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カラダづくり、健康に気遣う人が来店する好事例 ターゲットを明確にしたブランディングで支持を獲得 ーTANPACー

― TANPAC株式会社 ―

2015年に設立されたTANPAC株式会社は、カラダづくりを志す人や健康に気を遣う人達に向けて新たな価値観を提供しています。同社を代表する店舗の「筋肉食堂」では、グリル&ダイニングバーとして高タンパクで低カロリーな料理を提供しています。カラダづくりをサポートする取り組みは店舗運営だけに留まらず、通販事業や法人向けの社食の福利厚生サービス、そしてアスリートサポート事業へと拡大。コロナ禍による実店舗の運営難を乗り越え、2020年7月にECサイトを開設し、商品のオンライン販売を始めました。その後、購入方法をサブスクリプション(定期購入)に切り替えることで売上を好調に保ち、新たなビジネスモデルの成功を達成しています。
事業への想いや従業員との関わりについて、同社代表の中崎 祐史様にお話を伺いました。

今回の取材で同社の取り組みには4つのポイントがありました。
この4つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。


1.外食で栄養バランスの整った料理を見つけるのが難しいと感じた経緯からカラダづくりを支援する料理を提供する店をオープン
・著名スポーツ選手のトレーナーとして10年以上の経験を有し創業メンバーでもある谷川俊平氏監修のもと、高タンパクで低カロリーな料理を開発
・著名人やプロのアスリートとのコラボレーションでSNSを通じた発信を行う
・ターゲット層を明確にすることで、多面的なアプローチでブランディングを展開

2.ビジョンを社内に強く発信。従業員がカラダづくりにおける食事の重要性を認識
・「食で日本を強くする」をビジョンに掲げ半年に一度開催する全社キックオフミーティングと月2回の理念浸透研修などの会議を通して理念やビジョンを社内で共有
・日本の食文化は米食が主であり、タンパク質の重要性が理解されていない側面があるため健康的なカラダづくりに必要な知識を広める環境づくりに注力
・従業員が個々に目標を持つことが重要あると考え、個人の目標管理シートの作成と運用を徹底し、それによって自己モチベーションの向上や自己努力、他人への思いやり、会社への貢献意欲へとつなげる

3.求人募集の際は、カラダづくりに貢献したい人に応募してもらえるようメッセージを発信
・求人を行う際は店のコンセプトである“世の中の人のカラダづくりに貢献したい”に共感できるよう求人媒体などでメッセージを発信
・アスリートのセカンドキャリアや、現役アスリートのデュアルワークなど働き方を支援、プロのアスリートや体育会系の人材を積極的に採用

4.「技術」と「思考」が学べる場の提供
・料理や接客などの実務スキルである「技術」や人としての考えや仕事に取り組む姿勢である「思考」両輪が人材育成の基盤と考え、初期研修では、カラダづくりに必要な栄養学の基本を学びその後、適切な役割に応じた研修を段階的に実施
・月2回のリーダー研修でグループワークなどを通じて他者との相互理解を深め、チーム力を高めるトレーニングを行う


カラダづくりを支援する店に

――健康志向やカラダづくりを志す人に喜ばれている「筋肉食堂」ですが、どのような経緯で立ち上げられましたか?

(中崎代表)
趣味のサーフィンを楽しむため、トレーニングジムに入会し身体を鍛えることを始めたことがきっかけです。ジムではパーソナルトレーナーの指導を受けながら肉体改造に取り組んでいるうちに、トレーナーから何度も食事の重要性を指摘されました。そしてトレーニング以上に、適切な食事を採ることがカラダづくりには不可欠だということを学びました。
当時、外食では理想的な栄養バランスを保つメニューが見つからなかったため、カラダづくりをサポートするメニューを提供する店を自分で開くことを考え、2015年に「筋肉食堂」をオープンさせました。体の力になる食事を味覚だけではなく、栄養素を頭で理解しながら食べていただくようなイメージのビジスモデルを考えていたので、店舗名をわかりやすく「筋肉食堂」にしました。

「筋肉食堂」では、著名なスポーツ選手のトレーナーとして知られる谷川俊平(同社マネージャー)監修のもと、高タンパクで低カロリーな料理を提供しています。谷川は10年以上にわたりプロのアスリートや著名人のトレーニングをサポートしてきた経験豊富なトレーナーです。我々はそのノウハウを活かし、誰もが健康で幸せな生活を送れるよう食事の大切さを広め、社会に貢献することを目指しています。

――コンセプトの強い「筋肉食堂」ですがブランディングはどのようなことに注力されましたか?

