未来につなぐ飲食店
極上の贅沢とサービスが待つ、ラックバッググループのリゾートレストランで心ゆくまで満たされるおもてなし
株式会社ラックバッググループ / 斉田教継様 代表取締役
普段使いからフォーマルまで
― 株式会社ラックバッググループ ―
リゾートレストランで “ワンランク上のおもてなし”
海外のリゾート地を訪れた時のように、ゆったりと過ごせるリゾートレストランを都市部で7店舗展開している株式会社ラックバッググループ。日常を忘れられる抜群のロケーションで提供される料理やサービスを楽しみに多くの人が訪れています。
様々な業態があるなか、なぜリゾートレストランに注目されたのでしょうか?企業の想いや飲食店が抱える課題について代表取締役 斉田教継様にお話をうかがいました。
カジュアルからフォーマルまで非日常体験を
-リゾートレストランを始められたきっかけは何でしょうか?
(斉田代表)2005年〜2007年に共同創業者である河本(取締役会長)が店長をしていたハワイアンスタイルのカフェで私は常連客として親交があり、そのご縁から一緒に起業することになりました。当時はハワイアンフードやハワイアン雑貨などの需要が高まり、多くのお店がオープンしていました。ハワイアンスタイルは私達が得意とする分野でもあり、ハワイアンリゾートを体験出来るようなレストランにしたいと思いました。
リゾートレストランは値段が高くて当たり前と思われているかも知れませんが、私達はワンランク上の非日常体験を気軽に楽しめる価格帯を用意し、カジュアルからフォーマルまで様々なシーンでご利用いただきたいと考えています。大切な記念日などはもちろん、都会で日々忙しくされている方々に店ではゆったりとしたひと時を過ごしていただきたいと思っています。この想いは私達の土台であり当社の企業理念にもしています。
-お客様にゆっくりと過ごしていただくためにどのような工夫をされていますか?
(斉田代表)お客様は居心地が良いから店に長く滞在してくださると考えています。私達は料理や空間、サービス全てにこだわりを持っています。店内の客席間隔を十分にとり、家具やインテリアも本物の素材にこだわり、オリジナルの家具什器を海外で製作しています。
日本は明るい店内で食事される方が多いと思いますが、海外のリゾート地で見られるレストランは文化の違いからディナー時の照明はテーブルにランプ一つのみで暗くしている店が多いです。照明はインテリアの一部と考えられ、上手く配置されることによって部屋の高さや広がり感を強調したり、部屋全体の統一感を生み出すことができます。当店も現地のお店のように照明を暗めに設定しています。その効果で高層階にある店舗の大きな窓から夜景を十分に楽しんでいただけます。
私達の空間や料理、サービスを喜んでくださるお客様は、また親しい人と来店したいと思われます。このような嬉しい連鎖を強化していくことが、店の存続にとって重要なことだと思います。
-これまでの運営で困難に思われたことはありますか?
(斉田代表)今回のコロナの影響は非常に大きく、ディナーや結婚式の二次会などでご利用いただいていたお客様が来なくなり、一時売上は9割落ち込みました。展開していた数店舗を休業や閉店させる事態になり精神的にも辛く苦しい時期でした。けれどもコロナ禍でディナーやパーティー需要がなくなっていくなか新しい気づきもありました。対策として全店で力を入れていたランチやアフタヌーンにお客様がたくさん来てくださるようになったことです。
求められるニーズに一生懸命に応えたいという私達の想いが嬉しい結果に繋がりました。現在はコロナ以前にまで客足が戻ってきつつあります。
重要なホスピタリティ精神
-飲食業界全体で人手不足という課題がありますがどのようにお考えですか?何か対策はされていますか?
(斉田代表)私は日本の飲食業界のビジネスモデルに違和感を覚えます。長時間労働や低賃金などの厳しい労働環境が当たり前に受け入れられているように感じるからです。私は飲食業界に携わる前はドイツ企業に勤めていたので、このような思いが人一倍強いのかも知れません。この問題を根本的に変えていきたいと思っています。若い人が夢を持って飲食業界に入ってきても労働条件が悪ければ働く意欲を失くしてしまいます。若い人が長く働きたいと思える業界にしなくては明るい未来はこないとさえ思っています。
私達は適正な労働環境を整えたいと考えていますし、そのためにも会社として利益をしっかり出さなければいけません。自動化や効率化を図り、コストに見合った人員配置など出来る限りの対策をしながら理想のビジネスモデルに近づけたいと思っています。
-従業員の面接や採用時に留意していることはありますか?
