― 株式会社 Mon cher ―
2003年、大阪・堂島の地に双子の姉妹で始めたケーキ店から始まった株式会社 Mon cher(モンシェール)。その後、こだわりの生クリームがたっぷり詰まった「堂島ロール」が大ヒットし、行列のできる大人気店となりました。2010年、「堂島ロール」がモンドセレクション最高金賞を受賞し、大阪堂島から全国へ、そして世界へとファンを魅了してきました。今年11月に創業20周年を迎え現在、国内に23店舗、海外に40店舗を展開しています。
事業の想いや従業員の育成について、同社代表取締役の金 美花様にお話を伺いました。
今回の取材で同社の取り組みには4つのポイントがありました。
この4つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。
1.企業理念や従業員が心がける行動指針をクレドに明記
・企業理念や行動指針を明記したクレドを作成し全社員に配布。朝礼での唱和とクレドに繋がる
行動ができているか定期的なアンケートを実施(クレド:従業員が心掛けるべき信条や行動指針
ラテン語で志・約束・信条を表わす言葉)
・2週間に1度オンラインで様々な情報や意見交換をする「情報共有会」を開催
2.福利厚生で従業員の誕生日には両親用にケーキをプレゼント
・年に2回、一泊二日の日程で全社員が大阪に集合する「全社会議」を開催し、事業報告や今後の経営方針についての発表、スキルアップ研修、懇親会を実施
・福利厚生として、社員の誕生日にケーキか焼き菓子のどちらかを両親に感謝を促す目的として贈呈
・メディア掲載の情報を社内共有するほか、コンテスト開催時のサポートや資格取得者にお祝い金を進呈する制度を導入
3.採用アップの工夫としてリファラル制度やアルバイトからの社員登用を実施
・リファラル制度やアルバイトからの社員登用に注力
・製菓の専門学校で企業説明会の開催や専門学校内コンテストの審査員を務めた際に学生に興味を持ってもらいやすいよう交流を図る
4.製造、販売など部署毎に応じた教育制度の実施
・製造では技術指導者が定期的に各店舗に行き、2週間から1カ月間の技術指導を行う。
・「HACCP(ハサップ)」を取得し、HACCPチームをつくり、月に1度のミーティングと見回りで食の安全と衛生管理を徹底管理
・販売では月に1度覆面調査員が来店し、スタッフの接客を評価し具体的な例で良悪事例を指摘。その後、店内で指導や意見交換の場を設け改善に努める
笑顔と幸せを届けられる存在
--会社と従業員とが同じ方向を向くためにどのような取り組みをされていますか?
(金代表)
私は起業前にヨーロッパ10カ国を巡った旅中で、目を見張るハイブランドで高価なものには手が出しづらいですが、その地で食す料理や可愛いスイーツで幸せのお店を沢山感じることができました。私が作る小さなケーキでも、頑張れば世界中の人々に、手が届く幸せなひとときをお届けできるのではないかという想いから、大阪の堂島にお店を開くことができました。モンシェールのお菓子は、特別な日だけでなく、なにげない日々の瞬間にも心を躍らせ、人々に笑顔と幸せを届け続けたいと願っています。そんな意味合いを込めて、「私たちは“幸せお届け産業”です」を企業理念として掲げました。
会社で作成しているクレドにこの企業理念やスタッフが心がける行動指針を明記しています。クレドは全社員に配布し、その中の一部を朝礼で唱和しています。また、定期的にスタッフに対し、クレドに沿った行動ができているかをアンケートで確認しています。優れた行動を示した方には、会社からプレゼントをお渡ししています。さらに、2週間に1度、オンラインで「情報共有会」を開催しています。この会議では、参加可能な社員全員がメンバーとなり、新商品の情報及び、様々な情報の共有やテーマについて意見交換を行っています。
従業員の誕生日に両親用ケーキをプレゼント
--従業員のモチベーションを高める取り組みや制度はありますか?
