人々の健康と環境への意識は日々高まっています。日本政策金融公庫の「健康志向」調査によると(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_210921a.pdf 農林水産事業本部 情報企画部) 2半期連続で健康志向(45.4% +4.0ポイント)は上昇しており、特に消費者は国産品かどうかを気にする(68.3%)という結果になっています。飲食業界でもそのニーズに応えるため、健康に配慮した食材選びが重要です。特に、無農薬食材の導入は、消費者の期待に応えるだけでなく、持続可能な社会に貢献することにも繋がります。
本記事では、健康と環境に配慮した食材選びと成果を生まなかった事例についても紹介します。
まず「無農薬」、「オーガニック」、「自然農法」の定義を整理します。
「無農薬」とは言葉の通り農薬を使用していないということですが、化学肥料を使用したものや消毒をされたものなども無農薬に含まれています。
「オーガニック」とは基本的に化学肥料や農薬を使用していない野菜のことで、有機JASの認定された人のみがオーガニック野菜を謳うことができます。しかし、有機JAS指定の農薬や牛糞などの肥料の仕様については認められています。
「自然農法」とは自然の力を利用して、その土地に合わせた栽培方法で基本的に農薬や肥料を使わずに育てます。
「ロワゾーブル」(https://loiseaubleu0018.com/) では無肥料、無農薬で栽培された野菜を使用したイタリアンを提供しており、ヘルシー思考のお客様を中心に人気があります。このほかにもオーガニックにこだわった飲食店はたくさんあり、ヴィーガンやベジタリアンと親和性が高いことがうかがえます。
また、「オイシックス」(https://www.oisixradaichi.co.jp/investors/business/ )では無農薬やオーガニックの健康惣菜*1を定期便で提供しており、買い物に行くのが面倒だが健康な食事を摂りたいと考えるサラリーマン等に人気です。2023年の業績が2019年比180%となっており、コロナ禍をもろともせず成長している企業です。
*1オーガニックや有機野菜を使用していない惣菜もあり
一方で、健康にこだわらない顧客層がいるのも現実です。2006年にマクドナルドは顧客調査で健康志向が高いと答えた人が多かったことから「サラダマック」を販売しましたが、結果はほとんど売れず、販売終了となりました。アンケートに答えるときには健康を気にしているからサラダが欲しいと書いていても、実際にマクドナルドに行くときにはてりやきバーガーやチーズバーガーのような味を求めている気持ちの方が上回るということかと思われます。一概に顧客アンケートを鵜吞みにもできず、健康志向、環境志向の一側面だけで売れる時代ではなく味との両立は必須なので気を付けなくてはいけません。
(https://www.mcd-holdings.co.jp/news/2006/release-060419c.html)
このように食材にこだわりがある層がいる一方で、お店の雰囲気や料理の味、サービスなど他の要素をより重要視している顧客のほうが多いでしょう。(https://www.msandc.co.jp/info/case/case239 MS & Consultingのレポートより)
他店舗との差別化を図る一つの手段としてオーガニック食材にこだわってみるというのも良いですが、何よりも大切なのは顧客がどのようなものを自店に求めているのか、顧客のニーズを掴むことです。多くの顧客は味にこだわりがあるので、有機や無農薬野菜を取り入れるならばオイシックスのように「有機・無農薬」「健康」「美味しさ」は三位一体で提供する必要があると思われます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考 有機などの言葉の定義
https://taberutokurasuto.com/columns/agriculture/19020807075/