(斉田代表)厳しいと言われる飲食業界でも料理や接客が本当に好きで、一流になりたいという強い覚悟がある方に来ていただきたいと思います。しかし現場からは求人に対して応募数が少なく人選ができないという実情も聞いています。飲食業の世界は厳しいながらもお客様を喜ばせる充実感や、やりがいがあります。入社した後に技術だけではなく従業員の夢や想いをどのように育てていくかも私達の大事な仕事だと考えています。
-入社後の教育面で工夫している取り組みやコミュニケーションの取り方はありますか?
(斉田代表)教育面は意識高くお客様に接してもらうためにサービス業に特化した外部のアカデミーに行っています。様々な講座を自由に組み合わせて受けることができます。コロナ前は社員のみ対象でしたが、今は全従業員に向けて行っています。
社内には数名のホスピタリティ社員と呼ばれる人がいます。彼らの、マニュアルにはない働く姿勢から必要なスキルだけでなく、人に喜ばれる楽しさを皆に知って欲しいです。リゾートレストランで一流のサービスを提供する上でホスピタリティ精神はとても大切だと考えています。
交流面の社内推進は会長の河本が担当しており、私は主に外部対応をしています。皆と直接接する機会は限られていますが、社員とは定期的に食事会を設け意見交換をしています。様々な話を聞き、日々の課題や悩みに対し苦労していると感じた時は広い視野で自分がやるべきことを再認識出来るよう声掛けをしています。
インバウンド集客の取り組み
-今後コロナが落ち着き、また外国人観光客が増えると言われています。インバウンド対策は何かされていますか?
(斉田代表)インバウンド対策は飲食業全体で取り組むべき重要な課題だと思っています。日本は世界から旅行に行きたい国と認められた数少ない国の一つだと思っていますし、飲食業界にとっても大きなチャンスだと思います。アフターコロナで観光規制が緩和されていけば、多くの外国人観光客が訪れます。それに合わせ多く予約を入れてもらうための工夫やレビューサイトへ案内する取り組みに注力をしています。
値引きでの集客ではなく、上質なサービス体験や料理、質に見合った適正な価格でお客様に喜んでいただくことが必要だと考えます。様々な取り組みを試して行きながらインバウンド対策を確立させ、アフターコロナ経営のV字回復に努めたいと思います。
独自の世界観、妥協しないサービスが強み
-御社の強みは何でしょうか?
(斉田代表)都市でリゾートを感じられる空間や一流の料理、おもてなしでお客様に満足いただけることです。海外に行かずとも忙しい日常から開放され大切な方々と楽しいひと時を味わっていただけます。妥協しないサービスが私達の強みです。
海外リゾートのレストランやホテルのスタッフは、屈託のない笑顔で温かい接客をしてくれます。マニュアルを越えた、ハートがこもった対応だとお客様に感じていただけることが出来るのです。私達も自分の言葉と心でお客様と向き合うことを大切にしたいと思っています。
従業員同士、仲が良いのも私達の強みです。仲が良いから一緒に考え学び、喜ぶことが出来ます。従業員達には可能性を信じチャレンジする姿勢を大切にして一流を目指してほしいと思っています。一人一人が成長することはお客様の満足度にも繋がり、会社全体としても大きく飛躍できると思っています。
インバウンドは大きなチャンス
-『つなぐ』という観点で今後の事業をどのようにして次世代に繋いでいきたいとお考えですか?
(斉田代表)私達は今後も一流のサービスをお客様に提供し豊かな時間を過ごしていただきたいと考えています。それと同時に社員が長く働きたいと思える環境改善に努めていきます。上手くITシステムを取り入れ会社全体の効率化を図り、高い利益を得られる企業として成功したいと思います。
この数年コロナ禍で苦しい思いをした飲食業界にとって、インバウンドは困難を打開できる大きなビジネスチャンスだと思っています。多くの海外旅行者に当社店舗の魅力を知ってもらいチャンスを逃すことないよう私達もしっかりと対策をしていきます。時代やニーズに合わせ、全てのお客様にまた来たいと思っていただけるような質の高いサービスを心がけていきます。
店舗情報:Oriental Beach(代表店舗)
神奈川県横浜市西区みなとみらい6-3-4 ザ・スクエアホテル横浜みなとみらい19階
【取材後記】
昔から根付く飲食業界の構造的な問題に対し、労働環境の改善に努めることが人手不足問題の解決に向かう一歩なのだと今回のインタビューから感じました。働く環境が整えば従業員もお客様に最高のパフォーマンスを発揮することができ、結果リピートに繋がる。マニュアルにないホスピタリティ精神でお客様に向き合う企業の想いを伺うことが出来ました。
写真提供:株式会社ラックバッググループ / 取材、執筆:秋山直子