5月30日、政府の観光立国推進閣僚会議(主宰:岸田文雄首相)は30日、「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」を決定しました。新アクションプランでは、「インバウンド需要をより大きく効果的に根付かせる」という観点で方策を取りまとめ、「ビジネス」「教育・研究」「文化芸術・スポーツ・自然」の3分野を柱に合計約80の施策を実施してインバウンドの着実な拡大を図るとアクションプラン資料に明記しました。
その資料がこちらになります。(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/dai20/siryou.pdf)
ビジネス分野では、「モノの流れだけでなくヒトの動きを促すことに注力し、日本を舞台とするビジネス交流の拡大を図りながら、国際的なビジネスネットワークの結節点として新たな価値の創造・発信と世界経済におけるプレゼンス向上を図る。」としています。「投資拡大の機会を捉えたビジネス交流の促進」「国際金融センターのわが国における拠点化」「外国人に対する粒子線治療などの医療の提供」「ビジネスマッチング等を通じた海外企業関係者などとの交流拡大」「国際会議、国際見本市などの積極的な開催・誘致」「産業資源の活用による新たなビジネス交流需要の獲得」「人的交流の促進」など40施策を提示されました。
教育・研究分野では、「大学等の研究力の強化、海外の研究拠点の呼び込み、国際学会の積極的な開催・誘致を図り、日本の大学や研究機関のレベルアップと国際頭脳循環の推進を図る。留学生の受入れ促進や教育の国際化により、教育分野の人的交流を促進する。」と示し、「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の推進」「世界トップレベルの研究人材の交流促進」「留学生などの積極的な受け入れ」など13施策を実施する計画です。
文化芸術・スポーツ・自然分野では、「文化芸術の国際発信強化とグローバル展開をビジネスの観点を取り入れつつ戦略的に進めるとともに、スポーツ産業の拡大に向けてビジネスの視点での施策を展開するほか、自然体験を楽しむ特色ある取組を全国各地で創出する。」ことを要点として、「海外向けコンテンツビジネスの育成・発展」「.スポーツコンテンツビジネスの国際展開・スポーツツーリズムの推進」「ナイトタイム等におけるコンテンツの充実」「国際会議・国際見本市等の積極的な開催・誘致」「少数限定の宿泊体験・体験型コンテンツの提供」を中心に25の施策が掲げられています。
定量的目標も示されており、ビジネス目的での訪日外国人旅行消費額を2割増加(7200億円→8600億円)、海外からの研究者の受け入れ数を2割増加(1.3万人→1.6万人)、スポーツ目的の訪日外国人旅行者数を2割増加(229万人→270万人)などが掲げられています。
つまり、従来のプライベート旅行のみではなく、出張目的のビジネスマン向け対応、学会や国際会議のタイミングに合わせた外国人集客、スポーツやアートの会場、開催タイミングに合わせたイベント、特別メニューの企画などに商機が高まるのではないでしょうか。
インバウンド対応というと、多言語メニューの用意や英語や中国語を話せるスタッフの採用が中心であったかもしれません。しかし今後は更にビジネス向け、スポーツ・アート向け、学会や展示会向けなどの対策に細分化されていくことが予想されます。店舗の立地によってもどのようなチャンスが発生するか分かれることでしょう。
観光以外のインバウンド対応が拡大していくひとつのきっかけとなる政府の発表でしたのでご紹介しました。