多くの外国人が日本を訪れることが予想され、インバウンド顧客獲得に向けた戦略が求められています。

そんな中、Cint Japan株式会社と株式会社JTB総合研究所が共同で「旅マエ〜旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」の結果を発表しました。
調査結果は、訪日外国人観光客の約8割が旅行日数・旅行形態によらず旅前に旅程をほぼ決定しているとしており、インバウンド顧客獲得には旅前の旅行者へ向けた情報提供が重要であるとしています。

本記事では、「旅マエ〜旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」の調査結果概要を説明したうえで、旅行前・旅行中の外国人観光客に必要な情報提供について解説します。

「旅マエ〜旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」結果概要

「旅マエ〜旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」は、2023年9月にインターネットアンケートで実施されました。

アンケート対象者は過去1年以内に海外旅行経験のある韓国、台湾、香港、中国、タイ、シンガポール、ベトナム、インド、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、オーストラリアに居住する人(5,991人)です。

約8割の訪日外国人観光客が出発前に旅程をほぼ決めている

調査結果では、「旅前に海外旅行中の計画をどのくらい決めていたか」という趣旨の質問に対し、アンケート対象全体の40.1%が「ほぼすべて出発前に決めていた」、41.2%が「大体決めていた」と回答しており、8割を超える観光客が旅前に旅程を決めている事実が伺えます。

この結果より、インバウンド顧客を獲得するためには、出発前の観光客に対していかに効果的な情報提供ができるかが重要であるといえるでしょう。

情報提供は動画サイトやSNS、Googleマップが有効

では、どのように出発前の観光客に対して情報を届ければよいのでしょうか?

観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2023年4〜6月期)」報告書によれば、「出発前に役立った旅行情報源」の1位は「動画サイト」(35.3%)、2位は「SNS」(30.4%)、3位は「個人のブログ」(27.7%)とされています。
したがって、YouTubeをはじめとした動画投稿サービスや、Facebook・InstagramなどのSNSに自店の観光情報を公開して海外に発信することが、インバウンド顧客獲得に効果的であるといえるでしょう。

なお、同報告書からは「出発前に旅行情報を得た言語」の56.9%が「英語」であるとわかります。
インバウンド顧客獲得に向けた出発前の外国人観光客へは、英語での情報発信が望ましいでしょう。
参考:https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001633003.pdf
(主に25ページを参照)

さらに、Googleマップも注目すべきツールの1つです。
多くの外国人観光客は出発前に旅程のほとんどを決める、すなわち宿泊先やその前後の交通機関などもリサーチしています。
宿泊先・訪問先付近の観光地・飲食店や、移動中に寄れる場所などについてはGoogleマップなどを使って宿泊先や移動方法と同時に調査していることでしょう。
よほどの著名店であれば宿泊先から遠い場所でも集客が見込めますが、そうでなければ近くで宿泊・観光している観光客からの集客が多くなります。
したがって、Googleマップの口コミ機能などを積極的に活用し、外国人観光客集客の好循環を作り出すことも今後重要な戦略の1つとなるでしょう。

日本に来たインバウンド観光客への情報提供

「旅マエ〜旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」では、出発前だけでなく、旅行中の外国人観光客がどのような情報を求めているのかも調査結果が発表されています。

調査結果によると、海外旅行日程を序盤、中盤、終盤の3つに分けたとき、それぞれ以下のような情報を求めているとされています。
・序盤:旅先での生活を整えるための情報
・中盤:短時間で体験できることの情報
・終盤:お土産の購入場所に関する情報

具体的には、日程序盤はご飯を食べる場所や日用品を購入する場所、滞在しているホテルなどから徒歩で行ける場所などの情報を必要としているようです。
中盤では、イベントや現地ツアー、滞在しているホテルから数時間程度で行ける場所など、数時間で体験できることの情報を求めています。
終盤では、お土産を購入する場所や、帰国便が出る空港付近で訪問できる場所の情報を探しているようです。
自店がどこのタイミングの訪日外国人にマッチするのかを考え、呼び込めるような情報を発信する必要があるでしょう。

なお、観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年4〜6月期)」報告書の「日本滞在中に役立った旅行情報源」を見ると「スマートフォン」が89.5%で、ほとんどの観光客がスマートフォンで訪れる場所を探しています。
旅行前の情報提供方法と同じく、スマートフォンで手軽に見られる動画サイトやSNSで情報を発信すれば、旅行中の外国人観光客を獲得できるかもしれません。

さらに、同報告書からは「日本滞在中に役立った旅行情報」として「交通手段」が69.8%と最も多いことがわかります。
出発前の情報提供方法と同様に、アクセス方法などと絡めながらGoogleマップでの訴求を強化することが、インバウンド顧客獲得の鍵となるでしょう。
参考:https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001633003.pdf
(主に26ページを参照)

本記事では、「旅マエ〜旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」の結果から、旅前の外国人観光客への情報提供が重要であることを紹介しました。

また、情報提供の方法は動画サイト・SNSへの英語投稿や、Googleマップを活用した自店の宣伝が有効であると考えられます。
訪日外客数の回復傾向からも今後も多くの外国人が日本での観光を楽しむことが予想されるため、適切な戦略を立てて多くのインバウンド顧客を獲得しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

INBOUND PLUS 編集部

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