キーマンインタビュー
「台湾人・香港人視点」にこだわるマーケットイン発想。
台湾と香港に特化したユーザー数No.1訪日観光メディア「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」
株式会社ジーリーメディアグループ / 吉田 皓一 代表取締役
台湾・香港向けの訪日観光情報メディアとして 月間80万UU(ユニークユーザー)を有する「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」 。同メディアを運営する株式会社ジーリーメディアグループのマーケットイン発想とは?同社の取組みについて、吉田皓一代表取締役に話を伺いました。
2016年の訪日客全体の25.0%が台湾・香港からの訪日客。
総人口に対する訪日人口の割合は台湾:約18%、香港:約25%と圧倒的に高い
御社が台湾・香港にターゲットを絞ってサービスを展開している理由は?
台湾・香港は、総人口に対しての訪日人口の割合が圧倒的に高いです。台湾の総人口に対する2016年の訪日人口は、約18%、香港は約25%となりました。対して中国は、訪日客数は多いものの、割合で見ると総人口に対して約0.5%の人しか訪日していません。また、2016年の訪日客数約2,400万人の内、台湾・香港の占める割合はの約25%にものぼります。私たちメディアのサービスモデルは、最終的に「日本に来てもらう」「ショッピングをしてもらう」というコンバージョンに繋げていくことが目的ですので、他の国に比べて圧倒的に費用対効果が高い国だと考えています。また、訪日リピート率(※)という観点からも台湾は81.2%、香港は81.1%の訪日客がリピートしており、10回以上訪日している方の割合も高い。そのためゴールデンルートだけでなく、地方やよりマニアックな場所に行く傾向がある。また、政治、経済、天災のリスクも非常に低く、東日本大震災や熊本地震の後も、中国や欧米からの観光客は激減したにも関わらず、台湾人・香港人は安定的に日本を訪れてくれています。
(※2016年「訪日外国人消費同行調査(観光庁)」における来訪回数が2回以上の方の割合)
台湾と香港に特化した国内最大メディア。
「台湾人・香港人視点」にこだわるマーケットイン発想。
御メディアの特徴を教えてください。
現在、サイトへの訪問者は80 万UUを超え、Facebookページのファン数も59万人を超えるところまで伸びています。「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」 は、台湾と香港に特化した、マーケットインの発想で運営しているメディアです。現地と国内各地に多数いる台湾人・香港人ライターが面白いと思った記事を「台湾人・香港人視点」で作成しています。自治体様の記事を作成する際に、自治体様よりアピールポイントを10個程度ご提供頂くのですが、そのアピールポイントを自社の台湾人・香港人スタッフに確認すると、彼らが興味を持つのは、10個の内、平均で2~3割程度です。「日本人視点」と「台湾人・香港人視点」の大きなズレが発生していることがわかっています。「日本人視点」のプロダクトアウト発想ではなく、「台湾人・香港人視点」のマーケットインにこだわる姿勢で毎日20本記事を作成し公開しています。
特に、台湾と香港に特化することで、サービスの質を深めることができると考えています。例えば、2016 年 3 月に「台湾の表参道」といわれる東區エリアに、路面店として40 坪の日本アンテナショッ プ「MiCHi cafe」を オープンしました。これによりオンラインとオフラインを連携したプロモーションの展開が可能になりました。また、私自身が、台湾のテレビ番組に出演したり、雑誌でコラムを連載したりしているので、Webとマス媒体とのメディアミックスを仕掛けることが可能です。
台湾人と香港人はクーポンが大好き。
情報収集源はWebメディアが圧倒的。
台湾人・香港人の方の特徴は?
とにかくクーポンが大好きです。台湾・香港では、百貨店でも日常的に大規模セールなどの値引きが行われているので、定価で買うのに抵抗感があるのかもしれません。過去に弊社のWeb上でクーポンを配布したところ、それまで外国人にはほぼ知名度がなかったのが、1日に10組以上の台湾人・香港人が訪れるようになったスーパーや、月に1000万以上も売上が伸びたドラッグストアもあります。クーポンに限らず、お得情報が好きな傾向が強いので、プレゼントキャンペーンなどを実施すると、想像以上にSNS上で拡散される結果が出ることも多いです。
また、情報収集源はWebメディアが圧倒的に主流です。スマホ普及率は日本の2倍以上で、デジタルに強い傾向があり、パンフレットなどの紙媒体を活用している方は少ないと言われています。SNSは、Facebookの利用者の割合が高く、人口の8割が利用しているという統計が出ています。台湾・香港でプロモーションを行うのでしたら、前述のように、Webを中心にして、マス媒体を絡めながら、最終的には、弊社運営のリアル店舗で商品を購入してもらうなど、オンラインとオフラインに加えてマス媒体をミックスした立体的なプロモーション方法が効果的です。
他メディアにはない細かい効果検証。
集客からコンバージョンまでの計測が可能に!
競合サービスとの違いは?
当社は記事の効果検証に力を入れています。世の中の多くのメディアは、記事のPV数などの基本数値しかレポートしないことが多いようですが、弊社は、記事ごとのPV数やクライアントHPへの送客数だけではなく、クーポンページへの誘導数、クーポン印刷ユーザー数、お気に入り登録数や記事ごとの平均滞在時間などを細かく検証し、測定した結果をクライアント様の次の施策に活かしていただいています。
さらに、先月、飛行機・ホテル・アクティビティの予約をできるサービスをリリースしました。これにより、訪日客の実際の消費に近い部分を抑えることができるので、集客からコンバージョンまでの流れを計測することが可能になってきており、クライアント様にとっては、より費用対効果を測りやすいサービスに進化しています。弊社は今まで100以上の自治体や観光推進機構とタイアップ記事を作って参りましたが、これらの機能が加わったことにより、現在、DMOや地方自治体さまと「地域の魅力を現地目線で切り取り情報発信をし、なおかつ着地型アクティビティを予約をしてもらう」新しい取り組みが始まっています。
「パンフレット配布とブロガー活用を一旦止めて、マーケットインの発想で外国人視点を取り入れましょう」
「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」のこれからの展開についてお聞かせください。
とにかくコンテンツを作り込んでいくことにリソースを注ぎたいと考えています。どうすれば台湾人や香港人の方にとって「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」 がさらなる価値あるメディアになるか。どうすれば、コンバージョンに繋がるか。ユーザーファーストで、クオリティを改善し続けることを考え抜いていきたいと思います。
これからインバウンド対策に力を入れようとしている自治体様へ一言お願いします。
自治体様のインバウンド誘客施策としては、「パンフレット配布」と「ブロガー活用」による施策が多いように見受けられますが、当社としては、マーケットインの発想で外国人視点を取り入れ、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」ではないですが、まずは自分の街の何が外国人にとって魅力があるのかを正確に知ることから始めませんか?とお伝えしています。弊社は必ず台湾人・香港人スタッフが現地を訪れます。是非、自治体様の魅力あるコンテンツの発掘からお手伝いさせていただきたいと思います。