未来につなぐ飲食店
ミシュランガイド3つ星獲得ホテル 広告費最小限のSNS採用にヒントあり
株式会社 SUPER OKUSAN / 押尾大輔様 グループ人事・総務マネージャー
— 株式会社 SUPER OKUSAN —
2012年に倶知安町(ニセコひらふエリア)にホテル「Chalet Ivy Hirafu」を設立した株式会社 SUPER OKUSAN (代表取締役社長 ウー・クオック・サウ・ピン・アイビー)。
ラグジュアリーホテルと称され、ミシュランガイド北海道2017特別版で3つ星を獲得しました。同社社長は2015年10月に北海道知事より「北海道スマイルアンバサダー」に任命され、地域の活性化にも貢献。また、2017年には株式会社 Jozankei Enterprisesを設立し、ホテル「Chalet Ivy Jozankei」を2019年にオープンさせました。このホテルでは定山渓の美しい自然環境を活かし、スパやジム、ミニシアターなどの施設を充実させ、お客様がくつろげる空間を提供しています。
事業への想いや従業員との関わりについて、同社グループ人事・総務マネージャーの押尾大輔様にお話を伺いました。
今回の取材で同社の取り組みには4つのポイントがありました。
この4つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。
1.コンパクトラグジュアリーをコンセプトに豊かな時間を提供
・お客様の要望に合わせたパーソナルサービスの提供
・お客様専用のコンシェルジュが施設利用の手配などをサポート
・スキーリゾートで知られるニセコエリアにおいて、夏季も営業することで地域発展に貢献
2.冬の需要に対応するため季節限定の雇用採用を行い、欧米国から20人の外国人スタッフを採用
・冬季限定の採用活動はFacebookを活用。約34,000人の既存客やニセコへの訪問予定者が参加するコミュニティグループに求人情報を投稿
3.福利厚生や働きやすい環境整備が従業員のモチベーション向上に寄与
・社員のスキルアップとキャリアパス拡大を支援するため、社内で日本語教室や英語教室を実施
・従業員にホテル施設を利用した福利厚生を提供。食事の提供やジム、温泉の利用が可能
・リフレッシュ休暇制度の導入など働く環境の整備。経済不況時でも従業員の雇用安定を確保
4. 国籍や経験に制限を設けず幅広い採用を進め、人手不足に対応
・50代や60代の方積極的に採用し、地元のシニア層にも求人の範囲を拡大
・外国人労働者と中途採用者向けの合同企業説明会を対面とオンラインの両方で開催。またインターンシッププログラムを導入するなど、国内外での採用活動を積極的に展開
専用コンシェルジュがお客様の旅をサポート
――「シャレー―アイビーホテル」の特色やお客様に提供している価値を教えてください。
(押尾マネージャー)
当ホテルは「コンパクトラグジュアリー」をコンセプトにし、大規模な高級ホテルに負けない質の高いサービスを提供しています。ニセコのリゾートエリアは広大で、スキー場のふもとに広がるビレッジエリアは多国籍な飲食店や宿泊施設が点在しています。当ホテルでは、旅の目的に合わせて利用施設の手配などをお客様専用のコンシェルジュが一からお手伝いいたします。
また、ニセコはスキーリゾートが有名で、年間来客数の約9割が12月から3月に訪れます。閑散期となる夏に営業しないのではなく、継続的に営業することでニセコエリア全体の地域発展に貢献ができていると思っています。食事に関しても、地元産の新鮮な食材を使用した料理を提供し、地元の食を体験できるように心がけています。
Facebookを利用した季節限定の雇用採用
――ホテルのサービスやレストランに関して最近行った取り組みや改善点はありますか?
(押尾マネージャー)
昨年からチャット機能が使用できるMicrosoft Teams(マイクロソフトチームズ) を導入しました。これにより、グループや1対1のコミュニケーション、オンライン会議、ファイル管理ができるようになりました。全社員が部署を超えて適切な距離で円滑なコミュニケーションを行っています。
また当社は、冬の需要が高いため、その時期に限定した雇用採用を行っています。国際色豊かな社員が一緒に働くことで幅広いサービス提供できることからイギリス、カナダ、ニュージーランドなど欧米国から今年は20人の外国人スタッフを採用しました。
今回の採用活動は主にFacebookを利用して行いました。当地域のFacebookには3つのスタッフ用コミュニティグループがあり、合わせて約34,000人の過去の従業員や求職者、今後ニセコを訪れる予定の旅行者が登録をしてくれています。コミュニティに求人情報を投稿するだけで多くの応募が寄せられました。海外からの求職者へ効果的に宣伝が出来たと思います。広告宣伝予算を持てない企業にとってもこの手法は効果的ではないでしょうか。
福利厚生とキャリアパスの拡充
―― 従業員の定着率を高める制度や取り組みはありますか?
(押尾マネージャー)
当社では香港やシンガポールなどアジアからの採用にも力を入れています。社内のスタッフ間で日本語教室や英語教室を行い、従業員のスキルアップとキャリアパスの拡充を支援しています。
また、従業員に対してホテルの施設を利用した福利厚生を提供しています。具体的には、食事の提供や、お客様が利用しない時間帯はジムや温泉の利用が可能です。
さらにリフレッシュ休暇制度を導入するなど働く環境を整えています。コロナなどの経済不況においても従業員の雇用安定を確保しています。こうした福利厚生や安心して働ける環境整備は従業員のやる気を高める要因となっています。
国籍や経験を問わない広範囲な採用
―― 会社の採用アップに向け、何か工夫されていることはありますか?
ホテル業界も飲食業界と同様に人手不足が深刻化しています。当社でも各部署にもう少し人材を補充したい現状があります。採用を増やすために、候補者の国籍や経験に制限を設けずに幅広い採用を進めています。ハウスキーピングなどで50代や60代の方も多く活躍してくれているため、今後は地元のシニア層も積極的に採用したいと考えています。
今月、札幌で外国人労働者と中途採用者向けの合同企業説明会を、対面とオンラインの両方で開催します。インターンシッププログラムも実施中で、現在は香港からの学生が参加しています。当社とニセコリゾートの知名度向上のため、国内外での採用活動を積極的に行っており、これらを今後も継続していく予定です。
地域社会と一体化した運営
――持続可能なホテル経営に向けた取り組みについてお聞かせください。
現在は地域の行政機関と連携しながら、倶知安町やニセコ町などの地域社会と一体化した運営を行っています。地元団体の活動に参加することで、広範な年代層とも交流を深めています。倶知安町で推し進めているクロスカントリースキーやボランティア活動への参加、そして地域の少年団などの支援にも力を入れています。地域と共に成長していくために、多角的なサポートを提供しています。今後もこのような運営を継続し、地域との連携を強化していきます。
求職者の方へ
――どのような人材を求められていますか?また、求職者の方に伝えたいことはありますか?
(押尾マネージャー)
ニセコエリアは国内外からさまざまな人が訪れる人気スポットであり、新たな発展が進行中です。しかし、必要な人材が不足しており、受け入れ制限を設けざるを得ない状況もあります。人事を任されている立場として、私は当社だけでなく、ニセコエリアで働くことに興味を持つ方々を歓迎しています。この地域には多くの外国人が居住しており、収入を得ながら語学スキルを向上させる環境が魅力の一つです。
記事に取り上げてもらうことで興味を持っていただけたら大変嬉しく思います。
店舗情報:Chalet Ivy Hirafu(代表店舗)/ 北海道虻田郡倶知安町ニセコひらふ1条3丁目6-32