(中崎代表)
以前の会社で、ブランディングとマーケティングに専念するポジションに従事していた経験を活かし、様々な取り組みを行っています。我々の提供する食事はカラダづくりを支援するものですが、料理は美味しくなければリピート顧客は得られません。そのため、カロリー制限の範囲内で、食材や調理法を工夫して顧客満足度の高いメニューを考案することに重点を置いています。また、コンセプトに共感をした多くの著名人やプロのアスリートの方々が当店を訪れてくれています。食に対するこだわりが強いプロフェッショナルな方々とのコラボレーションやSNSを通じた発信も「筋肉食堂」の活力となっています。これにより、ファンの方が店舗を訪れたり、オンラインショップに流入してくれています。同時に、健康志向の高い人やダイエット中の人など、ターゲット層を明確にすることで、多面的なアプローチでブランディングを展開しています。

「食で日本を強くする」を社内に強く発信

――従業員のモチベーションや定着率を高める取り組みや制度はありますか?

(中崎代表)
当社のビジョンを明確に発信していくことだと思っています。当社は「食で日本を強くする」をビジョンとして掲げ、強く社内に発信しています。
私たちは、スポーツ選手のパフォーマンス向上のために食事の役割が大きいと考えています。日本の食文化は主に米食であり、タンパク質の重要性は十分に理解されていない側面があります。健全な肉体を築くために必要な知識を広め、将来的には多くの子供たちがメジャーリーガーの大谷選手のような国際的に活躍できるようなタンパク質を積極的に摂取する食文化を作りたいと考えています。

従業員一人ひとりが、“自分はどうなりたいか”という目標を定めることも大切です。目標を持つことで、自分自身へのモチベーションが高まり、自己努力や一緒に働くメンバーへの思いやり、会社への貢献意欲が湧いてくると考えています。個人の目標については目標管理シートで共有しています。半年に一度の全社キックオフミーティング(年間の事業戦略、プロジェクトの目的などを共有する会議)や月に1度の全社ミーティング、月に2度実施しているリーダー研修の中で会社の理念やビジョン、個人の目標について共有する場を設けています。

強い情熱とエネルギーは人の成長に不可欠

―― 会社の採用アップに向け、何か工夫されていることはありますか?

(中崎代表)
当社は、応募者の多くがスポーツや筋トレに熱心なスポーツ愛好者です。過去には鶏の胸肉が賄食で食べられると思って面接にきましたというこだわりが強い方もいらっしゃいました。しかし私はそれを長所として捉えています。求人を行う際は店のコンセプトでもある“世の中の人のカラダづくりに貢献したい”に共感いただけるよう求人媒体などでメッセージを発信しています。
体育会の経験者やスポーツ愛好者は何かを徹底的に追求したいという強い情熱とエネルギーを持っています。この熱意は個人が成長するうえで不可欠なものだと思います。その追求心やエネルギーを「筋肉食堂」でどのように活かせられるか、どのような職場環境だと頑張る意欲が引き出せるかを突き詰めて、職場環境を整えることが私の役割だと思っています。

今後の採用はアスリートのセカンドキャリアや、新たな働き方のひとつとして注目されている「デュアルワーク」(二つの地域や二つの企業、二つの職種で仕事をするという働き方)を支援している企業に勤めるプロのアスリート、大学の体育会出身者などの人材を積極的に採用していきたいと考えています。

「技術」と「思考」が学べる場の提供

――従業員の育成はどのようなことを行っていますか?

(中崎代表)
初期研修では、カラダづくりに必要な栄養学の基本を学びます。その後、適切な役割に応じた研修を段階的に実施しています。
私は人材育成に、2つの重要な基盤があると考えています。一つは「技術」。料理や接客などの実務スキルを指します。もう一つは「思考」。人としての考え方や仕事への取り組む姿勢を指します。これらの要素が結びつくことで、従業員の成長が促進されると信じています。たとえ優れた技術があったとしても、不満や批判的な態度を持ち続ける人は、チームに対してプラスの影響を与えることは難しいと考えます。

技術は努力によって磨かれるものですが、思考や姿勢に関する教育は難しい部分です。そのため、月2回のリーダー研修で、グループワークなどを通じて他者との相互理解を深め、チーム力を高めるトレーニングを行っています。誰かに気づいて欲しいと待つのではなく、意思疎通を図れる場を提供しています。このような考え方のトレーニングを繰り返し行うことで互いを尊重できる、文化が作られることを目指しています。

求職者の方へ

――どのような人材を求められていますか?また、求職者の方に伝えたいことはありますか?

(中崎代表)
我々の会社は美味しさと高タンパク質の効用を求めるお客様とを結びつける「タンパク質マッチングビジネス」と捉えています。レストラン、宅配、ECなど、多様な環境で私たちの商品を提供するスタイルです。食生活を改善し自分のカラダを変えたい人に当社の料理を届ける、これが私たちの基本です。食への意識やカラダづくりを真剣に考え、自身の目標を明確に持って前向きに頑張る方を求めています。個人の目指す方向と会社の進む方向が一致すれば、人生が豊かになり楽しくなります。このような共通の価値観を築くことも大事にしたいと思っています。

店舗情報:筋肉食堂 銀座コリドー街店(代表店舗)東京都中央区銀座7丁目2の先 216 号室 2階

 

写真提供:TANPAC株式会社  /  取材、執筆:秋山直子

INBOUND PLUS 編集部

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