東京都の銀座5丁目に「金のダイニング 鮪金(つなきん)(http://www.tunakin.jp/)」という寿司店があります。
同店には同じ寿司店だけではなくあらゆる飲食店にとって有益なヒントを備えています。その特徴は以下の5つです。
①店を象徴するオリジナルのメニューがある
②サブと思われがちなメニューに独自の価値がある
③日本酒のソムリエと言われている利き酒師の方が様々な日本酒の美味しさを説明してくれる
④カウンターでお寿司を握っているお二人が優しく柔軟な接客をしてくれる
⑤内装が常に清潔で明るく、会話のしやすい雰囲気が作られている
ひとつめのお店を象徴するメニューは鮪金ロールというメニューです。トロ、いくら、ウニというお寿司のアベンジャーズのような3品に梅肉、大葉、ゴマ、たくあん、きゅうり、わさびが添えられた手巻き寿司です。口に入れると様々な味が広がりかめばかむほどストーリーのように味が変化していきます。店名のついたメニューからもお店側のこだわりが伝わってきます。
ふたつめのサブと思われがちなメニューに価値があるのは「芽ねぎうずら卵」です。日本一美味しいお店と言っても過言ではないほど、独自の味です。多くのお寿司店は芽ねぎを扱わない、もしくは海苔で巻いて塩か梅肉をつけるというのが定番かと思います。しかし同店の芽ねぎはうずら卵、鰹節が乗った軍艦になっています。芽ねぎのシャキシャキ感の後にはうずら卵の甘味、その次には鰹節が広がり芽ねぎと卵、鰹節が混ざり合って絶妙な味に変化していきます。この芽ねぎうずら卵のファンとなり、来店すると3巻も食べるお客様がいるほどです。このようにサブと思われがちなメニューに独自の工夫が施してあるとその驚きや喜びは倍増します。
3つめの日本酒利き酒師は接客の価値です。この利き酒師の方へは、注文を頼むというよりも何が美味しいか相談するという表現が的確かもしれません。相談すると、大変明るいコミュニケーションで、分かりやすく様々な日本酒を説明してくれます。日本酒の種類を知ったり新しい味を教えてもらうことも同店に行く楽しみのひとつになるのです。
4つめがカウンターの寿司職人の方の人柄です。寿司店の中にはカウンターに座っても目の前にいる寿司職人の方が無口で話しかけるにも恐々としてしまう経験をしたことがある方は多いはずです。しかし金のダイニングの職人のお二人は大変柔軟なコミュニケーションをしてくれます。お客様の動きにも敏感で、話しかけるタイミングや説明を欲しているお客様を察して個々の席で対応を変えてくれているのが分かります。
前回訪問した際の好みを覚えている場合には何も言っていないのに前回同様少し柚子を振ってくれたりするなど、大変嬉しいおもてなしをしてくれます。職人さんとの会話や握っているライブ感もカウンターならではの価値です。最後に内装と照明です。内装が常に綺麗で、間接照明含めお店全体が大変明るく演出されています。洗練されたスタイリッシュなイメージとお寿司の高級感のバランスがうまく保たれた内装で、堅苦しすぎず、ハレの場としての品がある店舗となっています。他の高級寿司店よりも話しやすい雰囲気であることは来店された方であれば実感されていると思います。
同店と同じくらいの価格と品質の銀座周辺のお店とは一線を画す、独自の色がいくつも備わっているのが同店の特徴です。
同店のポイントにはお寿司店のみならず幅広い飲食店に参考になる部分があると思いご紹介いたしました。