近年、訪日外国人観光客の増加が著しい日本においてコンビニエンスストアは欠かせない存在となっています。しかし、多くの商品が日本語表記のみであるため言語の壁が買い物における不便さや、時に購入機会の損失につながるという課題があります。
本記事では、こうした状況を受け株式会社セブン‐イレブン・ジャパンが開始した訪日客の消費行動をより深く理解し、利便性を向上させるための画期的な実証実験について紹介します。
訪日客のニーズに寄り添うために、開始した施策の2本の柱
セブン‐イレブン・ジャパンが開始した実証実験には重要な柱が2つあります。
まず1つ目の柱は、店舗内の商品情報やPOP(販売促進物)の多言語化です。これまでの店舗では、商品の説明やおすすめ情報が日本語のみで提供されることが多く、訪日客にとっては内容が分かりにくいという課題がありました。この実証実験では、日本語に加えて、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語といった主要国の言語に対応します。具体的には、商品のパッケージに貼付するシールや棚に設置されるPOPなどを活用し、商品の原材料、アレルギー情報、おすすめの食べ方、新商品の案内などを多言語で分かりやすく表示します。これにより、訪日客は言語の壁を感じることなく、自分が求めている商品を安心して選ぶことができるようになります。
2つ目の柱は、デジタル技術を駆使した訪日客の購買データの詳細な分析です。これは単に「何が売れたか」だけでなく「誰が、いつ、どのように購入したか」といったより深掘りした情報を把握することを目的としています。
これにより、これまで感覚的にしか捉えられなかった訪日客の消費行動が数値に基づいた明確なデータとして可視化されます。例えば、「ヨーロッパからの観光客は、特定のスナック菓子と緑茶を夕方にまとめて購入する傾向がある」といった具体的な傾向が明らかになることで、より精度の高い商品陳列やプロモーション戦略を立てることが可能になります。この詳細なデータ分析が、将来的な品揃えの最適化や訪日客のニーズに合致した新商品の開発へとつながる重要なステップとなるでしょう。
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データ分析で実現する品揃えの最適化
セブン-イレブンは訪日客の購買データと多言語対応で得た情報を分析し、品揃えを最適化することを目指しています。この分析で、「特定の国の観光客が多い店舗では、その国の人が好む日本のお菓子や特産品、食品などを増やす」といった戦略が可能になります。
また、訪日客の食文化に合わせたオリジナル商品の開発も今後考えていくことも可能になっていきます。さらに、データから時間帯や季節ごとのニーズの変化も把握し、朝はパン夜はお酒といったように、売れ筋商品を効率的に並べられるようになります。
このように、多言語対応と消費行動の把握を組み合わせることで、訪日客は「欲しいものがすぐ見つかる」と満足度が上がり、店舗側も無駄なく商品を管理し売上を増やすことができます。
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おわりに
今回の実証実験は、単なる利便性向上に留まらず日本ならではの「おもてなし」の精神をコンビニエンスストアという身近な場所で具現化しようとする試みと言えます。訪日客がストレスなく買い物ができる環境を整え、日本の魅力を商品を通じて感じてもらうことで、彼らの満足度はさらに高まることでしょう。この実証実験で得られた知見が、将来的に全国のセブン‐イレブン店舗ひいては他の小売業にも波及し、より質の高い訪日観光体験の提供につながることを期待しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。