未来につなぐ飲食店
関西エリアNO1! 業務用ベーカリー企業の勢いが止まらない理由とは?-オリエンタルベーカリー-
株式会社オリエンタルベーカリー / 宇野 大様 常務取締役
― 株式会社オリエンタルベーカリー ―
株式会社オリエンタルベーカリー(代表取締役社長 原田 幸博氏)は業務用パンメーカーとして関西エリアで最もシェア率が高い企業です。リゾートホテルや病院、給食、飲食店など幅広い業界に業務用パンを提供しています。1950年に創業して以来、大阪を拠点に顧客のニーズに応えるパンの製造や販売で成長を遂げてきました。現在、取引先は約18,000件に及びます。2015年にはグループ売上高100億円を達成。「2030年、売上高200億円企業」を目標に掲げ、2017年にスタートさせた関東エリアのシェア拡大など積極的に事業の拡大を図っています。
同社常務取締役の宇野 大様に外食産業を支えるパンの製造と販売事業について、また従業員の育成についてお話を伺いました。
今回の取材で同社の取り組みには5つのポイントがありました。
この5つのポイントの詳細はインタビューの模様をご覧いただければと思います。
1.生産から配達までの一連のプロセスを自社で担当し、取引先から信頼を獲得
・ 配達まで行うことでお客様の声を直接聞ける密なコミュニケーション
・要望を商品に反映させることや、調理者の作業効率を考えながら商品開発
・多様な業態に対応した業務用パンを大量に製造することが可能
2.直属の上司と部下を「1:2」のチーム制にして協力関係を促進、従業員のモチベーション向上を図る
・チーム内で意見を交換し、知識を共有することで良い結果を出そうと助け合う姿勢がうまれる
・上司が複数の部下を指導することで、マネジメントや指導力の向上を図る
・活気と団結を促すために、社内レクリエーションとしてフットサルや運動会を開催
3.人材不足解決のため賃金の引き上げ
・新卒社員の基本給を約1万5千円引き上げたことで応募の反応に大きな変化があり、採用活動において成果を実感
4.入社後の教育はOFF-JT(職場外教育)を取り入れ
・「自己貢献感」(自身の業務が自社や取引先にどのように貢献できているかを認識)を意識するため入社後1カ月は現場には入らずに座学研修を行い、2ヶ月目から現場での半年間の実務研修が行われる。その後、また別の部署で約2週間の研修を実施
5. 必須の行動項目を点数化する絶対評価を年に3回実施し、給与や賞与に反映
・人事評価には「成長シート」を導入した「絶対評価」を年3回実施
「絶対評価」・・・会社が必ず実行してほしい項目など階層ごとに設定された指標項目を元に、各項目の達成状況を点数で評価
「成長シート」・・・個人の目標や成長点数が記載された指標項目のシート
・勤務態度や「1:2」チームの上司に対する協力度も評価対象
顧客ニーズに応えられるパンの生産と配送
――業務用パン販売のBtoBビジネスにはどのような魅力があると考えていますか?
(宇野常務)
当社は、生産から配送までの一連のプロセスを自社で担当しています。一日に約40万個のパンを受注生産し、毎日店舗へお届けしています。配送まで行うことでお客様の声を直接聞くことができます。その声を商品に反映させることや、調理者の作業効率を考えながら商品開発を行っています。お客様に配送担当者を通じて商品の提案をし、お届けすることがこの仕事の魅力です。私達が提供するパンには、業態毎のニーズに応えるプライベートブランドのパンや、病院などで塩分制限の必要な方に最適な無塩パン、そして店舗スタッフの作業工程を減らす工夫を凝らしたパンがあります。例えば、ハンバーガーのバンズをカットした状態で納品するパンや、個袋を開封する手間を省略できる40個を大袋に入れたパンです。このような多様な業態に特化した業務用のパンを大量に製造できるのが当社の強みになっています。
また、コロナ初期にホテルの朝食バイキングで個装化の要望に迅速に対応できたのは、配送の際に直接要望を聞いていたからです。当社は、品質へのこだわりとお客様との密なコミュニケーションを通じて、お客様の商売が繁盛するように取り組みを行っています。
――従業員のモチベーション向上を目的とした取り組みはありますか?
