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時給102円!? 配膳ロボットがもたらすメリットとデメリット

日本の全産業においてDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれる中、飲食業界においてもいくつかの手法が注目されています。そのうちのひとつが配膳ロボットです。
DXは中小企業から大手企業まで共通した課題であり、ロボットの活用も今後あらゆる規模の企業で検討したいテーマです。しかし、導入コストの側面から、配膳ロボットはすかいらーくグループのような資金力のある大規模チェーン店でしか導入できないのでしょうか。

本記事ではこの配膳ロボットを、個人経営店や小規模チェーン店でも導入できるのかを、メリットとデメリットも合わせて紹介したいと思います。

まず初めに配膳ロボットとは、飲食業界やホテル、病院、高齢者施設など、さまざまな環境で使用される、業務を自動化するロボットです。その主な目的は、食事の運搬や提供、配膳など業務を自動的に行うことです。
これらのロボットは、プログラミングやセンサー技術を使用して、特定の動作やルートを実行します。例えばレストランでは、配膳ロボットは料理を厨房から顧客のテーブルまで運ぶ役割を果たすことがあります。病院や介護施設では、患者や入居者に食事を提供する際にも利用されます。

配膳ロボットを導入する3つのメリットを紹介します。

一つ目は仕事の質が向上する点です。配膳ロボットはプログラムされた動作を正確に実行し、一貫性のあるサービスを提供します。食事の運搬や配膳のプロセスが効率化され、待ち時間の短縮やスムーズなサービス提供を実現します。人が配膳を担当する際には1人の人が複数の業務を担っていることが配膳業務に影響します。オーダーを受ける、キッチンへオーダーを通す、来店したお客様をご案内するなど複数の業務を担当していることで、料理が出来上がっても即座に配膳に向かうことができないケースもあります。配膳はロボットに任せることによって、人の業務時間が削減されます。人は“よりお客様の動きに目を向ける”ことが可能になります。どのテーブルがどれくらい食事が進んでいて次の食事を出すタイミングが適切なのかどうか、お飲み物がなくなりかけていたら次のオーダーをこちらから聞きに行く、常連の方のオーダーの癖を覚える、お客様と対話する、など顧客対応の高度化を促進することになります。

ロボットを導入して単に業務が楽になったというだけではなく、業務が効率化されたことで新たな価値へ人が着手できることがDXの目指す姿です。
飲食店において配膳ロボットが普及した理由は様々ですが、主に新型コロナウイルスの流行による需要の急増、そして労働力不足が挙げられます。

二つ目は人件費が抑えられる点です。ホールスタッフ(アルバイト)の1ヶ月における人件費は、単純計算すると、1日12時間営業×30日×時給1000円=36万円となります。しかし配膳ロボットは月額リース料が36,700円であり、毎月約30万円お得になります。これは時給換算すると実に102円ほどとなり、いかに人件費を削減できるかがわかります。(https://my-enterpriz.jp/robot
仮に配膳ロボットが従業員一人分の仕事量に満たず1人分全てを削減できない場合であっても、ひとつめのメリットでお伝えした通り、接客などの精度を向上し顧客対応を高度化することにつなげるきっかけとなります。

三つ目は、革新的な体験を得ることができる点です。配膳ロボットを導入している飲食店はまだまだ少ないため、店内をロボットが動き回ることが新しいと感じる人が多いと考えられます。エンターテインメント性もあるため、小さなお子さんを持つファミリー層への注目が集まることと思います。

しかし、配膳ロボットを導入するのに多額のお金が必要になるというデメリットもあります。最近になって100万円を切る配膳ロボットが登場したものの個人店などでは即座に導入を決断できる額ではありません。初期導入費を抑えたい場合には前述したリースロボットのように月額のモデルであれば比較的導入しやすいと感じます。(https://my-enterpriz.jp/robot

また、「事業再構築補助金」という制度があります。自治体によって違いはありますが、例えば「最低賃金枠」の場合、補助率が多くは3分の2であるところが、この枠の中小企業者等に該当すると補助率が4分の3まで上がります。従業員が5人以下の場合で100万円〜500万円の補助金が貰えるため、このようにロボットを導入する際は補助金を活用する手もあります。(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

前述した人件費の簡易計算によるメリットは、各店舗によって実情は様々であるため、目安にしか過ぎないことも注意が必要です。配膳ロボットを導入したことによって、通路が通れなくなるなど、店の規模感によってはかえってオペレーションの邪魔になる可能性もあることもあるでしょう。
配膳ロボットの導入は、効率性や新たな食体験を提供する一方で、金銭面などのデメリットも存在します。これらの利点と課題を総合的に評価し、最適な導入戦略を検討することが重要です。コロナの規制緩和によって集客が急速に回復してきている飲食業界において、店舗運営を維持するための人材の確保は最重要課題です。人が採用できない場合、配膳ロボットなどテクノロジーの活用を検討せざるを得なくなります。人手不足の解決策のひとつとして配膳ロボットは一つの重要な要素となるので本記事で改めてご紹介しました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

INBOUND PLUS 編集部

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