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ラーメン店の倒産、食材価格と光熱費高騰により前年比3.5倍急増

9月12日、株式会社東京商工リサーチによると2023年1-8月 「ラーメン店の倒産動向」調査で『「ラーメン屋さん」の倒産(負債1,000万円以上)が28件(前年同期比250.0%増)に達し、前年同期の3.5倍と大幅に増えていることがわかった。コロナ禍の影響に加え、物価高、人件費上昇も直撃し、国民食として人気の高いラーメン屋さんが苦境に立たされている』と発表しました。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197979_1527.html

コロナ禍には政府からのコロナ関連支援によって倒産は抑制されましたが、支援が縮小・終了したことで、物価高・人件費の高騰の深刻な影響が浮き彫りになった形です。

下記のデータにある通り資本金が1千万円未満のラーメン店が倒産の大多数を占めており、特に個人企業が影響を受けています。小規模のラーメン店は資本力が限られているため、物価上昇や人件費の増加などの経済的な圧力が深刻な影響を及ぼしていることが分かります。

 

ラーメン店の倒産では、中国地方が最多で8件で、広島が最も多い都道府県で4件です。福岡でも3件の倒産があり、西日本地域で影響が大きい状況です。

ラーメン業界では食材の高騰に加え、競争の激化が倒産増加の要因として浮上しています。
開業の参入障壁が他のビジネスが大型の飲食店等と比較して低いため競争環境が厳しくなりました。しかし、日高屋や幸楽苑などの低価格でラーメンを提供するチェーンやバーミヤンや餃子の王将などの中価格帯チェーン、ミシュランに掲載されるほどまでの高品質・高付加価値型店舗、蒙古タンメン中本のような辛さを価値とする店舗、イタリアンとの融合、健康志向ラーメンなど、もはや空いている市場はないのではないかというほど群雄割拠の様相です。

今後もこの競争環境は継続することが想定され、そこへ物価・人件費の高騰、コロナ支援策の縮小・終了が直撃した形です。さらに、10月からのインボイス制度の導入により、飲食店にも経理業務や仕入先との調整など、さまざまな課題が生じる見込みです。これらコスト・業務の増加分を値上げて補填するのか、それともコスト削減を図るのかという選択が迫られます。
できれば価格は変えず、顧客数を増やすことでコストの増加分を吸収したいところですがそれを実現するには明確な価値を創り大人気店になる以外にありません。

整理すると次の4つの選択肢、もしくは全てを対応することが求められます。

コストの最適化:仕入れの見直し、人員数・人件費の見直し
業務の最適化:マニュアルなどによる業務整理 IT活用による業務効率化
価値の再設計:「あのお店はこれが最高!」と顧客に強烈にインパクトを与えるお店の象徴的なメニューやこだわりを開発
価格の最適化:近隣のラーメン店だけでなく、牛丼店、ファミレスなども含めて値上げをした場合どの店舗のどのようなメニューとの勝負となるのか、それに勝てる価値が備わっているかという考察が必要とされます。

そして、これらアクションをした後には、常にお客様の声、評価を確認しなくてはなりません。食べログやGoogleの口コミを毎日確認する、不便・不満がありそうなお客様にはすぐに声をかける、常連のお客さまには感想や改善点を直接聞くなどが必要です。

値上げをした場合は特にお客様の心理や行動に変化が生じることでしょう。今まで利用していたラーメン店の価格が、ある日700円から880円になるというケースが生じます。その際消費者は、「さすがに880円は高いな・・・、隣の牛丼屋さんに入るか、低価格帯のラーメンチェーンに入るか、もしくは自宅にて自分でラーメンを作って我慢するか・・」というような心理が生じることは想像に難しくありません。

この時に、自店を選んでもらうきっかけ、来店してくれた理由をお客さまに聞いておかないと、のちに何が正解で何が間違いなのかを見失ってしまいます。
今回のラーメン店の倒産増加というニュースで改めて今後必要とされる4つの選択肢とお客さまの声を取得することの重要性についてまとめさせていただきました。
本記事が、飲食店の発展に向けた参考情報になれば幸いです。

グラフ引用元:株式会社東京商工リサーチ

INBOUND PLUS 編集部

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