(宇野常務)
従業員のモチベーションを向上させるために、直属の上司と部下の関係を「1:2」のチーム制にしています。1人の上司が2人の部下を指導する小さなピラミッド構造です。これにより、各チーム内での協力関係が促進されます。チーム内で意見を交換したり知識を共有することで、より良い結果を出そうと助け合いが生まれます。チームの協力を通じて従業員のモチベーション向上を実現したいと考えています。
それ以外にも、社内の活気と団結を促すために、社内レクリエーションとしてフットサルや運動会を開催しています。特に運動会は40年以上にわたりコロナ前まで毎年開催され、社員とそのご家族が参加する楽しいイベントです。今年はオリエンタルベーカリー単体で売上高が100億円を達成する見込みとなったため、秋に京セラドームを借りて大規模に開催する予定です。
採用アップに向けた取り組み
――採用を成功させるために工夫されていることはありますか?
(宇野常務)
当社は現在、従業員数1500名(うち正社員280名)を抱えていますが、営業や配送などの部署で人材不足が発生しています。人材不足の解決のため、賃金の引き上げを行っています。パンの原材料である小麦の高騰などを考慮しながら、安定的な生産を維持するためにどの程度の賃上げが可能かを検討しています。場合によっては顧客企業様にはご負担をおかけすることになりますが、商品の値上げも選択肢の一つとして検討しています。新卒社員の基本給を約1万5千円引き上げたことで応募の反応に大きな変化があり、採用活動において成果を実感しています。
教育、評価制度について
――スタッフの育成において重視しているポイントや教育プログラムはありますか?
(宇野常務)
基本的にはOJTを行っていますが、入社後に関してはOFF-JT(現場外教育)を取り入れています。入社後、1カ月は現場には入らずに座学研修を行い、2ヶ月目から現場での半年間の実務研修が行われます。その後、また別の部署で約2週間の研修を行います。これは、自身が関わる業務がどのように自社や取引先に貢献しているかという「自己貢献感」を意識していただくためです。自身の部署だけでなく、様々な視点から自身の業務の重要性を知ってもらうために1年目は長期間の研修を行います。
実際のパン製造部署では、営業担当者やお客様からの要望をいただくことが多くあり、どちらかというと受け身で、お客様に喜んで頂けている実感が持ちにくい職場です。
配送に同行して直接店舗からの声を聞くことで、お客様に喜んでいただけることを実際に感じることができます。また、店舗からの要望に対しても、その背景や理由をしっかりと受け入れることができます。これにより社内全体で一致団結し、お客様のニーズに対応していくことができています。
――人事評価はどのようにされていますか?
(宇野常務)
5年前から、私たちは「成長シート」というシートを導入しています。このシートでは、「絶対評価」を行っています。「絶対評価」というのは、会社が必ず実行してほしい項目など階層ごとに設定された指標項目を元に、各項目の達成状況を点数で評価する仕組みです。「成長シート」は、個人の目標や成長点数が記載された指標項目のシートです。これにより、個人の成長状況や業績に対する評価を明確に示すことができます。「成長シート」とは別に勤務態度や「1:2」チームの上司に対する協力度も評価の対象としています。これらの「絶対評価」を年3回の賞与時期に併せて実施しています。
求職者の方へ
――どのような人材を求められていますか?また、求職者の方に伝えたいことはありますか?
(宇野常務)
求める人材は、積極的で元気な姿勢を持ち、前向きに業務に取り組むことができる方です。営業職や製造職において、チーム活動に力を入れていますのでコミュニケーション能力が必要です。
当社は常温パンを中心に生産・配送を行っている日配の仕事で、今日生産したパンは明日には必ずお客様の元にお届けしなければいけないという使命があります。その為、日々起こる現場でのトラブルをどのように回避するか?また、トラブルが起こっても早期に解決して商品をお届けするかが大切になります。
それを実現するためには、チーム内でのコミュニケーションやトラブル時の前向きな活動が重要となりますので、元気で明るく前向きに活動できる方が活躍しています。
店舗情報:株式会社オリエンタルベーカリー(京都工場) / 京都府相楽郡精華町精華台9丁目1番17号