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人手不足の解消は仕組み化にあり?海外の事例から学ぶ飲食店システム

飲食店にとって人手不足は深刻な問題です。2022年10月に帝国データバンクが行った調査によると(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p221110.pdf) コロナの流行が始まった、2020年以降4月以降、継続的に人手不足が進んでおり51.1%の企業が人手不足の問題を抱えていることが見てとれます。また、ホテルや旅館などの宿泊業や飲食業の非正規雇用割合は75%を超えており、サービス業が他の業種に群を抜いて人手不足であることがうかがえます。

また、2022年に総務省によって行われた人口推計
(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2022np/index.html)
によると日本の人口は12年間連続で減少、減少幅も11年間連続で拡大していることから人材不足という問題を根本的に解消することは難しいと考えられます。

では飲食店は人手不足という課題にどう向き合えば良いのでしょうか?
人手不足という問題に対して飲食店が取り得る選択肢は主に以下の2つのどちらかです。

①スタッフを増やすことに焦点を当てる。
②人手を増やさなくても良い仕組みを作る。

スタッフを増やすことに焦点を当てるという選択肢に関して飲食店ができることは

・複数の求人媒体に掲載をする。
・時給を高くするなどの雇用条件をより良いものにする。
・外国人雇用を積極的に進める。
・SNSなどに力を入れてお店の認知度を高める。

などがあります。しかし、上記で述べたとおり日本では人口減少が続いているため、ますます縮小が進む中で限られた人材を取り合うことになってしまいます。
そこで本記事では、②の人手不足を増やさなくても良い仕組みを作るということに焦点を当てて人手不足を解消するアイデアを取り上げます。

まず、人手不足を解消する仕組みとして真っ先に浮かぶのがロボットの導入です。

Servi  (https://www.softbankrobotics.com/jp/product/servi/spec/)
BellaBot (https://www.pudurobotics.com/jp/products/bellabot)
PEANUT (https://www.tanico.co.jp/product/kitchen-plus/peanut/)

私たちの身近にも上記のような配膳ロボットやキッチンロボットの導入が進んでいます。しかし、ロボットの導入は積極的に資金を投入することができる大手の飲食店だからこそできることであり、個人経営の飲食店にとって数百万円(リースでも月十万円程度)のロボットを導入することはとてもハードルが高く、導入したとしても十分な費用対効果が見込めるかも不確実です。

個人店がすぐに取り組めるのはロボットなどの設備投資ではなく、セルフサービス店舗運営に関わる仕組み作りです。考えられる仕組みは以下のようなものがあります。

・水をセルフ方式にする
・オーダーを伝票に書いてもらう。もしくは食券機を導入する。
・料理は厨房まで取りに来てもらう。
・食器はお客様に返してもらう。

業務作業の一部をお客さんに負担してもらうことで、より少ないスタッフ数で店舗運営が実現できます。

ここからは実例を用いて仕組み化について取り上げます。
まず取り上げるのは「Ziferblat」です。

https://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g187069-d19862271-Reviews-Ziferblat_Oxford_Road-Manchester_Greater_Manchester_England.html

Ziferblatは日本で大人気の番組「世界の果てまでイッテQ」でも紹介されたロンドンのカフェです。同店の特徴はその店舗運営システムです。なんと食べ物や飲み物はセルフサービスで全て無料です。滞在時間に応じて料金がかかるシステムで、1人1分6円となっています。(イッテQで紹介された時点で)店舗運営を継続できるくらいの利益があるのかと疑問に感じますが、イギリスでは友人と話したりしてカフェでゆっくり時間を過ごすことが1つに文化になっているため1分6円という一見安すぎると思われる料金設定でも十分に利益を上げていけるそうです。

「飲食店の大きなコスト要因である人件費を大きく削減できること」と「長居するというイギリス人の文化的要素を活かしていること」がこのシステムが継続的に成り立っている大きな要因だと考察します。

日本でもセルフ方式の店舗はあります。今回紹介するのは「惑星のウドンド」です。
(https://www.udondo.com/) 同店はなんと24時間完全セルフ方式のうどん屋さんで、ホームページには個性あふれる漫画とともに店舗ルールが掲載されています。

以下の通りです。

一、麺の固定観念を解き文化や多様性を楽しむ
二、麺の硬さ調整(茹で時間)は好みで遊ぶ
三、美しい作法と心づかいを大切にする
四、調理環境はサービスであり作成は自己責任にて
​五、麺の持ち込み厳禁(アレルギー物質など傷害罪)
六、金銭及び食材の略奪禁止
七、火傷に注意
​八、惑星ウドンド法を犯した者は惑星追放ならびに・・・
※惑星のウドンドは完全セルフのお店なので、何卒ご協力をお願いいたします。
​(惑星のウドンドのホームページから引用)

同店はお客さんが自分でうどんを作るという斬新なアイデアを用いた飲食店で、自分で自分の料理を作るという非日常的体験からも注目を集めています。金銭がしっかり払われるのか、店内が清潔に保たれているのかなど、監視がないことによる懸念点はいくつか考えられますが、それ以上にお店にとってメリットがあるように感じます。24時間営業なので夜中に小腹が空いた時に行ってみたいお店です。

今回取り上げた店舗以外にも、無人餃子販売や自動販売機によるチャネル拡大など人手不足を仕組みによって解消しているお店はたくさんあります。しかし、「おもてなし精神が日本の大きな文化であること」「スタッフによるサービスや接客もお客さんに提供する1つの商品であること」を踏まえると一概にセルフサービスが良いとも言い切れない側面もあります。大事なのは自分の店舗を利用する客がどのような目的で利用しているのかです。記念日などで利用されることが多いレストランでセルフ方式を導入することはサービスを楽しみにしている顧客の期待を裏切る行為とも取れます。逆にサラリーマン向けで早く手軽に食べることを目的とした、定食屋さんなどではセルフサービスを導入することは、より効率的に店舗のオペレーションに繋がり、それは店側とお客さんとの間にWin-Winの関係を築くことを意味します。店舗の特徴を踏まえて選択していくことが、課題解決のために重要なことだと思います。

本記事では人手不足を解消する方法として「人手を必要としない仕組みを作る」ことを紹介させていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

INBOUND PLUS 編集部

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