(金代表)
当社には約110人の社員がおります。年に2回、一泊二日の日程で全社員が大阪に集う「全社会議」を開催しています。この会議では、普段は会うことの少ない企画・製造・販売・管理などの部署の社員が日本各地から一堂に集まり、事業報告や今後の経営方針についての発表が行われます。部署ごとのスキルアップ研修や懇親会も実施され、大きな意欲向上につながっています。また、当社ならではの福利厚生として、社員の誕生日には、産んでくれてありがとうの気持ちを込めてケーキか焼き菓子をご両親用に贈呈しています。これは10年前からの取り組みで、従業員のご両親から感謝の手紙をいただいたこともあり、私自身も幸せな気持ちをいただいています。さらに、メディアに取り上げられた際には情報を社内で共有し、コンテスト開催時にはサポートを行ったり、資格取得者にはお祝い金を支給する制度を導入しています。
リファラル制度やアルバイトからの社員登用
--採用を成功させるために工夫されていることはありますか?
(金代表)
これまでは主にHPの求人募集ページからの応募が多かったのですが、最近ではリファラル制度やアルバイトからの社員登用にも積極的に取り組んでいます。さらに、製菓の専門学校に足を運んで企業説明会を行ったり、専門学校内コンテストの審査員を務めることで学生と交流し、興味を持っていただけるよう努めています。また、新規出店における採用活動として、求人誌などの媒体にも広告を掲載するようになりました。
スタッフ一人ひとりがモンシェールの顔
--従業員の育成はどのようなことを行っていますか?
(金代表)
当社は経験ゼロからでもプロのパティシエになれる教育プログラムを用意しています。製造ではクオリティを維持し技術力を磨くために技術指導者が定期的に各店舗に行き、2週間から1カ月間の技術の指導を行っています。技術だけではなく「HACCP(ハサップ)」を取得してHACCPチームをつくり、月に1度のミーティングと見回りを行い食の安全と衛生管理を徹底しています。
(※HACCPとは「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」という言葉の略語で、食品を製造する際に安全を確保するための管理手法のこと)
販売スタッフの育成にはOJTを取り入れていますが、外部の指導育成を取り入れて、誰もが販売のプロとして成長するプログラムを取り入れています。また月に1度、全店に覆面調査員が来店し、スタッフの接客を評価し具体的な例で良否の点を挙げていただいています。その後、チーム全員に指導や意見交換の場を設け、改善に取り組みます。また、接客で高得点を獲得したチーム全員にギフトカードなどを贈り、自身やチームの成長とやり甲斐を感じられるようにしています。
今年は20周年を迎えるにあたり、ディスプレイを一新したり、オペレーション上の負担を大幅に見直し、目標と計画を明確に定める取り組みを行っています。販売スタッフ一人ひとりがモンシェールの顔として、お客様に接する心構えを持っていただきたい。そして、現場スタッフの意見やアイデアを反映し、より働き甲斐のある職場づくりに励んでいます。
求人者の方へ
--どのような人材を求められていますか?また、求職者の方に伝えたいことはありますか?
(金代表)
モンシェールは、『子供の代まで続く持続可能な会社』を目指しています。当社が求める人材は、まず「人を喜ばせることが好きな方」です。そのためには、チャレンジ精神旺盛であり、前例のないことでも試してみたいという行動力を持つ方を希望しています。当社は海外展開も積極的に進めており、国境を越えたロマン溢れる活動を展開しています。そのため、グローバルな感覚や広い視野を持つ方々と一緒に働きたいと願っています。私たちと同じように日本が生んだお菓子で、国内外に幸せを届ける使命に共感していただける方を歓迎します。
店舗情報:パティスリーモンシェール堂島本店(代表店舗)大阪府大阪市北区堂島浜2丁目1−2 OFFICE 堂島
写真提供: 株式会社Mon cher / 取材、執筆:秋山直子