キーマンインタビュー
インバウンド先進都市「京都」発!
業界老舗企業「インデンコンサルティング」の顧客満足度の高いサービスの秘密
株式会社インデンコンサルティング
斎藤 正寛 執行役員
田場 亮佑 マーケティング事業部 マネージャー
外国人に人気の観光都市「京都」。その地で、2012年にインバウンド事業をスタートさせ、現在は500社を超える取引先を持つインデンコンサルティング。今回は斎藤氏と田場氏にインタビューしました。
自社で運営する飲食店を訪れる訪日客とのコミュニケーション課題から生まれたリアルタイム通訳サービス
御社がインバウンド市場に参入したきっかけを教えて下さい。
本音でお話してしまいますと「偶然の産物」だと言えます。弊社代表の黒松も、「運が良かっただけ」と常々話しています。ただ、私の中では印象的なエピソードとして、黒松がある時「京都には、自分では一生かかっても手がけることができない遺産が沢山ある」という話をしました。
人間の一生は長くても100年、しかし、京都にはその100年を遥かに上回る歴史を持つ企業やサービスが至る所に存在します。一方で、後継者問題や古き良きサービスでは売れないという理由で、そうした歴史ある遺産が世の中から無くなっていく事例も良く耳にします。決して商品自体やサービスが悪いわけでは無く、タイミング、販売手法、マーケティング次第で、いくらでも継続させることができるのではないか。企業や商品を開発することはできても、歴史や文化は一長一短に築くことができないので大切にするべきだという内容を黒松と話しました。
少子高齢化や過疎化が進む中で、訪日客の存在は、日本社会にとって大切な要素です。日本文化や歴史は、そうした訪日客にとって、価値ある産物です。「歴史ある企業やサービスを守りたい」そして、「そうした企業がターゲットとするべきは訪日客」、この2つの想いから、インバウンド事業はやるべきだ、という結論に至ったのかもしれません。
御社のインバウンド事業の主事業に「SMILE CALL(スマイルコール)」があります。この事業開発の理由を教えてください。
弊社が自社で運営する飲食店の声がきっかけでした。嵐山や祇園などの観光エリアで店舗を構えているため、開店当初から外国人観光客への言語対応には、どうしても「言語の壁」を感じていました。2010年代を迎えた頃に、いよいよ国際化の流れが日本の観光産業にも及ぶと感じ、テストマーケティングも兼ねて、自社で多言語コールセンターのスタッフを雇用し、自社店舗で言語に困った時に電話を繋ぐサービスが開発したのが、現在の「SMILE CALL(スマイルコール)」のルーツになっています。
成長の要因はなんでしょうか?
日本にインバウンドの波が来る、という確信を持ち続けたことが要因だと思います。現在は5000台以上のアカウントが稼働していますが、サービス開始当初は、お客様がほぼいませんでした。弊社が同サービスを開始したのは2012年ですが、その当時は東日本大震災の影響もあり、様々な風評被害から日本へ観光客が来るというよりは、逆に引き上げる方が多かったのではないでしょうか。そんな中での船出だったので営業活動には苦労しました。
手厚いサポートが信頼を生み、導入社数は500社以上。競合サービスと比較した「SMILE CALL(スマイルコール)」の特徴は?
弊社は、『お客様以上にお客様の利益を考え、一度お会いしたお客様とは一生涯のお付き合いを約束する』という経営理念を掲げています。これは、「目先の利益に走らず、お客様と長期的な関係を築くこと」を目的にした考えです。その為、「SMILE CALL(スマイルコール)」も、お客様が実際に使用し、本当に喜んでいただけるか?仮に自社で導入するとしても、使いたいと思えるサービスかどうか、を常に問い続けています。例えば「SMILE CALL(スマイルコール)」の利用シーンの1つに接客があります。接客スタッフは、その時々が勝負で、言語の補助が必要な際にサービスを利用いただいているのですが、接続までに1分も2分もお待たせすると、訪日客は次のお店に移動してしまう。だからこそ弊社では「10秒以内の接続を保証する」と掲げ、サービス改善を繰り返しています。
他にも接客スタッフからすれば、一度でも不具合や接続不良があれば、次に大事なお客様が来た際に使いたくない、と思うはずです。しかし、それでは何のために通訳サービスを導入しているか分かりません。そこで、弊社では接続不良が確認できる端末へは、こちらから直接サポートのお電話を行います。それ以外にも、導入研修や、会話記録の報告、外国人スタッフによる覆面調査など、商品提供以外の部分でもサポート体制を強化しています。似たサービスが多数ある中で支持され続ける理由としては、このサポート面がご好評いただいているのかもしれません。
ここ最近のインバウンドの傾向はありますか。
訪日客が目的とするサービスの、業種やエリアが広くなったという印象があります。今までメディアによく取り上げられていた家電や宝石、化粧品などの「爆買い」の印象とは異なり、日本でこんな買い物するの?と驚くような場所でも需要が生まれています。一例をあげると、スーツ量販店や日本製の眼鏡、宿泊施設でも、カプセルホテルやゲストハウスなど、今までの観光イメージとは違ったニーズが出てきた印象です。
また目的エリアの変化も顕著です。2、3年前は東京、大阪からの問合せが大半でしたが、近年は、日本中からサービスのお問い合わせをいただきます。団体旅行からFITが増加するに伴って、まだまだこの傾向は強くなると考えております。
貴社サービスのこれからの展開について。
大きく2パターンの展開を考えています。1つ目は販売エリアの全国展開です。訪日客の全国展開に備えて、弊社でもパートナー企業を全国で募集しています。(※詳しくは弊社資料をご請求ください。)2つ目は新サービスの開発です。インバウンド対応は言語以外でも課題は山積みです。言語だけでない悩みも解決できるよう、様々な商材やサービスの開発を進めています。
最後に一言をお願い致します。
インバウンド市場は日本の未来です。現在の市場規模は3~4兆円ですが、政府は、8兆円、15兆円規模までの成長を目標に掲げています。15兆円市場になれば自動車産業と同規模になり、日本の主幹産業だと言えます。
弊社が望んでいるのは、この成長するインバウンド市場で、日本企業が利益を生み出せること。言葉を選ばずに言えば、高度な「おもてなし」を実現するだけでなく、海外の方に日本で消費活動を行っていただく仕掛けを作りたい、と考えています。そのためには、日本の企業が「インバウンド」と一概にまとめず、1人1人のお客様として接すること、そのために工夫することが求められます。とはいえ弊社1社で出来ることには限りがあるので、同じ想いをもつ企業様と一緒に明るい未来を創っていければと思います。