飲食業の皆さまに役立つ、
最新トレンド・ニュースを発信するサイト

毎週インセンティブ(報酬)を提供 社長の超現場主義と心重視の経営ー 伊達 ー

— 株式会社伊達 —


株式会社伊達は近江牛や仙台牛等、国産ブランド牛を使った料理を提供しているカジュアル鉄板 伊達や全国から厳選した地鶏や銘柄鶏を使った焼きとり一鶏、炭火焼や牛タンカレーなど手作りにこだわった仙台牛タン炭火焼「杜」があります。設立から今年で22周年を迎えた同社。
事業にかける想いを代表取締役社長の伊勢 啓子様に伺いました。

今回の取材で同社の取り組みには5つのポイントがありました。
この5つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。


1.社員にとって社長が母親のような存在となり人の心の動きを中枢に据えた経営を実践
・社長がいつでもお店に行けるように、自宅をお店の近くに構える徹底ぶり
・常に社員と会って対話し、表情を見て各自の心の動きを察するようにしている人生相談も含めて話せるような関係性を創っている

2.社長の超現場主義。飲食業は一瞬一瞬の勝負の仕事ということを社長自らが実践
・お客様のちょっとした仕草や合図に瞬間的に反応し、先回りをしたサービスを提供。この一瞬一瞬の勝負を飲食店経営で大変重視している。その実践のために、社長自らお店に行き調理場に立ち、ホールで接客も行い、社員に率先垂範でお手本を示している。それによって、現場の一瞬の大切さを社員へ浸透させている

3.おもてなしの心 “先義後利”でお客様を迎える
・競合の店舗にさえも気づかいや調和を心がける「先義後利」の精神でおもてなしを実践

4.週単位で評価するインセンティブ制度を設け、売上目標を達成した店舗スタッフに報奨金を支給
・成果によって毎週報酬を提供する制度を採用し、売上目標を達成した店舗スタッフに報奨金を支給。従業員のモチベーション向上を促進

5. 採用は人材紹介サービスの利用とスキマバイトアプリ「シェアフル」の年間契約
・自社の採用ニーズを深く理解して推薦者を選定してくれる人材紹介会社を厳選
・シェアフル(スキマバイトアプリ)との年間契約を行い短期のワーカーさんを積極的に採用


先義後利のおもてなし

――飲食業界に入ったきっかけと、起業された経緯を教えてください。

(伊勢社長)
飲食業界へのキャリアは銀座でクラブを経営していた時にスタートしました。知人の紹介により日本橋に居酒屋を開業する機会をいただきました。その後、2年の契約で東京駅構内に和食店を持てることになりました。最初はカウンターが6席で、テーブル席もわずか2席しかない小さなお店からのスタートでした。東京駅は日本の中心的な場所で、多くの人々が行き交う場所でもあります。しかし、多くの飲食店が競合しているため、坪面積を増やしても集客には苦労しました。その頃、東京駅構内の飲食店街の一角で、サラリーマンが主要な顧客だった場所から、家族連れや若い世代など幅広い客層が訪れるようにリニューアルされることになりました。このタイミングに私どもは長期的な営業を続ける決意を固め、新しいコンセプトに合わせて大幅に改装しました。内装やメニューを刷新し、2018年に国産ブランド牛を使用したカジュアルな鉄板料理店「伊達」として新たなスタートを切りました。

――お客様にどのような価値を提供して喜んでいただきたいと思われますか?

(伊勢社長)
お客様に提供したいものは、私自身が今日までの経験から学んだ「お客様が喜ぶ接客」です。競合環境が厳しいところであってもお客様の集客量を重視し出店します。私の考えは、ロードサイドで集客力の弱いところを選ぶよりもお客様が集まっている場所(駅ナカなど)を優先します。そして、多くの飲食店が競合する中で当店を選んでいただくため「先義後利」(先に道義を優先し利益を後回しにする)の心でおもてなしをすることだと考えています。売上はその後についてくるものだと信じています。お客様に喜んでいただくためにはどうすれば良いかを常に考え、それに応じた食材や調理器具、スタッフの教育など店舗の環境を整えています。このような姿勢があるからこそお客様に喜んでいただき、今も東京駅構内でお店を運営し続けることができていると感謝しています。

週単位の成果評価

――従業員のモチベーション向上や満足度を高めるためにどのような取り組みを行っていますか?

(伊勢社長)
飲食業界は以前から、長時間労働や低賃金などの問題がありましたが、現在は法改正や働き方の多様化により環境が改善されています。従業員が安心して働ける場所を提供するために、法令を遵守することが最優先だと思います。また、働き方も個人の目標やニーズに合わせ、できる限り従業員が働きやすい環境を整えていきたいと考えています。

また当社では、一週間ごとに評価を行うインセンティブ制度を設け、一定の売上を達成した店舗全員に報奨金を支給しています。このインセンティブ制度は個人の頑張りだけでなく、店全体の成功に貢献したことを評価して報酬として還元する仕組みです。従業員たちはこの制度を通じて結果に納得し、お客様へ向けるおもてなしに意欲を高めています。
そして、私や各店の店長が店舗巡回を行い、売上報告や情報交換などを密接にしていることも会社の活性化につながっています。

人材紹介とシェアフルの活用

―― 会社の採用アップに向け、何か工夫されていることはありますか?

(伊勢社長)
業界全体で人材不足は深刻を極めています。採用に関して、以前は求人誌の媒体を利用していましたが最近は人材紹介サービスを活用しています。求人誌は多くの求人が競合しており、魅力的な給与や特典を提供しない限り人材を確保するのは難しい状況です。一方、人材紹介は希望条件を事前に伝えることができ、求めるプロフィールに合った候補者を確実に紹介してもらえる利点があります。また、シェアフル(スキマバイトアプリ)との年間契約を通じて、短期のワーカーさんを積極的に採用しています。短期雇用でのスタートではありますが、双方が合意すれば長期のアルバイトスタッフとして採用しています。

当社の従業員の中には、外国人スタッフも多く在籍しています。特に東京駅構内の店舗では外国人観光客も多いため、彼らは大いに活躍しています。外国人スタッフは自身達のコミュニティを持っており、彼らの友人や知人が紹介を通じて当社に加わったケースもあります。今後も積極的に外国人スタッフの紹介採用を行いたいと考えています。

求職者の方へ

――どのような人材を求められていますか?また、求職者の方に伝えたいことはありますか?

(伊勢社長)
接客スキルに関しては、お客様を感動させるためのサービスを想像し、些細なことに気配りできる方が理想です。私が長年の歳月を費やして得た接客のスタイルや姿勢は、私自身が実際に現場で学んできたことです。机上での学びではなくとにかく現場で体感することが大切です。それを従業員にも指導してきました。自分がこのようになりたいと強く目標を持って行動すれば結果は必ず出る仕事です。行う全てが自身の経験値となり、人としても成長できるでしょう。求職者の方には、当社での経験が自身の成長とキャリアに大いに貢献できることを伝えたいと思っています。

店舗情報:カジュアル鉄板 伊達 / 東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街M2F 東京グルメゾン

 

店舗情報:焼きとり 一鶏 / 東京都千代田区丸の内1丁目9−1 東京駅一番街 B1

 

店舗情報:仙台牛タン炭火焼「杜 / 東京都千代田区丸の内1丁目9−1

 

写真提供:株式会社 伊達  /  取材、執筆:秋山直子

INBOUND PLUS 編集部

この執筆者の記事一覧