— 株式会社フーテン—
2021年に設立した株式会社フーテンは東京浅草で「ひとに寄り添い、まちに寄り添う。」というマインドを大切に、地域に根付いた店舗を運営。同社はカフェ&バーやスナック、ビストロなど4店舗の飲食店運営のほか、コンサルティング事業やアパレル事業、人材育成事業など幅広い事業展開を行っています。また、独自のコミュニティで地域の方とつながり、浅草の活気ある街づくりに貢献しています。
事業への想いや従業員との関わりについて、同社代表取締役の佐藤 シュンスケ様にお話を伺いました。
今回の取材で同社の取り組みには3つのポイントがありました。
この3つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。
1. 下町ならではの接客でお客様との距離を縮める
・親しみやすい接客やサービスの提供で、お客様とのつながりを構築
・店独自のコミュニティや地域イベントの参加を通じて、地域との結びつきを強化
2.コミュニティを通じて地元の飲食店22店舗を掲載した「WAKU Mup」を制作
・コミュニティでつながる22店舗の飲食店を紹介するマップと関連グッズを制作
・飲食店以外の事業者と協力し、定休日を活用したワークショップなどのイベントを開催
3. 採用はお店のファンであるお客様へアプローチ
・既存のお客様や友人からスタッフを採用
・スタッフの定着を促進するために働きやすい環境を整備し、福利厚生や休日取得の向上を図る
人に喜んでもらえるコミュニティをつくりたい
——社名「フーテン」の由来について教えていただけますか?
(佐藤代表)
社名を決める際にイメージしたのは定まった宿を持たず、ぶらぶらしている「フーテンの寅さん」です。我々も固定された場所にずっといるのではなく、さまざまな場所で飲食店を展開していきたいと願い名づけました。出店した地域で地元の方を巻き込んで盛り上げ、多くのファンを獲得したら、新たな場所に進出し、その地域でも同様に盛り上げていくというスタイルです。多様化していく社会の中、これからの飲食店には「料理や場所の提供」に留まることなく、人が寄り添えるコミュニティが必要だと思っています。多くの人に喜んでもらえるようなコミュニティを作りたいと思っています。
——社是の「お前じゃなきゃダメなんだ」はインパクトがありますが、どのような想いで掲げられましたか?
(佐藤代表)
自分たちの目の前にいる人、そしてお客様やスタッフは有難い存在です。当たり前にいてくれる人達ではないと思っています。仕事のスキルを磨くことも大切ですがまず、人として目の前にいる人を尊重する。その人の個性やその人が不可欠な存在だと認識し、お互いが大切に想う文化を築くことを目指して掲げています。
お客様との距離感が近い
—— 地域に根付いた店づくりのなかで、お客様との関係を築くためにどのようなことをされていますか?
(佐藤代表)
スタッフには、我々の店は高級レストランではないことを話しています。高級レストランは特別な記念日や自分へのご褒美として、非日常な時間を楽しむ方が多いのではないでしょうか。我々は下町らしい接客やサービスを楽しんでいただきたいと思っています。例えば、会社で役員を務めれている方は、会社やお店でも敬語で話しかけられる機会が多いと思います。当店のスタッフは少し仲良くなれば、あだ名や呼び捨てで呼ばせていただくこともあります。失礼のないよう配慮はしていますが、ぐっと踏み込む接客で喜んでくださるケースが多くあります。お客様との距離感の近さが我々の強みです。お客様が喜んでくだされば、次にまた別の方を連れて来てくれます。人が人を呼び、仲間が増えていくような感覚で集客にもつながっていると実感しています。また、店で企画するお花見会や誕生日会、花火大会などのイベントにも参加してくださっています。我々も地域のイベントに積極的に参加して店を周知していただくことで、店のコミュニティへ参加いただけるように働きかけています。
ローカルさを強みにしたマップ作成
——店独自のコミュニティを作ることによって、どのような変化がありましたか?
(佐藤代表)
当社が飲食店運営だけではない会社ということもあり、地元の方を巻き込んだ企画が実現できるようになりました。具体的には「WAKU Mup」という浅草の飲食店22店舗を掲載した独自のローカルマップを作りました。浅草は観光地としても有名で、飲食店のガイドブックもたくさんあります。飲食店は広告料を支払う事で雑誌掲載も叶うでしょう。しかし、「WAKU Mup」は我々のコミュニティで親しくしているお店ばかりを掲載したローカルな飲食店のガイドマップです。浅草に訪れた人が雑誌やネットに出てくるお店だけではなく、地元の人がお薦めするお店も知って欲しいという想いで作成し、Tシャツなどの関連グッズと一緒に協賛店に置いています。
現在、この「食」を通じたコミュニティは飲食店だけではなく、別事業の方々ともつながりが持てるようになりました。お花屋さんのワークショップなど店の定休日を活用し、イベントの開催を行っています。
採用活動はお店のファンにアプローチ
——会社の採用アップに向け、何か工夫されていることはありますか?
(佐藤代表)
お客様との距離感の近さが採用面でも活かされています。当店のファンの中から人材を発見し、積極的に採用にアプローチしています。当店をよく知っているお客様がスタッフとして最適な候補と考え、お声がけは効果的な手段と考えています。実際にスタッフの約半分がお客様やスタッフの友人など、我々に近い人が入社してくれています。インスタグラムやホームページからの求人情報配信、求人媒体を利用するなどの採用活動も行いつつ今後もお客様へのアプローチ採用を続けていきたいと思います。
また、スタッフの定着には働きやすい環境も重要です。スタッフ間での仲間意識や目線合わせ、意見を気軽に述べられる環境があることも当社の良いところです。今後は福利厚生や休日取得などについても充実した対策を検討しています。
求職者の方へ
——どのような人材を求められていますか?また、求職者の方に伝えたいことはありますか?
(佐藤代表)
当社は規模が小さく、積極的に求人募集を行っているわけではありません。何かの縁で当社を知り、興味を持って入社してくれた方を歓迎し、大切に育てていくことを重視しています。当社はまだ、懸命に働きやすい制度づくり、環境づくりを整えている途中でもあります。会社がしっかり取り組む姿勢はスタッフにも伝わっていると思います。
我々と一緒に人に寄り添うコミュニティ作りをしながら、自身の成長にもつなげてくれる方がきてくれることを楽しみにしています。
店舗展開を進めるにあたり、私自身も経験とノウハウを積み重ねていきたいと考えています。今後は飲食業を通じてスタッフの人間力を養えるような教育の場を作れたら良いなと思っています。
店舗情報:ほしや(代表店舗)〒111-0034 東京都台東区雷門2丁目13−1