近年、日本へのインバウンド(訪日外国人客数)は増加の一途を辿り、観光立国を目指す日本にとって重要な要素となっています。しかし、その陰で来日外国人による犯罪の増加が深刻な課題として浮上しており、検察当局も対応に苦慮しています。年間5千人を超える外国人が摘発される現状を踏まえ、検察当局は陣容を強化し、摘発を推進する方針を打ち出しています。
本記事では、来日外国人よる犯罪の増加について現状と問題解決に向けた改善策について紹介します。
訪日外国人客数と犯罪認知件数の推移
インバウンドの増加と外国人犯罪の増加には、一定の相関関係が見られます。観光客数の増加に伴い、犯罪認知件数も増加する傾向にあることは、ある程度避けられない側面もあります。しかし、近年では観光客に紛れてビジネスとして組織的に犯罪を行う集団の来日が懸念されており、従来の生活困窮型の犯罪とは異なる計画的かつ巧妙な犯罪が増加傾向にあります。高額商品や人気商品が盗まれる事例も目立ち、その手口の巧妙さから水際対策の強化や警察・検察の連携強化が求められています。
法務省が2021年に発行した『犯罪白書』によると、2020年の訪日外国人による刑法犯検挙件数は全国で9,512件、うち61.1%が窃盗被害でした。この数字は、インバウンドの増加を単純に喜べる状況ではないことを示しています。特に、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で訪日外国人数が激減した年であることを考慮すると平時であればさらに多くの犯罪が認知されていた可能性も否定できません。
【インバウンドマーケティングで店舗の認知度UP!】
訪日インバウンドに強い味方。あなたの店舗や商品を海外に効果的にPRしませんか?
来日外国人犯罪の検挙状況と国籍別の特徴
警察庁の統計によれば、近年摘発される外国人犯罪者は年間5千人を超えています。摘発者を国籍別にみると犯罪の種類によって特徴が見られます。
窃盗においては、ベトナム人が突出して多く、次いで中国人が多くなっています。これは、ベトナム人による組織的な窃盗グループの活動が活発化していることが要因の一つとして考えられます。また、万引きにおいてもベトナム人の割合が高くなっています。
傷害・暴行においては、中国人が最も多く、次いでベトナム人、ブラジル人となっています。これは、それぞれの国籍の文化的な背景や在日外国人のコミュニティにおける人間関係などが影響している可能性が指摘されています。
侵入窃盗では中国及び韓国、自動車盗ではスリランカが高い割合を占めているなど犯罪の種類によって国籍別の特徴が見られることは、今後の犯罪対策を講じる上で重要な情報となります。
警察庁の統計によれば、ある年に摘発された外国人5735人のうち国籍別のトップはベトナム人で1608人、3割弱を占め、2位の中国人(1231人)を引き離しているというデータもあります。このように、特定の国籍の犯罪者が目立つ傾向は継続的に分析していく必要があります。
検察当局の陣容強化と今後の課題
このような状況を受け、検察当局は来日外国人犯罪への対応を重点課題として位置づけ、陣容の強化を進めています。警察や海上保安庁など関係機関との連携を一層深化させ、情報共有や合同捜査などを強化することで組織的な犯罪の摘発を推進していく方針です。
具体的には、外国人犯罪に特化した捜査体制の構築や外国語に堪能な捜査官の育成、国際捜査共助の強化などが考えられます。また、近年増加しているサイバー犯罪や知的財産侵害などの分野においても外国人犯罪が関与する事例が増加しており、これらの分野においても専門的な知識を持つ人材の育成が急務となっています。
今後の課題としては、犯罪の国際化・組織化への対応、多様な言語への対応、関係機関との連携強化などが挙げられます。特に、言語の壁は捜査や裁判において大きな障壁となるため、多言語対応能力の強化は喫緊の課題と言えます。また、国際的な犯罪組織との連携や海外逃亡犯の引き渡しなど国際捜査共助の重要性はますます高まっています。
【シフト管理を効率化し、接客やメニュー開発などやるべき業務に集中できる環境づくりをサポート!】
シフト管理をもっと効率的に!25,000以上の店舗が使う、LINEを使ったシフト管理ツール
インバウンドと防犯対策の両立
インバウンドの推進は日本経済にとって重要な要素である一方、外国人犯罪の増加は社会の安全・安心を脅かす深刻な問題です。今後は、インバウンドを推進しつつ効果的な防犯対策を講じることで両立を図っていくことが重要となります。
そのためには、水際対策の強化、警察・検察の捜査能力の向上、地域社会における防犯意識の向上など多角的な取り組みが求められます。また、外国人コミュニティとの連携を強化し、犯罪の未然防止に努めることも重要です。
インバウンドの増加に伴う外国人犯罪の増加は、日本社会が直面する重要な課題の一つです。検察当局の陣容強化は、この問題への対応策の一つとして期待されますが、根本的な解決のためには水際対策の強化、警察・検察の捜査能力の向上、地域社会の防犯意識の向上、国際捜査共助の強化など多角的な取り組みが不可欠です。インバウンドと防犯対策の両立を図り、安全で安心して旅行できる日本、そして安全で安心して暮らせる日本を実現していくことが今後の重要な課題と言えるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。