JR東日本クロスステーションフーズカンパニーは2023年6月20日、JR上野駅の11,12番線ホームにロボットが自動で提供する無人の「セルフ駅そば」をオープンしました。これはアメリカのフードテックベンチャー「Yo-Kai Express inc.」の自動調理販売機を使用しています。Yo-Kai(妖怪)だけに、店内にはこんなコピーのポスターが貼られています。
「自動でおそばが出てきます。「妖怪」のしわざ?いえいえ、実はロボットが作っているのです。」最短90秒で出来上がるようですが、店舗で注文している人を見てみると、注文操作に悩みながらボタンを押し、おそばを食べるまでには3分前後という様子です。有人のそば屋ではまさに90秒ほどでおそばが出てきます。時間で比較すると有人の方が早い印象ですが、この部分も顧客側が慣れるに従って短縮されると予想します。冷凍食品の品質向上によってスーパーやコンビニにおける冷凍食品の売上や重要度は年々上昇傾向にあります。手間がかからないだけでなくしっかり美味しさが備わっています。美味しさは同じ、提供速度は若干有人の方が速い、場所は次を急ぐ電車のホーム。さて顧客はどちらに価値を見出すでしょうか。有人店舗には「いらっしゃまいませ」「いってらっしゃい」という接客や、調理をその場でしているライブ感はあるかと思います。しかしそれを特に求めない顧客にとってはどちらも同じ価値があるということになるのかもしれません。
コスト面を考えてみると、有人店舗は時給1200円でお店を1人で運営していたとすると、8時間営業で9600円/日、月28.8万円、年間345万円となります。
この人件費とロボットの保守運用、メンテナンス費と比較することになります。しかしこのモデルは人件費削減というメリットだけではなく、人手不足でサービス提供できない地方のエリアや採用が不足している企業にとって店舗運営継続の命綱ともなり得るのです。
Yo-Kai Expressは日本でサービスをローンチするにあたって、ロケーションパートナーとして羽田空港やJR東日本、フード提供では一風堂、サービス領域はソフトバンクと提携しています。これらパートナー企業とともに、お湯を入れるというだけではなく「調理をするロボット」という品質を提供していることも大きな特徴です。
日本の小売業では無人店舗が依然として普及していないのが実情です。セルフ駅そばはオープン翌日に想定以上の利用者があり、商品製造体制が追いつかないハプニングがあったとのこと。飲食における無人ロボット店舗が今後日本のみなさまに定着するかどうか、大きな注目が集まります。
同社のプレスリリースはこちらをご覧ください。
https://www.jr-cross.co.jp/info/items/38275fe6d11bd2cf0dd4e351c5a4e25a536b42aa.pdf